ロドス島の薔薇

Hic Rhodus, hic saltus.

Hier ist die Rose, hier tanze. 

最近の政治問題2題雑感

2007年01月31日 | ニュース・現実評論

野党3党首が罷免要求、応じなければ審議拒否

イラク開戦は間違い」 久間発言に米が抗議 2プラス2開催に影響も

(一)民主党の審議拒否

柳沢伯夫厚生労働相が女性を「産む機械」とした発言について、抗議し、また、柳沢厚労相の罷免を要求したことは当然だとしても、だからといって、2006年度補正予算案審議を民主党がボイコットする方針を決めたのは間違いである。社民党などの他の野党が追随しているのも同じである。

小沢民主党の体質の古さ、この党の未熟で子供っぽい「民主主義」はどうしようもない。いまさら小沢氏に説教も無意味だから、正しい民主主義教育を受けた世代の成長と交代に期待するしかない。さりながら、民主主義教育も含めて、肝心かなめの青少年の教育は、周知のとおりの現状である。

安部晋三首相の予算審議ボイコットの野党批判は正当である。だから、民主党のせっかくの柳沢厚労相の罷免要求も無意味になる。この調子では、民主党が政権を担当できる責任政党になるのは、百年河清を俟つようなものだ。

(二)久間防衛相の発言

先の二十四日に、久間防衛相が「イラクに核兵器がさもあるかのような状況で、ブッシュ大統領が(イラク開戦に)踏み切った判断は間違っていたと思う」と発言したことがニュースで報じられた。それを聞いたとき、すぐ直観的に、現職の防衛大臣がこのような発言をするのは、まずいのではないかと思った。

もともと、この大臣は日本の自主防衛という根本的な問題意識を欠いた政治屋であると思っていたので、期待は元からなかったが、しかし、こうした発言をするようでは、日本の国防すら危うくさせるのではないかと思った。

日本の独立と自主防衛ということを切実な課題として少しでも自覚しているなら、必然的に核武装が問題になってくる。しかし、この久間防衛大臣は、そうした国家の独立の問題には全く無自覚で、日本の防衛をアメリカ任せにすることに何らプライドも傷つかない人物でありながら、一方でこうしたアメリカ批判を行なう。この大臣の精神構造はどうなっているのだろうか。アメリカを批判するなら、日本の自主防衛を完全に実現してからにせよ。これでは、それでなくともアメリカ人が潜在的に日本に対して抱いている根本的な軽侮を、さらに強めるだけではないか。

台頭する隣国、共産国家中国との関係で、これからどのようにして日本の自由と独立を保持してゆくか、その切実な課題を、おそらく長期にわたって覚悟しなければならない立憲君主国日本にとって、こうした大臣の存在はその最大の障害になりかねない。今でも中途半端な自由と独立を、これ以上に失えば、どれほどの悲劇を国民として覚悟しなければならないか。自由と民主主義を、みずからの血と汗で勝ち取ったことのない国民の政治家の、脳天気な気楽さかもしれない。

(三)にやけた覇気のない官房長官、改革の意思の薄弱な幹事長。そして、こうした政治家しか閣僚にできない安部内閣。その一方で、野党である小沢民主党の、旧来の田中角栄張りの理念なき政治手法。先の期待できない教育再生。さらに、それらの根本にある大学劣化問題。二十一世紀の日本国の困難は決して小さくないと思う。誇りを失った国にならなければと思う。
根本的な救済は、小町人国家から民主的な武士道国家への転換にある。

 

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日本の内なる北朝鮮

2007年01月12日 | 教育・文化

かって在日朝鮮人が歓喜雀躍して帰国運動に従事し、祖国再建に希望をもって北朝鮮に夢を抱いて渡っていった頃にくらべれば、もはや北朝鮮の評判は地に落ちてしまったといえる。マスコミなどから折に触れて伝えられる北朝鮮についての情報が、飢餓や脱国、拉致などについてのニュースばかりであるから無理もない。

わが国で北朝鮮への帰国運動が行なわれていた当時にあっては、社会主義体制と資本主義体制が世界を二分するいわゆる冷戦構造がまだ揺るぎもせず、まして崩壊するなどとは誰にも予想できなかった時代である。日本の国内の政治も、当時の世界のイデオロギーを反映して、社会党と自民党が国会を二分するいわゆる55年政治体制のもとにあった。

朝日新聞や岩波を中心とした「知識人」たちに、中国の文化革命や北朝鮮の千里馬運動を理想社会実現の試みとして共感し支持する者も少なくなかった。社会主義や共産主義に対する夢がまだ見られていた時代だった。学校教育の中でも、とくに日教組に属する教員のなかには共産主義者が少なくなかったし、彼らも自民党の教育行政と鋭く対立、拮抗しながら、一方で戦後の日本の教育のあり方を規定してきた。


戦後の日本は、朝鮮やドイツのように同じ民族がイデオロギーによって社会主義国家と自由主義国家に分断されることは免れたものの、同じ国内に二つの分裂国家を抱えていたようなものである。社会党や共産党と自民党が敵対的なイデオロギーで対立しながら、戦後政治を行なってきた。

公式には現在の北朝鮮は社会主義国家ということにはなっているけれども、かっての毛沢東中国と同様、その実質は封建的儒教国家とでも呼ばれるべきものだろう。そこでは国民大衆がまだ自由の意識を形成しておらず、自由な社会の上に形成された国家ではないからである。国民大衆が自由に解放されていない社会では、国家のその理論的な骨組みを社会主義に求めようが民主主義に求めようが、その実体は不自由な社会であることには変わりはないのである。


その点では、中国も朝鮮も日本もその民族的な資質という点では、類縁関係にある。いずれも儒教的な文化圏に属し、家父長的な封建体制の下に権威主義的な文化に長い間民衆が生活してきたという点では同じである。中国においては毛沢東の個人崇拝は今ではそれほど露骨ではなくなっているが、その芽はなくなってはいない。北朝鮮における個人崇拝は相変わらずである。これらの諸民族は自由についての経験も浅く、全体主義に馴染みやすい傾向をもっているといえる。

この傾向は、何も朝鮮や中国だけの話しではない。戦後は曲がりなりにも、日本では自由と民主主義を国是として運営されてきたので、それほど露骨な全体主義的な動向は見られないが、国民や民族の資質として、全体主義に馴染みやすい体質をもっていることは明らかである。


多くの自称共産主義者や社会主義者、平和主義者たちは自分たちの思想を狂信して、他者がそれ以外の信条をもつことを否定する傾向があるのもそうである。たとえば、今一部に存在する「日の丸」や「君が代」の否定論者たちは、その狂信的な、不自由な意識からすれば、彼らがひとたび強制的な権力を手にすると、現在の石原東京都知事以上の思想統制を実行するのではないだろうか。社会主義者や共産主義者が実際に国家権力を手にした諸国での歴史的な経験も、そうした事実を教えているのではないだろうか。自由を尊重する精神に欠けるという点では、右翼も左翼も同じ民族の体質として変わりはないのである。


戦後の日本国民は一応は建前としては、自由と民主主義国家に生活しているとはいえ、自由と民主主義の教育が十分に実行されてきたとはいえないし、その自由の意識が国民に十全に確立しているとも思えない。戦後の日本の教育が共産主義者の日教組と皇国史観の自民党文教族によって担われてきたために、学校教育での自由と民主主義の教育がはなはだ不十分であるという事実は自覚されていない。


民族の体質としては、全体主義の色彩を強固に残している。それは、教育や人間関係、宗教などの文化に刻印されていて、条件さえそろえば、かっての中国の文化大革命の熱狂が、再現されるようなものである。民族の体質としての全体主義的な傾向を完全に克服し切れているものではないと思う。


戦後の学校教育が自由と民主主義教育において十分にその責任を果たして来なかったことは、いわゆる有名大学の卒業生たちがオーム真理教などに対して何らの免疫力も持ちえていなかったことからも明らかである。その傾向は現在も改善されてはいない。

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防衛庁正門の看板

2007年01月08日 | ニュース・現実評論
 

掛け替えられる防衛庁正門の看板

今日、防衛庁の看板が書き換えられたらしい。残念なことに国防省とは書き換えられなかった。国軍の名称としては、防衛軍や防衛省よりも、国防軍、国防省の呼称が適切であることの論拠については先に主張したとおりである。

 

首相のブレインに安岡正篤などがいなくなった現在の政権トップには、そんな言語感覚も問題意識もない。内閣官房や防衛庁に進言はしたのだが、政治家と国民多数が私と同じような判断に高まらないことには私のような無名の意見は無視されて現実のものにはならない。現在の日本の政治家の意識も国民の意識の水準も残念ながらこの程度であるからし方が無い。

まともな自由の意識も十分な独立の精神ももたない二流、三流の政治家と国民に対しては、引き続き我慢強く啓発し教育してゆくしかないのだろう。これは二流三流国家に生まれた宿命であるから仕方がない。

ただ歴史の評価に対してだけは謙虚にならなければならないと思う。
もちろん、私は私の判断に絶対的な確信は持っているが、それについて歴史がどう評価するかは私には分からない。だから、ここにその記録だけは残しておこうと思う。

 

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