植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

篆刻、密かな企て

2021年12月07日 | 篆刻
 今は、書道のオープンチャットで知り合った方たちに篆刻印を提供しています。毎日摸刻に取り組んでいましたが、自分で集字し、印稿を起案するというのも立派な篆刻の修行であります。ましてや、書道をやっている師範級の人から高段者・愛好家・若い書道学習している人など、落款印に対しては、実用目的であり要求レベルが高い人たちにあげるのですから、当方も真剣に取り組むのです。

 来るもの拒まず、相手がたとえ小学生だろうが書道教室の先生だろうがお構いなしです。相手の年齢や目的に則した印を3,4種類彫ります。勿論タダであります。皆さん、お代を頂かないので褒めてくれます、よいしょしてくれますな。
 タダで彫る理由は①自分のスキル向上・経験値が上がる ②篆刻印を通じて様々な人と繋がりが出来る ③篆刻印の良さを広く知ってもらえる ④そもそもお金を貰えるレベルではない などであります。

 篆刻印を彫って貰って嫌な顔する人はいませんし、受け取り拒否もありません。なんでもタダで貰うとほとんどの人は喜びますね。それが実際にお金を貰うとなると様々な責任が発生します。依頼主はお金を払うのだから、いろんな注文を付けたり、出来上がりの品にクレームをつけても構わないと思います。代金受領・納期や送付に関わるトラブルを回避するには金を貰わないのが一番なのです。

 現在計画中なのは、高校同級の近(コン)ちゃんの運営する介護施設で、篆刻を出来る職員を育てることです。どうやら入所者に訓練や娯楽の一環として習字をさせているので、印のニーズがあるようです。遠い那須塩原にある施設なので、職員の人に直接彫り方を指南するわけにも参りませんがどうしたものか。

 次に、篆刻希望の方が教室を開いているので、その生徒さんにも印を彫って欲しいという相談があります。未来の書道家さんかもしれない学生さんたちに、落款を入れる印を提供する、楽しいですね。書道を習うワタシ達にとって落款印はいくつあってもいいものです。作品が出来て署名した書に、落款印を押す若い人の顔をみたいものです。

 それからもう一つの計画が、来月当地で開かれる「湘南ひらつか寄席」、小朝師匠、円楽師匠、ぜん馬師匠がそろいぶみします。チケットは家内の分と一緒に確保しました。このお三方に印を彫りたいと思うのです。全くの思い付きではありますが。ワタシは芸能やエンターテインメントの世界にはなんら縁もゆかりもなく特定の人のファンになったり会員になったりもありません。著名人と握手したいとか間近で見たいなどとも思いません。

 楽屋には、知人・ファンなどから差し入れが届くと聞きます。有名人ですから色んなものを貰うでしょうが、篆刻印はそうそうありますまい。商売柄、揮毫とかサイン・色紙などを求められるでしょうし、多くの配りものや書状も作るでしょう。案外あれば重宝するものです。テレビでも見かける落語の名人師匠に、もしワタシの彫った印を受け取って貰えたら、これは格別でありましょう。それにワタシの印が使われたなら、篆刻家(もどき)冥利に尽きるのではなかろうかと思います。せっかく彫っても、不審者(物)扱いされ先様まで届けられないかもしれませんが、それでも自分が落語家さん向けの印を彫る、という練習が出来ます。印は潰して再利用できるのでとびっきり上等の印材を使います。

 「びっくりして座りしょんべんして馬鹿んなんじゃねえぞ」というのは有名な「火焔太鼓」のお噺の一節ですが、お師匠方が、箱をあけて自分の印を見たらどんな反応するか。ポイと捨てるか、喜ぶか。円楽さんなら、他のと比べて「ああ俺のが一番 出来がいいや」なんて事を言うか、言いませんね(笑)

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