旅の途中で

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世界の絵本作家展Ⅱ

2006年06月25日 22時57分07秒 | アート
ちょっと前の話だけど、京都の駅美術館でやってる「世界の絵本作家展Ⅱ~絵本作家ワンダーランド~」という展覧会を見てきました。

日本も含めて、世界の有名絵本作家の原画をたくさん展示していて、すごく見ごたえのある展覧会だった!

たぶん誰でも知ってる絵本としては、「ちいさいおうち」の原画が来てたのがすごく嬉しかったなぁ~。
この絵本、子供の頃夢中になって何回も何回も繰り返し読んでいた。
今見ると原画は地味な色に抑えられて、出てくるのはお家だけ。なにがそんなに子供の心を捉えるのだろう・・・と思うと、絵本って本当に奥が深いと思う。

いや、もちろんすごく良い絵なのよ。色調は地味だけれど、作者(バージニア・リー・バートン)の暖かい目線に溢れた絵が、とっても印象的。
こういう、「暖かい目」を子供達は敏感に感じ取るのかもしれない。

あと有名なところでは、卓越したデッサンだけで奥深い絵本を作ったガブリエル・バンサン。
彼女の絵も、みんな目にした事があると思う。
アンジュールという犬が主人公の絵本が有名かな。色は一切なし。鉛筆一本のデッサンだけで描かれている。

紙にひいた一本の線が、映画のような場面を作っていて、初めてこの人の絵を見た時は感動した。
私も学生時代からデッサンは毎日毎日やっていた。学校の行き帰りの電車の中で、乗客達をデッサンしたり(今はもうできないなぁ)。
線をひくということが、どれだけ難しいか私なりにわかっているつもりだから、彼女のような線をひけるようになりたいと思っていた。

あとは、世界的にも大人気な、「もりのなか」や「メイシーちゃんシリーズ」、「オリビア」の原画もあって、子供たちが楽しそうに指さしてたのが可愛かった・・・

最近の作家では、私は今回初めて知ったんだけどアンネ・エルボーという人。
この人の絵本、すごい好きだわ~~・・・

「すきまのじかん」という絵本の原画が紹介されてたんだけど、題材がまず素敵。
昼から夜に変わる間の微妙な色合いの時間ってあるでしょ?あの時間を主人公にした作品。
昼から夜に変わる間の時間って、きっとみんなも不思議な気持ちで眺めた事があると思うんだけど、それをこんな風に作品にしてしまえるなんて。
絵も、ひょうひょうとした感じで物語りによく合っている。

日本人では、荒井良二さん、島田ゆかさん(「バムとケロシリーズ」が子供に大人気らしい・・・知らなかったけど)の原画があったんだけど、もうひとり、今回の展覧会のために書き下ろしのポスターを作成した酒井駒子さんの作品が良かった。
今回の展覧会の中で、一番好き。

「よるくま」という作品で有名な作家だそうだけど、彼女の描く世界は独特のダーク感があって、子供というよりは大人がその魅力に取り付かれそう。

黒を基調にした画風なんだけど、この黒色がとっても綺麗。
「よるくま」でも、真っ黒な小グマがかわいく神秘的だったけど、今回の展覧会に出ていた「金曜日の砂糖ちゃん」という作品がすごく気になる。
一回ちゃんと読んでみたいな。

黒で描かれた世界の中にいる子供たちの絵が、秘密を覗き見たような感覚になる。
裏側の世界に一瞬迷い込んだような。
あやしい何かがあるような。

明るく楽しいだけじゃなくて、子供ってきっと何かダークな印象のある絵本や童話に、強く惹かれるんじゃないかと思う。
私が好きだったのは、「きかんしゃちゅうちゅう」(まっくらな森の中をさまようシーンが、すごく怖くて楽しかった)や、題名は忘れたけど押入れの中から真っ暗な世界に冒険する少年のお話や、少し大きくなってからはムーミンシリーズ(これも結構怖いものがたくさん出てくる)だった。

それにしても酒井さんは子供の絵が上手いなぁ~~・・・
今度図書館行って絵本を読んでこようっと。