この20年余ぼくは困難を極めていた。いいや、ぼくだけではどうもなさそう。
おかしいことに、普通に暮らしている人びとはまず例外なくぼくの知る限り、呆れるほど真面目で悪いことのできない多くの人々は困窮を極めていたようだ。
だからこそぼくは言いたい、春は近い、この失われた20年間の特殊な状況をきっちりと乗り越えて、…みんな、春を迎えようではないかと。
この20年余を、余るほどの富を得て笑いが止まらなかった人々も、当然ながらいらしゃることでしょう。でも、君らはもうそこまでだ。
流れはいつも前触れもなく変わる。
なんという根拠もないけれど、厳しい状況の中を生き抜いてきただけに、この間の困窮を極めた体験は、きっと乗り越えられるという妄想なのか願望だけなのか、きっと大丈夫という考えにぼくはとらわれているようなのですよ。
如何なもんでしょう?
フォト・文 石郷岡まさお