まさおレポート

コロナ禍で孫正義氏のグローバリズム軌道修正はあり得る

「いまのSBGは投資会社であり、事業会社ではありません」
 果たして、孫氏は1兆円もの大赤字の原因となった投資事業についてどう捉えているのだろうか。実は、それを読み解くヒントとなる出来事が3カ月前にあった。

 ジャーナリストの大西康之氏は「文藝春秋」6月号及び「文藝春秋digital」に掲載した「『赤字1兆円』孫正義は生き残れるか」の中で、投資事業に対する孫氏の姿勢について詳細に分析している。

 2月12日に開かれた2020年3月期第3四半期決算説明会での大西氏との質疑応答の場面で、孫氏はまず、「いまのSBGは投資会社であり、事業会社ではありません」と断言した。

「25兆円の株主価値」を強調 ©共同通信社
「25兆円の株主価値」を強調 ©共同通信社
 大西氏が、「では、これからは孫さんのことを事業家ではなく投資家と呼んでいいですか」と尋ねると、孫氏は「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットに言及し、こう答えた。

「私は『情報革命家』です。それではわかりにくいというのなら、投資家でもいいのかもしれない。そうだ。先だって台湾に行った時、台湾の新聞が『日本の冒険投資家がやってきた』と書いていました。私はウォーレンのような『賢い投資家』ではありませんが、『冒険投資家』ですね」

 だが、孫氏が自信満々に「冒険投資家宣言」をした3カ月後に、ソフトバンクは史上最大の大赤字を発表することとなった。今後、コロナ禍によってさらなる悪影響も出てくるだろう。はたしてこの先、孫氏は生き残ることができるのだろうか。

出典:「文藝春秋」6月号
出典:「文藝春秋」6月号
「『赤字1兆円』孫正義は生き残れるか」では、SVFが抱え込んだ巨額損失の要因となったウーバーやウィーワーク、インドの格安ホテルチェーンOYOへの投資の分析に加え、還暦を超えた孫氏が目指す「経営者としての集大成」について、長年取材を続けてきた大西氏ならではの予測も披露している。

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グローバリズムとは人権費の安い国民の労働力を使った製品を産出する中国共産党を富ませることであり、富んだ国力は軍事力にはね帰り尖閣を脅かす。このおかしな構造の矛盾はどこにあるのか。同じ価値観を共有しない国とのグローバリズムは極めて危険なことをようやく知ったことになる。

 

 

コロナ禍で孫正義氏のグローバリズム路線の軌道修正はあり得るかを考えてみた。

コロナ禍で(ウィワーク経営者の評価下落とともに)ウィワークの失敗が顕著になり、そのほかの金の卵25社も倒産の危機になるかもと発表するなど、3月期決算発表の孫正義氏は冴えなかった。

ウィワークのオフィスでは重要な会議や機密資料を共用 オフィスで中国企業と共有する恐れがあり先進諸国の企業で忌避の傾向が今後も現れるだろう。

2018年12月5日、中国・ファーウェイのCEOがカナダで逮捕される。ファーウェイ トランプ米大統領は「アメリカの公的施設からファーウェイは締め出す」と発表、ソフトバンクは経営戦略の見直しと莫大な切り替え費用が発生した。

アリババは中国とのグローバリズムでの大成功の例である。しかし破綻の兆候は見られる。トランプ政権の最近の発言からはアリババ米国上場も取りざたされている。アリババの透明性不備が米国の会計基準に合致しておらず、それを問題視する可能性が出てきた。

電力のスーパーグリッド構想もグローバリズムの典型だが中国、ロシア、韓国を巻き込んだ構想が最近の安全保障、地政学的な懸案で破綻する可能性も高い。

ビジョンファンドの主要投資元PIFもカショギ氏暗殺以来疑問符がついている。これもグローバリズムが安全保障、地政学的な懸案と底流で通じ合う危険性を内外に知らせた。

スプリントは米国がグローバリズムに反旗を翻したことの表れだ。

こうしてみると安全保障、地政学的な懸案と孫正義氏流グローバリズムの盛衰は表裏一体であることがわかってくる。

グローバリズムの危機は以下の例で顕著だ。

「アメリカ・ファースト」 トランプ大統領 中国で作る米企業アップルの「iPhone」ですら排除の対象となっている。

最も安い材料や部品をかき集め、人件費やコストが最も安い国で作り最も高く売れる国で販売するグローバリズムモデルは平成とともに終焉した。そう判断しなければならないだろう。

2018年末から始まったTPPですら域内で売るモノは域内で作ろうとの貿易協定でありグローバリズムモデルの先行きを示唆するものだ。

中国共産党の巨大資本、巨大国営企業が巨大市場を独占することの危険さを世界は身をもって認識した。金で技術、会社を商品のように売り買いして金儲けするモデルがグローバリズムだが中国共産党がグローバリズムモデルを使うことでその危険さが浮き彫りになった。

グローバリズムで伸びた孫正義氏の経営モデルがグローバリズムの破綻で見直しを迫られている。

 

 

三洋電機、シャープ、NECそして東芝が破綻寸前まで追い込まれたのは企業の努力を怠ったことも要因だが、大きくは中国とのグローバリズムに敗れ去ったと言える。世界の巨大企業はGAFAをはじめとしてグローバリズムの盛衰と歩調を一にしていないように見える。平成が終わり、既に新しい元号を迎えた日本では従来のグローバル戦略はもはや時代遅れになる可能性もある。孫正義氏はグローバリズムの盛衰でそのように舵を切っていくだろうか。

 

アングル:ソフトバンクGに米中リスク浮上、アリババ株に影響も
平田紀之
3 分で読む

[東京 26日 ロイター] - ソフトバンクグループ(SBG)(9984.T)に、米中摩擦という新たなリスク要因が浮上してきた。米国で中国企業の上場を制限する動きが浮上し、同社の「虎の子」といえる中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)(BABA.K)株式への影響が懸念されている。アリババ自体の業績は好調だが、仮に上場廃止とでもなれば、流動性低下を通じて株価に悪影響が出る可能性もある。

<米上院が全会一致で可決>

米上院は今月20日、一部の中国企業による米株式市場上場を制限する可能性のある法案を全会一致で可決した。同法案の下、3年連続で米公開会社会計監督委員会の監査基準を順守できなければ、企業は米証券取引所での上場が禁じられる。さらに、外国政府の保有を巡る情報開示も義務付けられる。

同法案は全ての外国企業に適用される。しかし、トランプ政権が中国への強硬姿勢を強めるなか、中国企業が標的になっているというのがもっぱらの見方だ。

アリババは2014年9月にニューヨーク証券取引所に上場。現在の株価は、初値から約2倍となる200ドル前後で推移している。SBGの保有株のうちアリババ株は半分以上を占める。

「最悪の場合、上場廃止となるのではないか」──。そんな恐怖が市場に広がる中、同法案の上院通過が伝わった後、アリババの株価は軟化。22日には6%近く下落した。SBGの株価は小動きだったが、保有するアリババ株は21日に約3000億円、22日に約9000億円、それぞれ減少し、SBGの株主価値も目減りした。

<「余裕」のSBGは静観>

アリババは昨秋、香港市場にも重複上場した。仮に米市場で上場廃止になっても、すべてのマーケットで売買できなくなるわけではない。東洋証券のキョウ静傑アナリストは「ADR(米国預託証券)しか上場していない他の中国企業より融通が効く」と指摘する。

アリババ自体の業績も堅調だ。22日に発表した第4・四半期(1─3月)決算は、市場予想を上回る22%の増収で、利益も予想を上回った。新型コロナウイルスの影響によるロックダウン(都市封鎖)に伴うインターネット通販需要の拡大が寄与した。

SBGの関係者は、米市場での上場に制限がかけられたとしても「アリババの本質的な価値に変化があるわけではない」と冷静だ。短期的にNY上場の株価が悪影響をうけたとしても、アリババ株に価値がある以上、「中長期的には裁定が働き株価は戻る」と話している。

SBGの財務体質も以前より堅牢だという。孫正義会長兼社長は18日の決算会見で、コロナ・ショックの受け止めについて「過去に比べれば余裕で崖の下をのぞいている状況」と語った。「指二本で体を支えているような危機感だった」

ITバブル崩壊後や、「腕一本で支えている感じだった」リーマン・ショック後に比べれば、資産を現金化し財務改善する余地があると説明した。

<今後の戦略に影響も>

しかし、アリババ株の下落は、SBGにとって痛手であることに変わりはない。SBGが重視する株主価値が縮小するほか、先行き保有株の売却で期待していたような資金も得にくくなる。新型コロナウイルスの影響を大きく受けている現在のような状況では、投資戦略にも狂いをもたらしかねない。

SBGは3月、資産4.5兆円を売却して資金を調達し、2.5兆円の自社株買いと債務圧縮、手元資金に充てる計画を発表した。このうち、アリババ株の一部の先渡売買契約や通信子会社ソフトバンク(9434.T)株の一部売却を通じた約1.5兆円の資金調達と、1兆円の自社株取得枠の設定にすでに取り組んだ。

「今回の売却は保有株の5%に過ぎず、負債削減も考慮すれば利払い能力への影響は限定的」(UBS証券の高橋圭アナリスト)とされるが、通信子会社株はSBGにとって利払い原資の大黒柱。保有株の株価が下がれば、売却株数も多くなる。

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S&Pグローバル・レーティングの西川弘之上席アナリストは、アリババ株の流動性の高さや信用力がSBGの信用力を支えている面が非常に大きいとし「その価値が大きく動くのは格付け上、マイナス評価になりやすい」と指摘する。

SBG傘下のビジョン・ファンドの投資先は「米国4割、中国4割、そのほか2割」(孫正義氏)とされる。

中国企業が新規株式公開(IPO)する際には「米国の方が、香港や中国本土市場より流動性が高く、株価が高く評価される可能性がある」(国内証券)という。米国で中国企業が上場しにくくなれば、今後の投資戦略にも影響しかねない。

 

中国国家電網公司、韓国電力公社、ロシアの国営送電会社と油断のならない国々が顔をそろえている。会長に中国国家電網会長の劉振亜氏が副会長には孫正義氏が就任しており孫正義氏は「アジア・スーパーグリッド構想」の中心的役割を担っていると目されている。

モンゴルで発電したクリーンエネルギーを日本が利用できる、善意からみればなんと素晴らしいことだろう。孫正義氏は純粋な善意と志でここまで成功してきた傑物であり、私も身近に接した経験で心から思うのだが実に純粋で善意に満ちた人である。だからこそプーチンやサウジの王子を魅了したに違いない。

だがご注意あれ、世界の一部は途方もない策略に満ちた世界だ。いかに純粋で善意に満ちた巨人孫正義氏であっても彼らの世界制覇の策謀の前にはひとたまりもなく取り込まれてしまう。おまけに巨人となってしまった今日では善意の人孫正義氏に反論を述べる人はおそらく一人もいないだろう。(かつては直言をする人材が多くいたのだが)

だからこそ米国のように事前に防ぐような法の制定が必要なのだ。

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