「イラク開戦は間違い」 久間発言に米が抗議 2プラス2開催に影響も
(一)民主党の審議拒否
柳沢伯夫厚生労働相が女性を「産む機械」とした発言について、抗議し、また、柳沢厚労相の罷免を要求したことは当然だとしても、だからといって、2006年度補正予算案審議を民主党がボイコットする方針を決めたのは間違いである。社民党などの他の野党が追随しているのも同じである。
小沢民主党の体質の古さ、この党の未熟で子供っぽい「民主主義」はどうしようもない。いまさら小沢氏に説教も無意味だから、正しい民主主義教育を受けた世代の成長と交代に期待するしかない。さりながら、民主主義教育も含めて、肝心かなめの青少年の教育は、周知のとおりの現状である。
安部晋三首相の予算審議ボイコットの野党批判は正当である。だから、民主党のせっかくの柳沢厚労相の罷免要求も無意味になる。この調子では、民主党が政権を担当できる責任政党になるのは、百年河清を俟つようなものだ。
(二)久間防衛相の発言
先の二十四日に、久間防衛相が「イラクに核兵器がさもあるかのような状況で、ブッシュ大統領が(イラク開戦に)踏み切った判断は間違っていたと思う」と発言したことがニュースで報じられた。それを聞いたとき、すぐ直観的に、現職の防衛大臣がこのような発言をするのは、まずいのではないかと思った。
もともと、この大臣は日本の自主防衛という根本的な問題意識を欠いた政治屋であると思っていたので、期待は元からなかったが、しかし、こうした発言をするようでは、日本の国防すら危うくさせるのではないかと思った。
日本の独立と自主防衛ということを切実な課題として少しでも自覚しているなら、必然的に核武装が問題になってくる。しかし、この久間防衛大臣は、そうした国家の独立の問題には全く無自覚で、日本の防衛をアメリカ任せにすることに何らプライドも傷つかない人物でありながら、一方でこうしたアメリカ批判を行なう。この大臣の精神構造はどうなっているのだろうか。アメリカを批判するなら、日本の自主防衛を完全に実現してからにせよ。これでは、それでなくともアメリカ人が潜在的に日本に対して抱いている根本的な軽侮を、さらに強めるだけではないか。
台頭する隣国、共産国家中国との関係で、これからどのようにして日本の自由と独立を保持してゆくか、その切実な課題を、おそらく長期にわたって覚悟しなければならない立憲君主国日本にとって、こうした大臣の存在はその最大の障害になりかねない。今でも中途半端な自由と独立を、これ以上に失えば、どれほどの悲劇を国民として覚悟しなければならないか。自由と民主主義を、みずからの血と汗で勝ち取ったことのない国民の政治家の、脳天気な気楽さかもしれない。
(三)にやけた覇気のない官房長官、改革の意思の薄弱な幹事長。そして、こうした政治家しか閣僚にできない安部内閣。その一方で、野党である小沢民主党の、旧来の田中角栄張りの理念なき政治手法。先の期待できない教育再生。さらに、それらの根本にある大学劣化問題。二十一世紀の日本国の困難は決して小さくないと思う。誇りを失った国にならなければと思う。
根本的な救済は、小町人国家から民主的な武士道国家への転換にある。