存命中の大瀧詠一が、あるひとから「オマエのあの曲の元ネタは、AとBとCだ」と指摘されて、「いやあ、残念でした。あと、DとEもあるんだけどね」と言って、相手の鼻をあかしたのは、大瀧フリークにとっては、有名なお話し。
だから、大瀧フリークにとって、「大瀧詠一のあの曲の元ネタは、アレ」という話題は、とても嬉しいものです。
今回は、そういうお話しをちょっとだけしますね。上記に(1)とあるのは、あくまでもとりあえず、です、念のため。おそらく、大瀧さんの楽曲の元ネタには、奥深いものがあるでしょうから。
Jimmy Clanton Venus In Blue Jeans Stereo Mix
Jimmy Clanton の『Venus In Blue Jeans』です。これは、私見によれば、2005年5月21日にリリースされたシングル『恋するふたり』の元ネタと思われます。1962年の発売ですから、大瀧さんが中2から中3ころに流行っていた曲です。「私見によれば」と遠慮がちなのは、途中の間奏は、『君は天然色』に使われているように感じられるからです。それにしても、とてもいい音です。
The Pixies Three - Cold Cold Winter
The Pixies Three の『Cold Cold Winter』です。1963年の発売です。大瀧ファンなら、『君は天然色』(1981年)の元ネタであるとすぐに気づくでしょう。ちなみに、『君は天然色』の歌詞は、作詞した松本隆が、ご自身の妹さんの死への想いをモチーフに書いたものです。
John Leyton - Johnny Remember Me
John Leyton の『Johnny Remember Me』です。1961年の発売です。これも大瀧ファンならすぐに分かります。『さらばシベリア鉄道』(1981年)です。ちなみに『さらばシベリア鉄道』は、杉真理・佐野元春との共演曲『A面で恋をして』のシングル盤のカップリング曲です。
『さらばシベリア鉄道』の元ネタをもうひとつ。THE TORNADOS の『"Ridin' the Wind" 』(1963)です。
THE TORNADOS -"Ridin' the Wind" (1963)
The Honeycombs - Color Slide
これも分かりやすいですね。『君は天然色』の、もうひとつの元ネタです。私が、余計なことを言う必要はありませんね。アレンジの仕方など、笑ってしまいたくなるほどに「盗用」していますね。
Searchers: Where have you been
Searchersの『Where have you been』です。1964年の発売です。これも、私が申し上げるまでもないですね、『恋するカレン』(1981年)の元ネタです。Searchersの『Where have you been』のオリジナルを掲げておきましょう。
Where Have You Been All My Life by Arthur Alexander 1962
こういう風に、国境と時代を超えて、良い曲の魂は、引き継がれるのですね。今回は、これくらいで。
前から大滝詠一氏の元ネタが知りたかったのですが、このようなブログがあるのを知りませんでした。
是非、他のネタについてもご教示ください。特にペパーミントブルー。
(なお、A面で恋をしては杉真理と佐野元春では・・・)
それはさておき「Cold Cold Winter」は、「君は天然色」より、大滝さんが渡辺満里奈に提供した「うれしい予感」の元ネタだと思うんですが…というかソックリですけどネ(^^)
大変興味深く拝見・拝聴しました。
誠にありがとうございます。
The Honeycombs - Color Slideなど、確かに笑ってしまうぐらいのパ○り具合です。そもそも、タイトルからしてColor Slide=天然色ですからね。
Jimmy Clanton の『Venus In Blue Jeans』ですが、『恋するふたり』であるとともに、松田聖子の『風立ちぬ』の元ネタでもあるかな、と思いました。曲の終わり方や、女性のバックコーラスのアレンジなんかも、かなり似ています。
またテンポはちがいますが、『夏のペーパーバック』の間奏にも引用されています。
大滝さんの作品は、常にどことなく、デジャブ感というか、既聴感がある気がしていましたが、こういう事なのですね。
大滝さんは、日本のニューミュージックの始祖的な評価だと思いますが、その本質は50〜60年代のアメリカン・ポップスに強く影響を受け(受けすぎて)た着想を元に、そこに80年代的なアレンジを加えて成立させた音楽というところでしょうか。
ただ、それが陳腐になっていないのは、松本隆氏の洗練された歌詞と、歌詞の織りなす、大人びた世界観の絶妙なマッチングなのだと思います。
大滝さんは、レコードコレクターでもあり、この世の様々な素晴らしい音楽を沢山聞いてきて、それを編纂・再解釈して(再)構築したものが、ナイアガラ・サウンドと言ったら言い過ぎでしょうか。
色々な曲から要素を取り込んでいるので、それを分解して元ネタを探すのは、大変面白い事だと思います。ありがとうございます。