まさおレポート

津田委員長の辞任 その4 (創作的回想)

この事件の発端は山岸元委員長にまで遡るという。当時の理事長が無断で山岸氏の印鑑をついたというのだ。これも一般企業の感覚からはにわかには信じられない。しかしこの理事長が背任的行為をしたのが悪いので、山岸氏には特におとがめなしのようであった。

そのネット記事を見ている内にお昼になった。目の前をビラのスタッフのマデが通りかかった。
「マデ、バビグリンを二つ買ってきてくれないか」
「オッケー、マサオ」
「ナシとスープも二つお願いね」
ほどなくマデは熱々のナシ(ご飯)とバビグリンを買ってきてくれた。50円ほどのチップを渡しても300円もしない。
パラソルの下で連れ合いとランチを食べようとしたらオーナーの奥さんのピピと目が合った。
「ピピ、こちらにきて一緒に食べないか」と声をかけるとピピはにっこり笑って我々のパラソルにきて座った。ピピも手になにやらランチを持っている。既にスタッフに買ってきてもらったらしい。

マデに買ってきてもらったバビグリンを三人で分け合って食べた。このあたりには至る所にワルンや屋台があって、スタッフたちはほとんどの食事をこうした持ち帰りの食事でまかなっている。マデの買ってきてくれたバビグリンは実に旨かった。バビグリンは豚丸焼きをさすが、屋台などではその切れ端をパラフィン紙などに包んでくれる。頭からしっぽまで食べて、残すところは骨と皮しかない。なんだか想像のつかない切れ端がいろいろと入っている。黒いのや濃い茶色、白い身など実にバラエティーに富んでいる。店によっては感激するほど旨い。この日に買ってきてもらったのも脂身が旨い。

ランチをしながらピピと連れ合いに、今読んだばかりの記事の話をした。もとよりピピに日本の労働組合の事情が分かるはずもないが、まあ食事時の話題提供だ。
「一番いけないのはヤマギシよね」とピピは言った。
「だって、彼は無断で印鑑を使われたのだよ」と私は少し反論してみる。
「私にも似たような経験があるわ。印鑑ではないけど、信頼していたマネージャにビラのお金をごまかされていたの。お客の数を少なくして差額を自分のポケットに入れていたのを気づいた時は既に遅かった。200万円ほど被害を被ったわ」
「それで警察には行かなかったの」と連れ合いがピピに聞いた。
「お金が返ってくるわけでもないし、そんなことをしても無駄よ。家族にお金が必要だったのだと泣いて謝られて、首にしてそれで終わりよ。」

彼女は自分の身を山岸氏に置き比べてみて、「ヤマギシ氏に非がある」と判断した。ヤマギシ氏はこの場合ピピなのだが、管理し切れていなかった自分が悪いと明快に判断している。200万円というこの国ではかなりな大金も失っているにもかかわらず。

私はなるほど岡目八目とはよく言ったものだ、こうして全く関係の無い人の方が直感的に正しい判断をしているなと思った。

回想のNTTデータ


名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「通信事業 NTT・NTTデータ・新電電」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事