【確り】という言葉があります。ドラマや映画で重症や瀕死の人に声をかけるときに使いますな。気を確かにしてね、という意味です。気持ちを引き締めて確実にする、 物事の基礎や構成が堅固で安定している、 しっかりとした性格などといい意味でつかわれるようです。
これを副詞として多用するのが政治家であります。国会答弁から討論会・講演あらゆる機会で連発します。自分たちがやって来たこと、やっていることを必要以上に大袈裟に形容するために使いますが、ワタシの印象ではしっかりという言葉は彼らにとって、「一応」とか「うわべだけは」という意味と同義語に思えます。あえて好意的に解釈するなら、「これからはいままでよりは少しはまじめに」という意味になりましょうか。
PCR検査も、ワクチン接種も、医療体制強化も、感染防止対策も、すべて「確りやっていきます」、と菅さん田村さん何百回も口にしていますが、何一つまともに成就しません。それは他国との状況を見れば歴然としています。ほとんどの先進国はいつでも無料に近い形でPCR検査を受けられ、ワクチン接種も数十%打ち終えているのに、わが国では1%にいったかどうか。圧倒的に足りないくせに、当日予定通りに来なかった分は廃棄するなどの愚挙もあるようです。
確りしていたのは国民だけでした。それも一年気を確かにして、政府の言う通り感染防止に取り組んでいたのに、公務員や自民党議員は好き放題で飲み会を続けていました。「あほくさ」と大阪の人は思ったに違いありません。コロナ疲れに加えて政府のゆるみ緊張感と責任感の欠如のために、無駄な抵抗は無駄だとばかり、好き勝手にしよう、ということになって第4波が起きています。
ところが、頑なで自分たちの無策を認めない菅さんは「全国的に大きなうねりとはなっていない」と第4波の発生を認めていません。いつだれがどうして「うねり」というコロナのフェイズ基準を設けたんでしょう?。波だから「うねり」という言葉を使ったにすぎず全く説得力のない空疎な答弁をしています。だったら今急増している感染者のグラフはなんと呼べばいいのでしょうか。
この人は、例の学術会議の5人をいまだに認めていません。過去にない異常事態を放置し続けています。認めたら、負けだと勘違いしているのです。
今度は福島の汚染水を海洋投棄することを「決定した」そうであります。2年ほど前自民党の某大臣経験者が退任するとき「汚染水は海洋投棄するしかない」と捨て台詞を言っていたのを覚えています。何年も前から海に流すことは既定路線だったのです。今後日本と海洋汚染の危険性を国際的にどう評価されるか極めて大きな問題なのです。風評被害が心配だといわれますが、風評被害とは「実際には問題がないのに、謝った印象・情報だけで経済的打撃を受ける」ことを指します。しかし風評被害どころか、「トリチウム」があるいは放射能を除去したと言われる汚染水が本当に安全で、人体に健康被害が生じないかどうか誰も検証していないのです。
もし安全というなら、どうして希釈して流します、という話になるのでしょうか。危険がないなら薄める必要はありません。そもそも薄めようが何しようが海洋投棄したら同じ放射能の量が海水に交じるだけのこと、これは塩分を控えるよう医者に言われた高血圧のオジサンが、みそ汁やお蕎麦のツユをお湯で薄めての飲み干すのと一緒、摂取した塩分量は変わりません。そんな子供だましを口にする政府や東電を誰が信じます?もしやるんだったら、東電の役員と政府関係者みんな並んで、無作為にタンクからとった汚染水をコップで飲みほせばいい、そしたら信じるかもしれません。
こんな、目先をくらませるような煙幕を張って本質を糊塗するような暴挙は許せません。宮城や福島の漁師さんだけでなく、日本全体の信用にかかわる問題で、長い期間をかけて沢山のサンプルを取って汚染水の成分をきちんと分析し、トリチウムが人畜無害であることを証明し、それこそ専門委員会で安全が担保されて初めて国会決議すべき事案であります。閣議決定レベルではないのです。
東電も「しっかり」とかなんとか言っていますが、いまだに福島原発の溶融した核燃料棒とデプリの取り出しも何一つめどが立たず、冷却水はしみだしていまだに地下から汚染水が流れ出ているのは周知の事実です。ワタシは悪いですが、宮城や福島の海産物はどうしても口にする気が起きません。
通販サイトやネットショッピングで妙に甲高い声で宣伝している輩、これを連想させます。安物をいかにも高い高級品と信じ込ませ、市価と変わらない値段なのに、安いと思いこませるインチキ商法です。やらせの半役者みたいな素人さんが「本当に」というのも信用なりません。本当にと言えば言うほど嘘くさく感じます。
ワタシの経験では、しっかり、ホントに、という言葉を連呼するのは胡散臭い嘘で塗り固めた人物の常套句だと思います。皆さんしっかりして本当に騙されないようにしてくださいね。