ほぼ一週間かかってこの本を読了したことになる。以前読んだ時は分厚いハードカバーだった。今回は文庫本で上下2巻に分かれていたのでそれほどの分量とは思わなかったがやはり相当なボリュームだ。
上巻でもった不思議さは下巻で多少わかったきにはなる。しかし依然として謎のままの話も多い。
ストーリーは全く異なる二つの世界が交互に進展する。いったい何の関係があるのかさっぱりわからないままに、別の物語として読むしかないと観念して読み進めると、一角獣とか図書館の女の子とか共通の言葉が出てくるが同じではない。
この不思議ワールドがやっと博士の説明で分かってくるのは下巻のp104にいたってだ。手書きの電気回路みたいな脳の配線図が描かれてそれをもとに博士は説明する。
男の脳は改造されており意識の核をこの男は2種類持っている。本当は3種類だが説明の便宜上2種類で十分だ。この意識の核が接点で切り替わると高い塀で囲まれた世界へ移行する。
この世界は時間がない。これは夢に時間がないというのと同じだという。なるほど一応説得性がある。従って永遠に生きることになるとのことだ。なるほどカンダタの夢を彷彿とさせます。
なぜこんなことが起きるかというと意識の核が再編成されているために記憶も変化している。となると同じインプットつまり生きて認識する情報も異なった世界ととらえるということだ。SFのパラレルワールドと似たことが起きるのだという。
それで二つの世界が平行して進展していくことはわかった。同じ情報をインプットしても意識のコアがことなると全く違う世界を生きることになるというのは凄い。
このあるようでない世界あってもおかしくない世界を日常のこまごました情景を村上春樹流に描きながら読ませる。リアリティーを付与するということで小説に仕立て上げる。
まだまだよくわからないこと、妙に納得したことを今後の自らへの参考にあげておこう。
・百科事典棒 百科事典の情報量もマッチ棒の長さであらわされる。無理数は小数点以下が無限に続く。つまり情報量は無限だ。もし無理数たとえば円周率パイの長さに正確にマッチ棒を切れるとしたらこの長さがあらわす情報量は無限だ。(実際は粒子の大きさが限界になるが)むむなるほど。
・一角獣はなにをいみするのだろう。
・「世界の終わり」と称する世界では僕と影がはがされて、影だけが生きているがこれは一体何を意味するのか。「ワンダーランド」と称する近未来の「私」の意識の表層部分と称する「心」のことなのかな。
では森の奥に言ってしまうということは「世界の終わり」に永遠にとどまるということか。
・図書館の女の子の母親は心を持っていたというが、。「ワンダーランド」の事象のどれと対応しているのか。
・一角獣が人の心の何かを食べて死んでいくというのは「ワンダーランド」の事象のなにと対応しているのか。
もろもろの疑問を解くカギはショーペンハウワーの「意思と表象としての世界」が握っている気がするが。
村上春樹ワールドの深さと広さの海で泳いでいました♪