バリ人男性と結婚したある女性の告白談。
この女性は妊娠しているときにバリ人夫から暴力を受ける。夫の実家でも両親の前で暴力を受ける。子どもの前でも暴力を受ける。この女性は結局まだ幼い男の子を連れて日本に帰ってしまった。このバリ人男性は外づらが極めてよく、愛想がよくて笑顔を見せる。
スミニャックにあるビラのプールでこの母娘が遊んでいたときのこと、幼い息子がこの女性に癇癪をたてて腕を噛んだ。そのときのこの女性の怒り方は凄まじい。湿気て点火しなかった花火が突然爆発したような怒りの爆発でこの女性の受けた(あるいは受けている)ドメスティック・バイオレンスがこんなところで発現するのだと知る。
また別人のある人のブログでもバリ人の夫の暴力が記されている。やはり両親の前で暴力を振るうのだそうだ。(両親は泣いてくれるのだが、この点も先ほどの女性と同じだ)
ドメスティック・バイオレンスはバリ人特有のものではないのだがこう重なるとバリ特有のなにか因習的なものが潜んでいるのかとも思ってしまうがそれは違うだろう。幼い頃の記憶を辿ると近所のとすけさんはよく嫁を殴ってはあざをつくっていたし、20代のはじめに住んだアパートの隣人の夫はいつも金曜の夜に派手な暴力を奮っていてこれまた黒いあざをよく目の周りに作っていた。人種を問わずにドメスティック・バイオレンスはあるものらしい。
村上春樹の1Q84でもドメスティック・バイオレンスの男性が青豆に殺害される。このドメスティック・バイオレンス男性は妻をゴルフクラブで殴って肋骨を数本折るようなことをする。腹や背中、太ももから足の裏にいたるまで青黒く変色している写真をみせられる。ひと目につく顔は殴らないところが陰湿である。
なにかと耳にするバリ人あるいはジャワ人のドメスティックバイオレンス、これって別にバリ島だけに特別多い話ではないが国際結婚している日本人嫁が被害に遭っているとなるとどうしてなのかと思ってしまう。
日本でもかつての男どもは妻を殴るのは当たり前で誰も事件とは認識しなかった。今でも日本の警察は民事不介入とか言ってなかなか事件視してくれないと聞く。榎本武揚が酒乱のあげく妻を切り殺したなどはその典型か。
欧米化とともに事件視されるようになってきた。しかしバリ島はまだ西洋化が進んでいないので男どもの意識は伝統的なままに残されている。表向きは社交的な笑顔の裏に意識は古いままにある名残か。これはバリだけではない、モロッコ人と結婚した女性のブログでもドメスティック・バイオレンスがあると書かれていた。