日本にとって、移民問題とは何か(美津島明)
またもや、チャンネル桜の討論会の動画をアップいたします。タイトルは、「移民問題とグローバリズム」です。有益な討論を展開しているので、「またもや」でもしょうがありません。
登場した七人の論客のなかで、私見によれば、日本人が移民問題を考えるうえでの、核心になる視点・視座を提供しているのは、三橋貴明氏でした。氏の議論の要点を述べておきます。氏の議論は、あの竹中平蔵氏が、「日本は人口が減少しているのだから、移民をどんどん受け入れるほかはない」と発言しているhttp://www.huffingtonpost.jp/2013/07/24/immigration_n_3642850.htmlのと、真っ向からぶつかるものです。好対照と言えるでしょう。竹中氏は、いま政府産業競争力会議で民間議員を務め、また国家戦略特別区域諮問会議で有識者議員を務めていて、アベノミクスの新自由主義化の陣頭指揮を執っている人物です。
三橋氏によれば、総人口はたしかに減少しています。しかし、生産年齢人口はそれを上回る勢いで減少しています。つまり、生産年齢人口の総人口に対する割合は、どんどん低下しているのです。以下のとおりです。
これが、経済的に何を意味するのか。それは、「総人口=需要」に対する「生産年齢人口=供給能力」が相対的に低くなりつつある、すなわち、現状におけるデフレギャップが近い将来インフレギャップに転化することを意味するのです。そうしてそれが拡大することを意味するのです。インフレギャップが生じた場合、それを移民の推進で解決しようとすると、日本人の実質賃金は現状よりさらに低下します。それに対して、移民に頼らず現有の日本人で対処しようとすると、人手不足が生じるので人件費は上昇します。つまり、実質賃金が上がります。その場合、インフレギャップを埋めるには、一人当たりの生産性を向上させるほかはありません。そのためには、投資をどんどん増やすほかはなくなります。すると、GDPが力強く増えることになります。つまり、高度経済成長が実現することになるのです。そのことで、実質賃金は相乗的に増加することになります。
だから、生産年齢人口の総人口に対する割合が低下しているときに移民政策を推進することは、大企業の人件費は確かに抑えられるでしょうが、国民の実質賃金を増やし、国民経済がいまよりもはるかに豊かなものになる絶好の機会を逃すことを意味するのです。
国民の実質賃金が向上すれば、少子化問題は次第に解決されることになるでしょう。少子化問題とは、要するに、結婚を断念せざるをえないほどに若者が貧困化しているということなのですから。
以上を要するに、人口問題に関して最も有効な政策はなにもしないことである、となるでしょう。なにもしなければ、デフレギャップはおのずとインフレギャップに転化し、高度経済成長と少子化解決の前提条件がおのずと整うのです。これを天祐と言わずして、なんと言えばよいのか。
以上が、三橋氏の基本的論点です。
私は、これが日本の移民問題を考えるうえでの基本的視座であると考えます(「なにもしなければよい」というのは、むろん説得術としてのレトリックです)。竹中平蔵の議論は、大企業の、人件費を削減したいという要望に応えるためだけに編み出された方便にほかならないのです。前提が間違っているのです。みなさまは、どう考えますか。
そのほかの論客でパワーを感じたのは、川口マーン恵美氏です。ドイツの移民問題を語る氏にとって、ドイツは頭のなかでこねくり回したものではなく、すべて身体に織り込まれてしまっているものであって、氏はそれをどうにか言葉にしているような、もどかしさを伴った自然体が感じられて魅力的です。いまが旬、の論客ですね。
それと、安倍首相がグローバリストかどうかという議論がありましたが、私見によれば、明らかにグローバリストです。この点で議論が分かれている限り、保守陣営は大した力にはならないでしょう。 (参考 http://saigaijyouhou.com/blog-entry-2196.html)
では、アップします。
1/3【討論!】移民問題とグローバリズム[桜H27/9/26]
2/3【討論!】移民問題とグローバリズム[桜H27/9/26]
3/3【討論!】移民問題とグローバリズム[桜H27/9/26]
またもや、チャンネル桜の討論会の動画をアップいたします。タイトルは、「移民問題とグローバリズム」です。有益な討論を展開しているので、「またもや」でもしょうがありません。
登場した七人の論客のなかで、私見によれば、日本人が移民問題を考えるうえでの、核心になる視点・視座を提供しているのは、三橋貴明氏でした。氏の議論の要点を述べておきます。氏の議論は、あの竹中平蔵氏が、「日本は人口が減少しているのだから、移民をどんどん受け入れるほかはない」と発言しているhttp://www.huffingtonpost.jp/2013/07/24/immigration_n_3642850.htmlのと、真っ向からぶつかるものです。好対照と言えるでしょう。竹中氏は、いま政府産業競争力会議で民間議員を務め、また国家戦略特別区域諮問会議で有識者議員を務めていて、アベノミクスの新自由主義化の陣頭指揮を執っている人物です。
三橋氏によれば、総人口はたしかに減少しています。しかし、生産年齢人口はそれを上回る勢いで減少しています。つまり、生産年齢人口の総人口に対する割合は、どんどん低下しているのです。以下のとおりです。
これが、経済的に何を意味するのか。それは、「総人口=需要」に対する「生産年齢人口=供給能力」が相対的に低くなりつつある、すなわち、現状におけるデフレギャップが近い将来インフレギャップに転化することを意味するのです。そうしてそれが拡大することを意味するのです。インフレギャップが生じた場合、それを移民の推進で解決しようとすると、日本人の実質賃金は現状よりさらに低下します。それに対して、移民に頼らず現有の日本人で対処しようとすると、人手不足が生じるので人件費は上昇します。つまり、実質賃金が上がります。その場合、インフレギャップを埋めるには、一人当たりの生産性を向上させるほかはありません。そのためには、投資をどんどん増やすほかはなくなります。すると、GDPが力強く増えることになります。つまり、高度経済成長が実現することになるのです。そのことで、実質賃金は相乗的に増加することになります。
だから、生産年齢人口の総人口に対する割合が低下しているときに移民政策を推進することは、大企業の人件費は確かに抑えられるでしょうが、国民の実質賃金を増やし、国民経済がいまよりもはるかに豊かなものになる絶好の機会を逃すことを意味するのです。
国民の実質賃金が向上すれば、少子化問題は次第に解決されることになるでしょう。少子化問題とは、要するに、結婚を断念せざるをえないほどに若者が貧困化しているということなのですから。
以上を要するに、人口問題に関して最も有効な政策はなにもしないことである、となるでしょう。なにもしなければ、デフレギャップはおのずとインフレギャップに転化し、高度経済成長と少子化解決の前提条件がおのずと整うのです。これを天祐と言わずして、なんと言えばよいのか。
以上が、三橋氏の基本的論点です。
私は、これが日本の移民問題を考えるうえでの基本的視座であると考えます(「なにもしなければよい」というのは、むろん説得術としてのレトリックです)。竹中平蔵の議論は、大企業の、人件費を削減したいという要望に応えるためだけに編み出された方便にほかならないのです。前提が間違っているのです。みなさまは、どう考えますか。
そのほかの論客でパワーを感じたのは、川口マーン恵美氏です。ドイツの移民問題を語る氏にとって、ドイツは頭のなかでこねくり回したものではなく、すべて身体に織り込まれてしまっているものであって、氏はそれをどうにか言葉にしているような、もどかしさを伴った自然体が感じられて魅力的です。いまが旬、の論客ですね。
それと、安倍首相がグローバリストかどうかという議論がありましたが、私見によれば、明らかにグローバリストです。この点で議論が分かれている限り、保守陣営は大した力にはならないでしょう。 (参考 http://saigaijyouhou.com/blog-entry-2196.html)
では、アップします。
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