植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

篆刻印を彫る その3(今度こそ)

2020年03月15日 | 書道
 このブログで、篆刻のことを書くのはこれで3回目になります。前2回は篆刻の知識をちょっと触れたにすぎません。そもそも彫るとは書きましたが、いまだ彫ってはおりません。これではホルホル詐欺であります。

 ワタシが、基本から真面目に習字(書道)取り組むようになって、3年半になりまして、日々研鑽に努めております。楷書「九成宮禮泉銘」から始め、行書、草書などの漢字書体を五体と仮名まで、古典の名筆を模すという臨書を一通りこなしました。
 只今、2周目で草書「書譜」から隷書「曹全碑」に移ったところです。そろそろ、条幅(半切という縦長の紙です)で作品作りに挑戦する頃合いでもあり、例によってヤフオクで、条幅の書き方や作品集を何冊も取り寄せしました。紙も筆も腐るほどあります。

 が、ワタシの泣き所が「篆刻印」=落款なのであります。すでに一度作った篆刻印は、前に書いたようにいまだ行方不明なので、どうしても2,3個の印が必要なのです。作品には署名捺印(落款)が欠かせないのです。落款に押す印の種類には、好きな慣用語などを入れた2,3文字の引首印(関防印)、自分の名前の姓名印、作家さんなどは雅号の印、そして字でも絵でも好きな模様を押す遊印などにわけられます。また、文字を彫る白文(白文字)と、文字を残して周りを彫る朱文(赤文字)に分かれます。当然後者の方が格調が高く、手間もかかります。

 印材も取りそろえたのですが、ワタシにとっての最大の問題は、彫るのが極めて困難な状況にあるということです。老化・老眼が進み、ものがかすみ、ぼやけて見えるのでこのような細かい作業は非常につらいのです。すぐに目がしょぼしょぼしてかなわんのです。また、主な作業場は、居間のソファ(笑)なので、あたりが暗いのですな。大体、手が空いた夜に、テレビなどをつけたまま篆刻しようという料簡がなってないのですが。
 もっと、まずいことに、手が、ままならないのでありますよ。長年の酷使もあって、10年ほど前から、軽い腫れ、こわばり、痛みとしびれが手指全体にありますので、細かな作業がどうもうまくいきません。何より指先に力が入らないので、例えばビールのプルトップがなかなか起こせません。スタミナ飲料の小瓶のキャップも回すのに一苦労しております。ひどく肩は凝っているし、根気も続かなくなっております。
 何しろ相手は、柔らかいとは言え「石」なのです。これを、先の尖った印刀(篆刻刀)でゴリゴリ、こつこつ削るのは根気と指の力が要るのです。

 どうしても印作りは後回しにしておりましたが、はい、腹を括りました。こうなったら、もう文明の利器に頼るほかないと。F先生には印刀一本で彫るのよ、と教わりました。しかし、無理なものは無理、先生も言っていました。「書道の道具に決まりはありません、筆も紙も墨も好きなものを好きなように使いなさい」と。篆刻もそうさせていただきます。仕上げに印刀を使うから良しとしましょう。

 そこで、Amazonで、「照明付拡大鏡(ルーペスタンド)」そして「マイクロルーター」を注文しました。届いたマイクロルーターは、どうにも重くて細かい作業に不向きでしたから、仕方なく「ホビールーター」ペン型充電式のものも買い足しました。

 昨夜、試しに一つ作業いたしました。いいですよー。2倍の倍率で歪みもありません。明るくてクリアです。しかしちょっと困るのが、鼻息で拡大ルーペが曇るのですな。印材の上に溜まる微細の粉を吹き飛ばしたつもりが、息がルーペに当たる(爆笑)。そうだ、武漢肺炎用のマスクがあります。これこれ。


 このペン型のルーターには、まだ慣れないので細かなところが思うにまかせません。しかし、効率よく彫れて、はかどります。やはり、篆刻刀と併用していくのがコツの様です。
 試作品が出来ましたが、一部下書きが間違えていて気に入らないのでサンドペーパーで全部削ってリセット、やり直します。(従ってブログには写真を載せません)
 いや待て、せっかく彫ったのだから、もう少し丁寧に仕上げればこれはこれで使える。他の印材を使いましょう。

ブルーベリーのサプリを飲み、目薬を差し、さぁ、これからが本番、「篆刻印を彫る」のであります。


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