中学生の三年生の冬、
私はお年玉で買ったギターを、
うっとりとして、いつまでも弾いていた。
ただ一つのコードを、ひたすら弾いていた。
そのコードがEminerである。
とにかく、
Eminerコードから醸し出される雰囲気に、
なんとも言えないものを感じて、
私はひたすら、Eminerコードをボロンボロンと弾いていた。
そのEminerコードから奏でられる音色の世界に、
浸るという言葉がぴったりに、
私はギターでコードを弾いていた。
今でもそれは変わらないのだが、
なんで、ギターの醸し出すコードって、
なんとも言えない雰囲気を醸し出すのだろう?
そう今でも思う。
とにかく、
Eminerコードの醸し出す世界は、
第四弦と第五弦の二フレットを押さえる以外は、
すべて解放弦となる。
それが他のコードと違う世界を作って、
私の心を、
ある世界に連れて行ってくれるのだ。
もう何も考えることなく、
その当時は、その音の世界に入りきっていた。
そんな無我の境地?に、
もう一度なってみたいと思うのだが、
そんなことは、
今では音楽で体験するということはない。
やはり自分自身が変わり、
そして周りの人が変わっていく。
私たちは、
一蓮托生という言葉があるが、個としての存在として生きているわけではない。
周囲との関係性を持って生きているんだから。
自分だけの満ち足りた世界で生きていくわけにはいかないかなと思う。