昨日は谷津の両側に広がる里山の道のうち、
東我孫子カントリークラブとは反対側を紹介したが、
今日はその道程の間の光景などの写真を。
谷津は耕作地と、耕作放置部分とに分かれているが、
収穫シーズンの終わった晩秋は、
耕作放置区域の荒れ野原の光景が写真的には面白い。
今回遭遇したのはやや強い風に舞っていた「荻(おぎ)」の穂綿で、
風に吹き上げられ、陽の光を受けきらきらと舞っていた。

風に踊らされている荻の穂は、
すべてブレて写っているが、このブレこそが当日の風模様であり、
写真から風を感じることができれば幸いである。

蒲の穂も開きかけて綿を見せ始めているが、
やがてこれも風に吹かれて舞っていく。
蒲の穂の体積自体はさほど大きくはないが、綿穂になると10倍近くに増えて、
あちこちに運ばれ、風がさえぎられた場所には穂綿の吹き溜まりができることがある。
ときには、蜘蛛の巣に纏わり付いて巣の機能を低下させることもある。

谷津の地形のためか或いは南風から西風に変化した為か、
荻の穂は右から左へと煽られていた。
太陽光も斜光となり日暮れが近いことを感じさせる。

15時を過ぎると荻野原や葦原も日陰が多くなってきた。

谷津は両側の里山で守られているためか、
やや暖かさが残っているようで、昆虫の蠢きや
寒波襲来で大津川周辺から消えてしまった蜻蛉の飛翔が見られた。
ため池のような湿地があちこちで見られ(人工的なものはビオトープと呼ばれる)、
動植物の多様性の存在が感じられた。

写真を撮っているとイトトンボが足に止まったので捕まえた。
夏に比べれば動きも鈍く、青さが美しいはずの体色も褐色に近かった。
まん丸の複眼や体の特徴からオオアオイトトンボのようである。

野菊もあちこちに咲いていたが、
その殆どは葉に光沢がありすべすべとしていたなどの特徴から、
カントウヨメナ(関東嫁菜)と思われる。

途中で出会った地元の女性の話によると、夏が特別に良いようで、
満月のこもれびの下で見た「ホタル」は素晴らしかったとのこと。
写真を撮ることが好きだということで、
別れてから暫くして振り返ると、何かを撮っている最中だった。
この女性には谷津について様々なレクチャーをしていただいたが、
この谷津を知ってからまだ1年もたっていないというのに、
谷津については知らないことがないほどに熟知していたのである。

春夏秋冬にかかわらず、時間があったら何度でも写真を撮りに行きたい場所となった。