新作 ～ 「妖精の結婚式」 その４

続きでーす。


2014年6月10日～ブログ直接投稿　「妖精の結婚式」　その４

　　うわぁ随分　控えめなカエルだなぁ
　　さやかさんは　こそばゆく感じた
　　うーんこれは何かしてあげたいぞ
　　そう思いながら　じゃあさと言った
　　夜また来るから　それでいい？

＜つづき＞

ええはい！　とカエルはうなずいた
良く分からないけど　嬉しそう
うん良いことしたなと　立ち上がった
じゃまたねと言って　会社に急ぐ
雨がぱらぱら　傘に踊った

だんだん　日は長くなってるけど
帰る頃には　さすがに暗い
同僚の子の誘いを断って
さやかさんは　雨の夜道を歩きだした
朝のこと夢だったかもと思いながら

帰りはいつも電車なので
朝と逆に歩くのは　新鮮だった
住宅地に入ると　人通りも少ない
不安な半面　ほっとした
生垣に話しかけてたら　不審者だ

来たよー　声をひそめて言ってみる
カエル君？　朝会った人間だよー
ああ来て下さったんですね　と
カエルが紫陽花の葉に　飛び出てきた
さやかさんは　ふふっと笑った

カエルでも　歓迎されるのは悪くない
言葉が通じるなら　尚のこと
後はと　さやかさんは思った
私の手に負えることならいいけど
カエルは　そんなさやかさんをじっと見た

えーとそれで？　何が困ったの？
と　さやかさんは聞いた
ええ実は・・・　と
カエルは言いかけ　ためらった
何回か　口を開けてはまた閉じる


＜つづく＞



人気ブログランキング　←　さ、ゆっくり座って言ってごらん。　


※変更：2016年1月9日
だんだん日は長くなってるけど→　だんだん　日は長くなってるけど　
言葉が通じるなら尚のこと→　言葉が通じるなら　尚のこと
（※間を入れずに一行にしてたのを、一文字開け、にしました）