今日で67歳となります。
馬齢を重ねたとは申しません。自分一人で生きるのにあらず。
よくぞここまで、なんとか生きてこられた、周りから与えられたもので自分が成り立っているのだ、と考えるようになりました。誕生日も、冥途への一里塚、年取るのが嫌だと思うより、おかげで一年生きることが出来たのだと感謝したいと思います。
「篆刻用具まとめて」に入っていた小さな細目砥石3個を水に浸し、適当に前後に刃を滑らしていたのです。しかしながら、ふとこれでいいのか、と疑問が湧きました。こういうディテールの部分は案外入門書でも説明は少なく、情報を出した人の流儀で、様々やり方が分かれるのです。
そこで、「困った時の篆刻チャット」に質問してみました。ここに参加する十数名の人の内、恐らく半分近い方が本職の篆刻家さんです。そのおかげで、「タダ」で篆刻に関わる知識や情報提供、実際の印に対する指導までもしていたでいています。
そこで、教えていただいたのが、印材の印面磨きとほぼ同じ扱いとなる、ということでした。石印材は、やや粗めの耐水性サンドペーパー#500位から徐々に細かい番手に上げて最後は1000~1500で仕上げます。先生方は、印を磨くのと同じペーパー、同じ手順で水研ぎするというのです。
もう一つ「ハマグリになる」という言葉、これはピンと来ました。本来印刀の先端は刃先と同じ角度の平面であるべきなのですが、雑に磨くと曲面にまぁるくなっていくのです。貝の殻の形に似ていますね。これは、前後に刃をずらしながら研ぐとすこしずつ砥石との角度が変わって結果として丸みを帯びるのです。鎌倉雨人さんの動画にも出てきますが、前後ではなく、刃先は横にすらせるのです。これなら砥石面との角度は変わりませんね。
もう「目からウロコ!」でありました。また少し賢くなりました。毎日石を磨いて、差し上げた時に見た目にも喜ばれるように、そして自分の掌でもつやつや輝くように丁寧に全体を磨きます。
美しい切れ味鋭い切り口にするため印刀を研ぎます。なまくらの刀、刃こぼれした印刀では汚い線になってしまいます。
自分自身、曇りが無いよう刃こぼれしないよう磨きをかけていかなければ、と思う誕生日の朝であります。