(2013年9月24日加筆)
1990年8月9日朝フランクフルトに着く。カイザー通りを散策する。テレホンカードを購入したいのだがどこにも売っていない。睡眠不足のせいでこんなことにもいらつくことになる。うわさに聞いていたとおり、両替屋の態度の横柄なこと。商売とは思っていないのかも。朝の9時というのに客を引く女がいる。歴史博物館の裏手のレストランで食事をする。19DM。
フランクフルト市立美術館で学生らしい日本人の二人連れと少し話をする。どこを回ってきた、これからどこへ行く、そんなありきたりの会話と今夜の宿情報をしいれる。それにしても「地球の歩き方」をもっている人の多いこと。フランクフルトはゲーテの生まれた土地で「ゲーテの家」に寄ったがつまらないとの感想をもった。
1749年生まれ1832年死去 シラーとともにドイツ文学における古典主義時代を築く。
(メモ ファウストでメフィストテレスが右肩を落としてあるく。カラマーゾフのイワンも同じ。ファウストではあの世での魂の服従という言葉がでてくる。キリスト教的なものと矛盾する? )
フランスやイタリアでは遭遇した金をせびる男がここではいない。ドイツは洗濯物の乾きが遅い。喉もあまり渇かない。気候が違うようだ。
マインツ川を渡って市立美術館へ向かう。期待していたDullerの作品は一点しかなかった。作品は女性の祈る姿で他にクラナハやヤンバンエイクの作品もあった。
<市立美術館の収蔵品ではないが好きな作品>自画像、1500年、アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン 28歳
『四人の使徒』、1523-1526年、アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン
ヌフテピナコテークの窓から
ケルンへ向かう。途中に見えるライン川を楽しむ。古城と山の段々畑が見える。段々畑はフランスでは見なかったものだ。このあたりは牧畜風景が見えない。巻きわらもフランスとは形が異なる。円筒形にとんがり帽を乗せたような巻きわらが多い。
ケルンの大聖堂に到着。これを見るだけでも来た甲斐がある。夜には大聖堂の広場のステージでボーカルを聞く。観客は手拍子で応えている。よく手入れされた豚を連れた旅行者を見かける。紺のダンガリーシャツにジーンズ、ブーツそれにウェスタンハットのいでたちで、豚はピンクに輝きたすきのバンドで引かれている。果たして何かに対する抵抗の表現だろうと推測するがどうだろうか。
(メモ オーデコロン4711はケルンが発祥の地である。 バリのスーパーで4711石鹸をみた)
ホテルは清潔で気に入る。バスシャワーは共同だがいつでも使える。このあたりはさすがドイツという感じ。フランクフルトでは街がささくれ立っているのでいらだったがここでは穏やかになる。
8月10日
ベルツブルグの早朝、レジデンツを通りアルテマインブリュッケまで散歩する。マイン川をはさんで大司教の館を見る。教会が多い街だ。パン屋が朝早くから仕事をしていてパンを焼くよい匂いが漂う。
ベルツブルグ
8月11日
ベルツブルグからミュンヘンへと向かう。
ロマンティック街道を観光バスで。以前に東山魁夷の画集「窓」でみた風景が眼前に出現する。赤茶色の屋根と花が一杯の窓、それに吊り看板と石畳が目につく。そして壁が街全体を囲む。本物の建築物なのだがしかしなんだか観光用のつくりものっぽい。こういった街並みより田園風景の方に心惹かれる。
ロッテンブルグ
ロッテンブルグ
ロッテンブルグ
昼食をロッテンブルグでとる。ソーセージを食べる。白い色をしたレバーのソーセージ、赤い血のソーセージそれに日本でもよく食べる茶色のもの合計6本と大量のザワークラウトを平らげる。特に赤い血のソーセージは滋養のふくまれ方が半端ではない。濃厚な味が口中に広がり、味に対する抵抗と魅力が拮抗する。夜になっても腹が減らない。
バスの車掌は中年の女性で途中下車を申し出るとすこぶる機嫌が悪い。サービス業の自覚が全くないらしい。なんだかんだと悪態をついているらしいがよく理解できない。この愛想の無さは国営バスなのかもしれない。日本人が奥のいこごちの悪い座席に押し込められているなど、この女車掌は日本人に対する人種差別もあるのかもしれない)
(メモ 映画the reader でケイント・ウィンストレット演じるバスの車掌の雰囲気が近い。記憶の女車掌はあれほどの美女ではない。)
この日は何故か結婚式を3回も見る。バスで隣り合わせたイギリスのマンチェスターに語学留学している21歳日本人の青年とひさしぶるに日本語の会話を楽しむ。
この青年も久しぶりに日本語がしゃべれるのが嬉しいとのことだ。この青年によりイラクのクエート侵攻を知ることになる。月に150ポンドで生活していることや毎日でる下宿の食事が一週間全く同じ野菜と肉の煮物で閉口する話、パリの駅前でプロフェッショナルの人(売春婦?)と寝たこと、パリの駅にあるアコモデーションで追い払われた事などを話してくれる。
夜、ミュンヘンの広場に出向く。レストランは広場に張り出して屋外にテーブルを並べている。中で食べる人よりも広場のテーブルで食事する人の方が断然多い。そこら中で大道芸が展開される。定番の火吹き男、バイオリンを弾く二人組の若い女性、アコーディオンを弾く女の子といってもよい女性、カップルのカントリーソングといろいろ楽しませる。なかでもこのカントリーソングが一番上手い。スタンバイミー・明日に架ける橋など。
この後にルンペンが二人現れてこの二人にジョインしレットイットビーを歌う。おもわぬハプニング。