植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

蕎麦打ちの道は険しく長そう

2021年01月23日 | 雑感
 唐突ですが、急に「蕎麦打ち」をやることになりました。先日、台所で、コロナ情勢や犬友からの地域・特ダネ情報を家内から聴取するための会食中、何かの拍子に冗談交じりに「これまでいろいろやって来たが、あとは、そば打ちくらいのものだなぁ」と何気なく口にしたところ、思いがけない言葉が返ってきました。

 「私は、大賛成よ。亡くなったおばあちゃん(義母)は若い頃、自分の畑で育てたそばを挽いて蕎麦を打っていた。とてもおいしかったそうよ。ウチで食べ切れなくても、持ってくところは5軒はあるから無駄にはならない。」と言うのです。そんな簡単に出来るかよ、と心中では思ったものの、思い付きとしては決して悪くなかろう、何でもやってみて損はなかろうと。

 そういえば、思い出しました。50年以上前、小学校の平教員だった父が、田舎から「うどん打ち機」なるものを貰ってきて「教員辞めたらうどん屋を始める」と言い出しました。件の機械はおそらく戦前のもので、永らく使ってなかったと見えて、錆だらけでほとんど動かないものでありました。父は、あちこち外して分解、洗って油をさし、しばらくうどん粉をこねたりそれを捨てたりしてましたな。
 記念すべき手製のうどん一番打ちは、錆で赤く染まり油が浮きとても美味しいといえるものではありませんせした。それ以降、そのうどん打ち機は新聞紙にくるまれたまま、押し入れから出されることはありませんでした。
 
 ワタシが人からもらった唯一の色紙は、冒険家ロッキー青木(鉄板焼きレストランチェーン「紅花」創始者)の自筆です。「〇〇(私の名前)君 人生死ぬまで挑戦だ」と乱暴な字で書かれていました。数十年も前のことで、どうして貰ったかよく覚えておりませんが。しかし、挑戦することは大事なんだなぁ、と心に留め置いています。

 そうしてワタシ、即Go-to蕎麦作りを決意しました。例によってヤフオクで中古の「本格的蕎麦打ちセット」を見つけ、即決価格で落札いたしました。19千円であります。
 ネットではこの種の新品のセットはたくさん売られていて、初心者用・普及型で1万円くらいからあります。しかし、ワタシの乏しい経験からすると、こうしたものは得てして子供だまし、安物・小型なので、やり始めると中途半端な道具に物足らなくなって、それぞれを買いなおす羽目になります。書道でも、千円程度の安い筆や硯、機械漉き紙などは1年で嫌になりましたからね。

 自分が何かやるとき、退路を断つ、くらいの気持ちが必要だと思っています。ですから、わざと周囲に宣言し、さらに簡単にやめるにはもったいない程度の初期投資を行います。使ったお金を無駄にしないようにと、自分に叱咤するのであります。そして、始める場合はあり合わせでなく、とりあえず一式、それ専門の用具を揃えます。長年行われている数多の作業や制作は、経験と試行錯誤の末、最も合理的、効率的な専用道具によってなされているはずなのです。

 それで、昨夜蕎麦打ちセットが届きました。ある程度のまとまった量を作れる(らしい)70㎝角の麺台と面棒に「こね鉢」など6点、なかでも期待していたのが、麺切包丁です。「堺一文字光秀 麺切 包丁 」とありました。通常の蕎麦セットには最も廉価なステンレス製包丁が入っていて、せいぜい4,5千円程度のもののようです。しかし、この包丁は、プロ用に作られている最低でも4万円はする高級な代物なんです。
こんなものの贋作をわざわざ作る人もいないでしょう。もし作るとしたら、文化包丁など一般的に需要の多いものでしょうから。

 ワタシが想像するには、定年前後の男性が、長年やりたかった蕎麦作りをするために買い求めた「蕎麦打ちセット」、これに含まれていた肝心の包丁が、どうにもならないなまくらの安物で、(蕎麦打ち教室の先生に駄目出しされた?)嫌気がさしてすぐに思い切って買い替えた。ところが、何らかの理由で手放すことになったため、この高価な職人用包丁がセットに紛れ込んだということであります。
 
 ともあれ、道具は揃いましたが、まだ難題があります。作業場であります。想像ですが、たぶんそこらにそば粉や打ち粉が舞い、水も必要なので床が汚れます。洗い場や土間があるはずもないので、とりあえず私の隠れ家の空き部屋、農業資材置き場しかありません。下にはシートを敷くとして、作業台もありません。折り畳み式のスチール机では流石にガタガタし、たわんで無理でしょう。

 すると、木製でしっかりした天板を乗せたテーブルが必要です。もうこれは、得意のDIYの腕を見せる出番です。早速、設計図を作って材木、金具、ボルトなどを揃えなければ。
 そもそも蕎麦打ちの方法・手順さえ知らず、そば粉をどこで買うかさえも見当がついてないのです。泥縄流ワタシの面目躍如でありますな。

 嗚呼、自家製手打ちの蕎麦を、糟糠の妻に食させるまで、あとどれだけの時間と手間とお金がかかることやら。


 
コメント
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