MAICOの 「 あ ら か る と 」

写真と文で綴る森羅万象と「逍遥の記(只管不歩)」など。

冬から解き放たれたものたちと新生

2015年04月13日 | あらかると

柿本人麻呂の歌に、
「春は萌え夏は緑に 紅の斑に見える秋の山かも」
があるように、古から「春の萌え」は日本人の心を癒してきた。

染井吉野が殆ど散って葉桜となり、
冬の間裸木だった落葉樹が萌え始め、
木々の下草や野原の雑草も伸びはじめてきた。

草木は花を咲かせ、その花には様々な生物たちが集まって来るが、
人の目に優しい萌えは、昆虫達にとっては命を繋ぐ萌えなのである。


巻頭の写真は、ある柿畑の下草を撮ったものだが、
黄色でハート型の花弁が特徴のヘビイチゴの花、
青いオオイヌノフグリの花や白く小さなノミノフスマ、
紫色のカキドオシ、姫踊子草、カラスノエンドウの蔓などが、
まるで植物の多様性を証明するかのようにひしめき合っている。

撮った時は気づかなかったが、
ヘビイチゴの花弁には飛蝗の新生幼虫が止まっていた。


春の草木の花蜜や柔らかな葉や花は虫たちの食料でもある。
オオイヌノフグリの花に乗って採餌しているのは、
体長が1cmにも満たない「モモブトカミキリモドキ」で、
後ろ足が極端に太いことからこの名前がある。


蒲公英には花虻仲間では最も小さい「キタヒメヒラタアブ」が採餌中だった。


山桜の周りには、陽炎のように弱々しく、
後ろ足の異常に長い、黒い昆虫が風に煽られながら飛んでいた。
1時間以上調べたが名前を知るまでには至らなかった。


オオイヌノフグリで吸蜜をしている小さなシジミチョウの仲間「ヤマトシジミ」。


日向で寛ぐ(?)ベニシジミ。


昨日の近隣ポタリングでは、晴れたために様々な昆虫を目撃しているが、
これからは更に様々な虫たちに遭遇することだろう。

現役時代、昆虫などには全く興味がなく、
モンシロチョウの小さな青虫さえ嫌いだったが、
四季折々に野に遊んでいると、
人も虫も「今を生きている」ことに変わりはなく、
時折見せ付けられる動植物の「凄すぎる世界」が面白いと思うようになった。
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