氷結王の朝は、夜明け前氷が「凍みる刻」よりはじまります。「凍み音・耳狐」が時を告げます。
王の目覚めは極めてすこやか、しかし食事係りのすこぶる集めること難儀な評判のわるい、戸外の金物閂の取っ手の滴氷。これは日の出前と条件が科せられています。大慌てで戸口などを。
氷結王の朝の栄養剤というところでしょうか、仄かに金っ気を帯びたモノ噛み砕くを良しとされています。
そして、氷結王でさえ赤は良しとされる雑木の赤き実。それも、山の境界石の上に一晩おかれてものを。
そしてスープは出来たての、まるき氷スープ。今朝はクヌギ虫喰い狐顔葉、綿毛入り。サーッと日の出に晒すのがミソ。ついこの間までは氷紅葉はスープがとりわけお気に入りでした。
これからますます氷結王は食欲を増進されると。