えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

殻ちゃん~最終回

2015-03-18 10:44:02 | 歌う

               ・・・ 殻ちゃん~最終回 ・・・

 8月末日、QA会の講習を終えて殻ちゃんがビルをでたとき、塔君が立っていた。

  塔▼「キミに聞きたいことがあるんだ。遊歩道へ行こう」 さっさと歩き出す。4日前に二人
     が坐った木陰のベンチが空いている。塔君と殻ちゃんは少し離れて座る。

  塔▼「キミのお父さんの血液型を知りたいんだ。何型なの?」

  殻  「AB型よ。世界中に5%しかいないからパパは貴重な人間なんだなんて言ってる」

  塔▼ 「よかった。AB型で。母はB型、ボクはO型、だからキミのお父さんは、ボクの父の
       の筈がないんだ。キミはボクの妹ではない。」

  殻  「あら、アナタはお兄さんじゃないの。残念だわ。ワタシはお兄さんが欲しかったの」

  塔▼ 「キミより2か月だけ年上だね。でもお兄さんだったらボクの嫁さんになれない」

  殻  「ワタシがアナタのお嫁さんに?まさか!アナタは女の子の憧れの的。ワタシより
      可愛くて利口な女の子が沢山いるじゃないの」

  塔▼ 「冗談じゃない。うちのクラスの男子はみなモテない。なにしろ担任のシンジロウに
      女子はみなのぼせてる。キミは男子に人気があるよ。別名はシュガーレス・水口
      いま甘くてべたべたした女が多いから、甘さ控えめ女子が男子に受けるんだ」

 殻ちゃんは驚く。醜いアヒルの子が白鳥になった童話を思い出す。クリームパンが好きな
ワタシが甘さ控えめな女子とは。もし小学校のころ勉強ができたら塾へ行かなかった。授業についていけなかったから近くの塾へ、生徒が集まらない塾なので丁寧に指導してくれた。神山中学はまさかの合格、でもまた落ちこぼれ。QA会のおかげで塔君と親しくなった。自分のマイナスがどんどんプラスに変わる。この世はおもしろいなあ。QA会の夏期講習で成績がアップした。来週から2学期が始まる。もう大丈夫。落ちこぼれたりしない。今日のことをママに話したいが、Xmasプレゼントにしょうかな。カードに書いて。パパには内緒に。

 ふたりの前を赤トンボが泳ぐようにすぎてゆき。もうじき夕日が沈む。 (終わり)

※  ながい間、「殻ちゃん」をお読みくださりありがとうございました。後篇は9月からです。
    来週から ★ 地球そぞろ歩き を連載します。私とともに地球を歩きましょうよ。

                 3月18日  よく晴れて暖かな昼  松井多絵子