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ドスエフスキーは「カラマーゾフの兄弟」でロシア人の原型を表現した。野蛮で狡猾なカラマーゾフの血が流れている彼らのあるいは自己の冷静な批判の上にカラマーゾフの血が流れていながらも救済を目指す人物アリョーシャを書き切ろうとしたが未完に終わった。未完に終わったという点が実に予言的だ。「カラマーゾフの兄弟」は「ロシアの兄弟」なのだった。
ドスエフスキーはアリョーシャを切望していたのだ。イワンやドミトリーそしてフョードルをも説得しうる人物を。そしてロシア正教会にゾシマ長老を。
プーチンが兵士母の会で「人はいずれ死ぬものだ」と言い放った。わたしにはいかにもイワンが言いそうな言葉に聞こえる。
追記
下記の気になる記事を転載しておきます。ますますドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」のイワンを暗示している気がしてならない。
1 イワンは西欧を捻れた感覚で見ている。惹かれながら憎んでいる。プーチンも同じではなかろうか。
2 イワンは神を嫌いながら神を作り出さないといけないと不遜な考えをもつ。 プーチンもロシア正教会の長老(元KGB)を引き立てている。
3 イワンは狂っていき、作者ドストエフスキーは最後は狂死を示唆している。プーチンはどうだろう。本当のところは不明だがこのところ精神変調などを報道されている。報道される動画を見ても目がなんだか異様な目つきに見えてくる。
4 未完の次作では三男アリョーシャがロシア皇帝を倒す予定だったらしい。果たしてアリョーシャがロシアに現れてくれるだろうか。現れて欲しい。
初稿2022-04-15 10:20:28
世界を核で脅かし、世界からジェノサイド、虐殺者と非難されるプーチンの思考回路は一体どのようになっているのだろう。自由主義に組する国と相当に異なっていることは確かだろう。そして80%以上の支持率を誇っているということはロシア国民もプーチンの思考回路と共通したものが根底にあるのかもしれないが情報統制の結果かもしれない。ロシア国民のプーチンの思考回路と異なる人たちも必ずいることに期待したいのだが。
プーチンの思考回路を考えるにあたってドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」に理解のヒントがあるような気がする。
【ワシントン=横堀裕也】米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は14日 プーチン氏について「ロシアの影響力を取り戻すことが運命付けられていると、神秘主義的に信じ込んでいる」と分析。「ウクライナの支配なくして、ロシアは大国たり得ない」との考えのもと、今回の侵攻に及んでいるとの見解を語った。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220415-OYT1T50204/
「カラマーゾフの兄弟」の主要な人物イワンを連想してしまう。イワンは大審問官の話を弟のアリョーシャに話して聞かせる。神のいる世界は受け入れられないので自らが民に必要な神を作り出さなければならないという。大審問官の物語を借りてカソリックに代表される世界の宗教概念を覆す宣言をする。目覚めたものは何をやっても許されるという考えを持つ男イワンをドストエフスキーは作り出した。
プーチンはイワンと重なる。両者は不遇な育ちをしている、頭が良い、金儲けの才もある、女好きである、そしてイワンは無神論者でプーチンもおそらく無神論者だ。
イワンは悪魔の幻覚を見るようになり狂う。ロシアの未来は弟のアリョーシャが担うように示唆しながら小説は終わり、予定された続編は作者ドストエフスキーの死によって幻のものとなった。作者の語った所ではアリョーシャは皇帝暗殺者となる構想だったとか。
ロシア人も幅広い、長兄のドミトリーは小さな子供たちがひどい目にあっているのに罪悪感を持ち、囚人となって償いたいと考える男で、弟のアリョーシャはロシアの大地信仰に根を下ろした慈悲深い信仰心をもつ。
米国をはじめとした世界はロシアの侵攻をハイテク兵器の無償提供と経済封鎖で抑えようとしている。これも相当な効果を持つことを大いに期待するのだがプーチンがいる限り短期的には無理だろう。
世界は、そして実はロシア国民もロシア人の中からドミトリーやアリョーシャ、そしてゾシマ長老の登場を待っているのではなかろうか。
ただしロシアのキリル総主教にゾシマ長老に相当する期待を込めたいがどうもその期待を大きく裏切るような存在らしいことも大きな問題だろう。
元ウクライナ大使の角茂樹氏は「総主教というのはキリストの弟子の後継者であり、聖なる人と見られる人物ですが、キリル総主教は政治的な力も持っていると言われています。私の知人の聖職者はキリル総主教について『1に政治家、2に外交官、3,4がなくて、5に聖職者』と言っていた。批判する人もたくさんいるのは事実です」と話す。
https://www.j-cast.com/tv/2022/04/14435308.html?p=all