ようやく殺人的な暑さが和らぎ、ふと正気に戻ったような気持ちであります。
例年だと、畑は土づくり、元肥・石灰の漉き込みを終えてとっくに秋植えの野菜が植わって無ければならない時期なのです。
朝夕かろうじて草取りをし、鉢植えに水やりするだけのナマクラ農法なので、暑ければ休み、雨ならば眺めるといった按配です。
梅雨前に植えた野菜は、大葉を除いてすべて撤去しました。わずかな菜園(15坪)ばかりの面積ですから、何を植えてもすぐ一杯になります。菜園の端っこにキュウリやナス、オクラなどを植えていた以外はスイカが占拠していました。
一般的に家庭菜園は、肥料過剰になりやすいんです。一旦植えてしまえば草取り以外にやることはほとんど無いので、ついつい化成肥料やらたい肥を施すことが多くなります。肥料が多すぎると、徒長という現象がおきます。ツルや茎がどんどん伸びる割には肝心の野菜がとれないという状態です。例えばサツマイモなどは、一切肥料を入れないくらいにしないと「ツルボケ」になって肝心の芋が大きくなりません。ブロッコリーなどは、窒素分が多くなりすぎると花蕾がつかなかったりします。かといって、有機肥料が不足すると土が固くなっていい野菜に育たないということもあり、なかなか加減が難しいのです。
ともあれ、遅ればせながら、苗や種を調達しました。それから、苦土石灰、鶏糞・自家製ぼかし肥料、たい肥などは撒きました。こういうのを泥縄式農法と呼んでおります(笑) 降雨によって勝手に土中に混ざっていくのが理想ですが、鍬で土を起こしよく耕すのがコツです。(暑さでここがちょっと心もとない)
最も大事な作業は、何をどこに植えるかということです。大体土づくりが終わったら、収穫まで長いものから順番に位置を決めます。まず、ニンニクです。しっかり固く締まった有機栽培のニンニクは甘みがあって美味しいものです。9月植えで翌年6月収穫という長期栽培になりますから、冬場でも日が当たる場所で、昨年植えてない畑の端に植えます。連作障害があるので、同じ場所は生長不良になります。来年までいろいろな野菜を次々につくるので、畑の真ん中に植えると邪魔になります。
玉ねぎも植えました。こちらは種より、玉ねぎの球根を植えた方が、収穫までの時間を短縮できます。うまくいけば年内収穫も出来ます。これもニンニク同様、連作は避けます。
次は、冬に育てる野菜の定番キャベツとブロッコリーです。カリフラワーも少し。キャベツは、何よりマルチングが重要です。元肥をたっぷり入れて高畝に苗を植えつけ黒マルチをします。マルチングは、保水保温効果のみでなく防虫防草効果も高く、株元を清潔に保つうえでもとても大事な作業です。
ブロッコリーも同時期に植えますが、こちらはマルチングより支柱による固定が不可欠です。台風時期にかかって強風によって茎が折れたり倒れたりするのを防ぎます。茎や葉っぱが重くて頭でっかちになるので、長めの支柱を刺します。
植え付け後2週間くらいは根張りが弱いので、水切れにならないよう注意いたします。これで一安心なのですが、次は、ヨトウムシ・アオムシ・アブラムシなどの害虫との戦いです。植え付けに並行して土中には殺虫剤を混和します。ダイアジノンと根きり虫用の殺虫剤です。場合によっては浸透移行性のあるネオニコチノイド系の農薬も使います。葉っぱが生長するとアゲハと夜盗蛾が産卵しますから、これを毎朝探して駆除します。これなしでは、野菜は作れません。無農薬栽培は、労多く、ぼろぼろの野菜になってしまいます。それでも、初期の段階で農薬を使えば、自然に分解無毒化がすすむので健康被害になるようなことはありません。収穫間際の使用だけはやらないようにしております。
涼しくなれば、腹をすかしたヒヨドリが葉っぱを食べに来ます。この時期には仕方ありません。キャベツ・ブロッコリー全体にネットを張って防御します。とはいえ、すこし余計に植えて、鳥用の食料も用意してやります。
そうして秋植えのジャガイモ!家庭菜園の定番であります。現在ホームセンターでも農協の店頭でも取り扱っておりません。聞けば、種イモを仕入れても、暑さでその日に腐り始めるほどなのだそうです。ジャガイモの栽培は、植えるタイミングがちょっと難しく、寒さは強霜や霜柱を避ける。暑さは30℃以下にする、という二つをクリアできれば年二回栽培できます。秋植えは日中の気温が30℃以下にならないと、葉っぱが溶けてしまいかねません。かといって、遅くなると芋が生長する前に霜が降り、葉っぱが黄色く枯れてくるのです。もう少しのガマン、種イモが出回らなければ、スーパーのジャガイモを植えます。
そして、にんじんの種をまけば、そうですカレーの材料「ジャガイモ・ニンジン・玉ねぎ・にんにく」が全部自前で揃うことになります。惜しむらくは豚や鶏などの肉類だけは作れないのです。