駐車場の片隅で彼女はいつも僕を待っている。
出会うといつも僕は猫語で話し掛ける。
「なおーん、みゃお!」。初めの頃は耳を立て、いつでも逃げれる姿勢で様子を伺っていたのに、それが今では、2メートルほどに近づいても、目の前で毛づくろいをする始末。
一度も餌を与えたことはない。
ただ毎日、話し掛ける。
時には日本語で「ただいま」「今日は暑かったなぁ。熱中症になってないか?」「あ、ごめんごめん、寝てたのに起こしちゃったね。気にせんと寝とき。すぐ行くし」。
もちろん言葉は通じない。ただなんとなくコミュニケーションは取れている気がする。
いつも僕には必ず気づくのに、緊張するでもなく、寝転がったままこちらを見ていたり、耳がトロンとしたままチラ見をしていたり…
この頃の僕は、帰ると彼女を探し、会えると胸を撫で下ろしている。徐々に彼女の存在が大きくなっているようだ。
そういえば、予備校時代もそうやっていつの間にか野良を家に入れてたな。
そういえば、滋賀時代もそうやっていつも飲み屋に入り浸ってたな。
そういえば、京都時代もそうやって無理矢理ボロクソアパートに居座っていたな。
猫に魅せられているのか、はたまた猫にとり憑かれているのか、いやいや猫に憧れているのか、未だよく分からないけど、まぁ、これまでの人生、猫のように行き当たりばったりなのは間違いない。
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