まずは、図6と図7を掲げましょう。
デジタル円についての上のふたつの図を統一的に理解する便利な方法はないものかと考えておりました。
で、次のような仕訳はどうかと。単純化のため、デジタル円の購入価格を100円とします。
なお、簿記において、資産の増加は借方記入・資産の減少は貸方記入、負債の増加は貸方記入・負債の減少は借方記入となります。
・預金者(民間人)
〔1〕 (デジタル円)100 (現金預金)100
上記は、預金者が市中銀行からデジタル円を現金か預金で買った取引を表しています。デジタル円は資産の増加なので借方に、現金預金の減少は貸方に記入されます。
・市中銀行(デジタル円の小売店)
〔2〕 (現金預金)100 (デジタル円)100
上記は、市中銀行が預金者もしくは単なる民間人にデジタル円を売った取引を表しています。市中銀行は、現金預金を新たに得て資産が増えたので借方に現金が記入されます。デジタル円という資産は減少したので、貸方記入となります。
〔3〕 (デジタル円)100 (日銀当座預金)100
上記は、日銀からデジタル円を買った取引を表しています。帳簿上の、日銀に対する債権である日銀当座預金を支払に充てます。
・日銀(デジタル円の唯一の卸売り店)
〔4〕(日銀当座預金)100 (デジタル円)100
上記は、市中銀行にデジタル円を売った取引を表しています。〔3〕に対応して、帳簿上の、市中銀行に対する債務である日銀当座預金が減少します。
〔5〕(デジタル円)100 (永久国債)100
上記は、デジタル円の帳簿上の支払いのために、日銀が永久国債の償還を政府に要請したことを表しています。「松田プラン」において満期をむかえた日銀保有国債は、借り換えるのではなくて、永久国債に乗り換えることは前回に述べました。
・政府(デジタル円の発行者)
〔6〕(永久国債)100 (デジタル円)100
上記は、日銀の要請に応じて永久国債を償還するのと引き換えに、政府が、デジタル円を発行する取引を表しています。デジタル円の発行には政府の貨幣発行権が行使されています。
さて、〔1〕から〔6〕までを見渡すと、「松田プラン」において、デジタル円が次の二つの役割を果たしていることが分かります。
・〔3〕と〔4〕から、市中銀行と日銀との間で、デジタル円と同額の日銀当座預金を減らす仲立ちをしていることがわかる。
・〔5〕と〔6〕から、日銀と政府との間でデジタル円と同額の永久国債を減らす仲立ちをしていることがわかる。
デジタル円は、日銀のバランス・シートを縮小し、政府の永久国債を消滅させる「魔法の杖」の役割を果たしているのですね。
たしかにこれで、政府・財務省が緊縮財政にこだわったり、日銀が出口戦略に頭を悩ませる根拠がなくなります。
「松田プラン」は、MMT理論とはいささか趣を異にします。しかし、同プランが財政政策と金融政策の現場を預かる者たちの現実的心理的負担を軽くし、積極財政に踏み切る環境を整えるのみならず、併せて、そこには、中共による「デジタル元」の脅威から日本経済を守る経済安全保障の意図もしっかりと組み込まれているのですから、反対する理由はほとんどないような気がします。いかがでしょうか。
松田氏がいうごとく、「松田プラン」は、危機に瀕した日本経済と、さらには日本それ自体を救う唯一の現実的なアイデアなのかもしれません。当シリーズを進めるにつれて、そういう思いを強くしました。
では、松田氏ご本人のレクチャーをごらんください。
【政策解説シリーズ】松田プラン徹底解説 その4 ~発行の仕組み デジタル円も日本円の一つ~
〔6月25日追加分〕
日本でMMTを強力に推し進めてきた論客のひとりである三橋貴明氏が、参政党事務局長・神谷宗幣氏に緊急インタビューをしている動画がありました。三橋氏はインタビュアーとして、神谷氏に対し中立な立場を終始キープしていますが、参政党に対して好意的な姿勢が感じられる内容になっています。参政党にとっては追い風になり、閉塞状況に追いこまれた日本にとっては喜ばしい動きです。
【速報】今、急拡大中の参政党 神谷宗幣氏に緊急インタビュー(神谷宗幣×三橋貴明)
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