植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

菜園はサイエンス ぼかし肥料を仕込む

2023年05月31日 | 植物
今年3回目の「ボカシ肥料」を仕込んでおります。ワタシの有機栽培の礎・根幹をなす大事な自家製肥料です。ワタシが化成肥料・化学肥料を頼らず極力薬剤の使用を避けているのは、自分や家族がワタシの作った果実や野菜に触れ、口にするからであります。
下は、これから収穫する自家製・無農薬・有機栽培「キャベツ」であります。薬を使用していないので、キャベツもアオムシも元気そのもの(笑)、毎朝指でアオムシを駆除しております。安全安心、そして甘みがあって新鮮、文句なしであります。


10年近く家庭菜園からバラ園・果樹園をやり続けております。昔のお百姓さんは、代々畑で親やお爺さんからノウハウを伝えられ、現場で体で覚えていたのです。しかし、現代ではパソコンという文明の利器に続いて、スマホという持ち運びできる情報源が備わったので、だれにも教えてもらわなくても、さほど不自由なく、遅滞なく園芸が行えるようになりました。

ワタシはその恩恵に浴して、もはや簡単な園芸談義や講義が出来るほどになってきました。一番大事なことは「失敗」から学び失敗を繰り返さないことを考えて生かす、ことに尽きるように思われます。知らないことは恐ろしい、水やりから施肥・栽培の植物選びまで全く知らずに数えきれないほどの失敗=枯らす。を繰り返してきました。

ボカシ肥料で言うと、ネットで「有機物を発酵させて作る肥料」が非常に効き目がある、という情報を目にしたことが発端でした。故郷で茶園・農業を営む同級生T君からの情報も貰って、その肥料つくりにチャレンジしたのが4.5年前になります。作り方は2通りあって「好気性」「嫌気性」のいずれかであります。前者は、材料を広い口の大きな容器に広げ毎日かき混ぜて発酵を促すというもの。後者は蓋つきの容器を用い、ビニールに詰めた材料を固く封じたものを容器に入れて密閉します。

材料は共通で、ワタシの場合は、タダかただ同然で入手できる「米ぬか」、油粕、たい肥、腐葉土、これに骨粉と「発酵促進剤」を混入させ溜めた雨水をよく混ぜます。嫌気性だと、これを密閉したまま1,2か月放置して出来上がりで、うまく仕上がるとヨーグルトのようないい香りがいたします。
ずぼらなワタシは、最初手間いらずなのでそちらを選んだのです。しかし、問題があって、水分が多すぎても少なすぎてもうまくいかないのです。発酵不十分のまま肥料として使うと、土中で二次発酵し高温を発して植物を傷める心配があります。水分過多だと密閉していても腐敗が進んで肥料として使えなくなります。なにより時間がかかるのです。

そこで好気性のぼかし肥料に転換しました。セメントを捏ねる「プラ舟」を買ってきて、これに材料を投入したらやはり発酵促進剤を振りかけ、木蓋を上に置きます。これは乾燥を防ぎ・虫の侵入を防ぎ、雨が降りかかるのを避けるのに必要です。あとは毎朝かき回すだけであります。うまく発酵が始まるとどんどん温度が上昇し3,4日後には60℃以上に達して手が入れられないほどになります。もうもうと上がる水蒸気の中でかき回す時、肥料つくりが順調であることを確認できます。これで1週間すぎれば発熱が収まり、材料全体が白く乾燥して出来上がりです。

留意点は二つ、一つは水分と発酵促進剤のいずれかに問題があると発酵が起きてこないことです。仕込んだ翌日にほんわか温かくなっていればまず大丈夫です。水気が多いと発酵しません。だいたい目安としては材料を握って手を開くとぱらりと壊れる、程度であります。

二つ目は、発酵が進み始めたとき、水が溜まらない、部分的に過湿とならないよう気を付けることにあります。発酵は水蒸気を大量に吐き出し、木のフタヤ容器を伝って容器の底の部分や角に集中します。するとそこだけ「腐る」のであります。発酵は正義、腐敗は悪であります。腐敗が始まるとハエなどが集まり産卵し蛆がわきます。悪臭を放つようになります。ぼかし肥料が出来上がった後も、知らない間に水がたまるとそこから腐るので使い切るまで時々観察しなければなりません。これが仕込んで3日目の現状であります

さて、出来上がったぼかし肥料はというと、通常の有機材(腐葉土・もみ殻・たい肥)などに比べて、微粒子になり熱により分解されて植物の根がダイレクトに吸収できるので即効性が高く無駄が無いのです。一方、あまりに効き目が強いせいで、野菜やバラなどは直接その肥料に根が触れると根を傷めます。元肥には使わない方が無難と言われます。使う場合はよく耕した後、数か月そのままなじませてから植え付けすることをお勧めします。

通常は、追肥に用います。株元から少し離してパラパラ撒くか、少し撒いた後土をかぶせるといいのです。イメージとしては子供に飲ませるお薬、顆粒になった薬で、水にさっと溶ける、といったところでしょう。液肥は同じく植物が吸収しやすい液体ですが、沁み込んで無駄になる、長くは効かない化学肥料なので、やはりぼかし肥料が優るのです。

肥料にせよ消毒・殺虫剤にせよその成分や効能、メリットデメリットを熟知したうえで使えば安全で、問題はありません。

そういえば、高齢の方が良く口にする用語に「消毒する」があります。殺菌も殺虫も一緒くた、農薬をスプレー缶や噴霧器で撒くことをそう呼びます。なかには殺菌剤と殺虫剤を混ぜて一緒に噴霧する人もいるそうです。こうしたことが、①ネオニコチノイド系薬剤によってミツバチなどを絶滅させる ②農家さんの健康被害につながる ③農薬をふんだんに使った農作物を消費者が食べている、という問題につながっているのです。農家さん、どうかよく科学を少しでも学び薬の使用には特に注意して自粛してもらいたいと思います。
また、そのことを関係者、とりわけ圧力団体・業界団体である「農協」、そして農林族と言われる議員さんたちには真剣に考えていただきたいものであります。

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