実施日:9月23日(月・祝)
開催場所:開催会場 珈琲西武 東京都新宿区新宿3-34-9 メトロ会館 3階 個室C(定員10名)
*今回は、米国情勢にしぼって、報告いたします。
〇「サウジ石油施設に無人機攻撃」
・9月14日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの石油施設が無人機の攻撃を受けた。その被害により、同国産出日量の半分が失われた。そのため、原油価格が急上昇した。
・今後の石油価格の見通しとしては、アメリカがイランに対する軍事攻撃に極めて慎重なことから、原油価格がさらに急騰し、石油危機的な状況が発生する可能性はきわめて低い。むしろ60ドル前半程度の石油高・原油高は、価格が低迷していた石油業界にとって朗報とさえいえる。
・石油価格が1バレル80ドル以上にまで急騰すると、それは即、大統領支持率の低下に結びつくので、トランプ大統領にとって、石油価格のはなはだしい高騰は望ましいことではない。
・今回の攻撃によって、イランのハメネイ師との首脳会談やイエメンの反政府組織フーシー派とトランプ政権との直接対話の試みは水泡に帰した。これが、ネオコン派やイギリスの旧植民地派が仕組む「中東で繰り返されるパターン」であるが、トランプ政権は、そのような軍事的挑発に対して、理性的抑制的に対処している。また、今後も安易に軍事行動に踏み切ることもなく、和平実現の努力を粘り強く続けるものと思われる。それゆえ、第3次石油危機ショックのような状況は避けられる可能性が高い。
〇「ボルトン解任の真相」
・9月10日、トランプ大統領は、ボルトン国家安全保障問題補佐官を解任したと発表した。
・ボルトン補佐官は、その徹底したタカ派的スタンスが敵対国に対して威嚇効果があるということで、トランプ大統領が戦略的に採用した人材である。今回の解任は、トランプ大統領からすれば、同補佐官の役割が終了したため、ということだろう。
・9月12日、タリバンは、アメリカ政府に対し、18年間にわたって続いているアフガン内戦終結に向けた和平会議の再開を呼びかけた。9月13日のウォール・ストリート・ジャーナルは次のように伝えている。「(トランプ大統領とタリバン代表の)極秘会談に強硬に反対していたジョン・ボルトン補佐官が解任されたことで、タリバンとの接触が今後、進む可能性もある」。イランやフーシー派との関係も同様である。
〇「米中経済戦争は長期化するが、部分的妥協の可能性あり」
・米中の経済対決は、もはや構造的なものであり、長期化することがほぼ確実である。アメリカにとって、チャイナ叩きは単に貿易摩擦レベルの問題ではなくて、自国の経済覇権をかけた戦いである。それはまた、文明世界全体のサバイバルに必要な強硬措置でもある。もし中共の、製造2025などの経済戦略が成功すれば、世界の経済覇権はチャイナの牛じるところとなり、西側先進国の近代文明は存亡の危機に直面することになる。
・しかし米中両国とも、お互いの基本路線を改める可能性はないが、小さな妥協を行う可能性は十分にある。
・その一例がアメリカ穀物の対中輸出問題である。トランプ大統領としては2020年の大統領選勝利を確実なものにするためには、中西部農民票の獲得が不可欠である。その場合もっとも有効な手段は、チャイナに
米国農産品の輸入を再開させることである。
・米中経済戦争でもっとも漁夫の利を得ている国のひとつがメキシコである。トランプはある意味で、メキシコを、チャイナから脱出する企業の受け皿として利用しようとしている。たとえば、NAFTAに代わる新協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USCMA)」を米議会が批准すれば、米国経済の底上げの一助となり、対中高関税によって生じるマイナス要素をUSCMAが補うことが考えられる。
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