まさおレポート

記憶の断片 新幹線と理髪師

四国の詫間という町で全寮制の高校生活を過ごした。海軍航空隊の跡地を利用した敷地の中心から離れて海岸に面した片隅にぽつんと理髪店があった。全校生400人強の頭を刈って商いとしている。ひと月に一回かあるいはもっと間を空いてかその理髪店で丸刈りにしてもらうのだが、この理髪師の兄さんが頭を刈っている間に香川弁丸出しで色々と話をしてくれた。

昭和39年10月に開通した新幹線に乗るというただそれだけのために大阪まで出向き、東京まで往復してきたという。新幹線で東京・大阪間の往復料金が1万円程度したらしいが、それを単に初物好きということで乗ったというそのあまりの話に、あっけにとられた。馬鹿らしさとともに、初鰹を食うために女房の着物を質に出しかねないという江戸っ子気質を感じたのかもしれない。

当時の校内の素うどんが20円の時代で大卒初任給が2万円程度という物価事情だから現在の約10倍の感覚だとすると、今でいえば10万円近い金を払って新幹線初乗りをしたということになる。

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