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まさおレポート

回想の孫正義 アマゾン株と「1997年情報通信21世紀ビジョン研究会」

 

 

次の記事を読んで22年前、1997年に開催された郵政省主催の「1997年情報通信21世紀ビジョン研究会」が記憶に蘇った。今から思うとこのころまさに交渉中だったのだ。

ソフトバンクグループの孫正義社長は米アマゾン・ドット・コムの株式を取得する機会があったにもかかわらず、あと3000万ドル(約33億円)が用意できなかった。孫社長は25日に都内で行った対談で、かつてアマゾン株の3割を取得する契約をする直前までジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)と交渉が進んだと明らかにした。孫社長は1億ドルを提示したが、ベゾス氏は1億3000万ドルを主張。孫社長はその価値はあると思ったが、資金がなく断念した。

現在のアマゾンの市場価値は8600億ドルを超える。もし孫社長が投資していたら、持ち分は2600億ドルになっていた計算だ。ソフトバンクGが保有する中国の電子商取引会社アリババ・グループ・ホールディングの価値は1320億ドル(14.5兆円)に達する。

1997年に開催された郵政省主催の「1997年情報通信21世紀ビジョン研究会」ではじめて孫正義氏を見たのだが出席委員の間で当時のアマゾンの経営スタイルと株価の話が話題に出た。当時のアマゾンはこの研究会が開催された1997年5月16日に上場し、赤字を続けていたにもかかわらず株価は初値1.73ドルから5ドル前後と高くなっていた。

研究会メンバーである慶応大ビジネススクールの教授A氏がこのような赤字会社の異常な株価は本来バブルであり、あってはならないものだと批判した。それに対して孫正義氏は手を挙げ、未来の成果を先取りするのが株価であり、アマゾンは正常な株価であると反論した。

経営学の学者が考える株価と実務家の考える株価に対する考え方が伺えて興味深いが、2018年現在1700ドルで時価総額80兆円を越していることからからみると孫正義氏の方が先見性があったことになる。(アマゾンは1995年から2001年まで単年度赤字が続き2002年にようやくゼロベースになりその後黒字が続いている)

孫正義氏にはこのAmazonが1000倍になったことを1997年から目の当たりに見ており、また自らのアリババが20億円から8兆円に4000倍と化けたことを体験したことで自己の投資先見性を確信しているのではないか。つまり孫正義氏にとってはAmazonが投資刮目の第一歩だったのだ。

そしてこの反論を行ったまさにそのときに上述引用記事の中にある30%株の取得交渉を行っていたのだと株価から推測することができる。1997年に開催された郵政省主催の「1997年情報通信21世紀ビジョン研究会」が1997年で、同年、つまりアマゾンはこの研究会が開催された1997年の5月16日に上場していた。まさにこの当時に交渉中でありアマゾンを深く研究中であったことになる。だから慶応大ビジネススクールの教授A氏の発言に黙っていることはできなかったのだ。

 

孫正義の仕事 1997年情報通信21世紀ビジョン研究会にみる先見性

2018-07-06 11:58:58 | 回想の孫正義
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