太平洋戦争をどのように評価するか、という問題に決着をつけることは大きな課題だった。これは、単に歴史の問題だけではなく、現在の政治的な選択の問題、価値観の問題でもあるからだ。そして、この問題が困難な問題であるのは、私達の同一の民族の、父祖の政治的な行為を、まさしく、どう評価するかということにかかわってくるからである。
特に太平洋戦争の敗北によって、日本が民主化されたという側面は紛れもなく事実であるのだから、民主主義をどう評価するかにしたがって、私達の父祖、同じ民族の選択と行為を否定することにもなるからである。民主主義を肯定するなら、戦前の父祖たちの選択を、軍国主義、全体主義として否定せざるを得ない。