車のシートには、
35ミリレンズが1本。
雨が上がった。
時刻は午後6時40分。
国道56号を須崎から四万十町に向けて走らせる。
七子峠に差し掛かった。
眼下に見える久礼の町の東の空の彼方が、
少しだけ赤い。
35ミリレンズでは届かないほど、
小さな夕焼けが、
東の空にほんのり。
ファインダーをのぞき、
妻にピントを合わせていると、
垂直に赤い線が、現れた。
夜の色に染まり始めていた雲が、
瞬く間に太陽の赤い世界に塗り替えられていく。
太陽の位置は真逆の西の彼方。
こんな方向に現れるはずもないのに、
線は、まるで光柱のように天に向かって、一気に伸びていく。
赤い柱が、天空に架け橋を描いた時、
赤い柱は、七色の虹へと変わった。
35ミリレンズでは、
入りきらないほど、
大きな虹が、東の空に1本。