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まさおレポート

町田徹氏 NTT法廃止議論する審議会取りまとめが遅れる分析が鋭い

 

おかしいな、総務省のNTT廃止論議パブコメ募集が、まだ始まらないと思っていたら町田氏が貴重なレポートをしている。この方とはわたしがソフトバンク勤務時代に2回お目にかかって話もしたことがある。「光の道」問題で的確で鋭い分析をされたので印象にのこっている。また、中道的なバランスの取れたレポートだと思う。

 
先月中に開始するはずだったパブリックコメントの募集が始まってもいない。

遅延の背景には岸田政権に対する総務官僚の不振感がある。

総務省は昨年暮れに、自民党の政務調査会から、電気通信事業法や外為法の改正案を春の通常国会にNTT法の廃止法案と共に提出するよう義務付けられていた。

自民党が来年春まで政権を維持できる可能性が低いとみ、不本意だったNTT法の廃止についてサボタージュしている。

NTTの外資による敵対的な買収に対する備えが放置される。銅製のメタル回線を使った固定電話サービスの存続にNTTが忙殺させられて、生成AIや光電融合技術(IOWN)の実用化、データセンターへの積極投資といった攻めの経営の手足を縛られかねない。

NTT法の改正が必要で、自民党特命委員会に、甘利明議員を座長に「日本電信電話株式会社等に関する法律の在り方に関するプロジェクトチーム」を設置。政府保有義務を定めた条文の削除だけでは不十分であり、NTT法の見直しが必要と判断。政策調査会、昨年12月に公表した提言で、NTT法そのものの廃止を打ち出した。

2024年春の通常国会で、NTT法の改正。電気通信事業法や外為法などの関連法規の改正案を2025年の通常国会でNTT法の廃止法案を提出させるとした。

総務省は昨年8月「市場環境の変化に合わせた通信政策の方向性について」情報通信審議会に諮問を行った。「通信政策特別委員会」を設置し、同9月7日に第1回会合を開催。今年5月中に答申案を得ると公表した。

総務省が提出したNTT法改正案が4月17日に成立した。

NTTに電気通信技術の研究開発を推進する責務を課し、その成果の開示を義務付けてきた条項の撤廃。外国人の取締役や監査役の登用を役員全体の3分の1までは認める、NTTの裁量による社名変更の容認、剰余金の処分を巡る認可制の廃止。

「あまり意味がない。不十分だ」会社法上、総株主の1%以上もしくは300個の議決権を継続して6カ月以上持つ株主には、株主総会で議案を提案する権利を持ち、経営陣が応じたくない決定や国益に反する決議を成立させるケースが散見される。

米国が大統領権限で設置する対米外国投資委員会(CFIUS)に与えている国益の排除策を日本でも導入するという方策。CFIUSには、事前審査の免除などと引き換えに、万が一、外資が米国企業を買収した後になって、米国の安全保障を脅かす問題が生じた場合、その買収がなかった状態に戻すことを命じる権限を与えている。

自民党政務調査会、総務省は外為法の所管である財務省や経済産業省、日銀などに対して積極的にCFIUS導入を働きかけを期待されているのに、サボタージュを決め込んでいる。

外資の保有比率の引き下げを命じる法的根拠を欠いているために、LINEヤフーに対して、有効な是正策を命じることができず、韓国政府の反発まで招いてしまった。

旧LINE時代に業務委託先の中国企業の従業員が日本国内の個人情報データにアクセス可能な状態だったことが発覚したのに続き、昨年11月にも約44万件の情報漏えいを引き起こした事態にも対応が遅れていることは、外資規制の不備とその是正が待ったなしの重要事項であることを浮き彫りにしている。

旧式の固定電話サービスは、ピークだった1997年に全国で約6300 万契約が存在したが、2022年末には1500万契約に減少した。

自民党政務調査会は、全国「あまねく」提供サービスの対象を携帯電話や光ファイバーを使ったブロードバンドサービスに付随する電話に変更し、NTT東西のブロードバンド付随の電話に加えて、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクの携帯電話を「あまねく」供給義務のサービス対象に加えるように提言した。

総務省は自民党の提言への旗幟を鮮明にしていない。

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