発送電分離・電力自由化は是か非か
いま私は、約21カ月間イザ!ブログに掲載してきた360ほどの投稿を、引越し先のGooブログにひとつひとつ移転しています。たまに削除してしまいたくなるような内容もありますが、そこはグッと我慢をして、記録性保持重視の方針のもと粛々と作業を進めています。
そんな中で、昨日移転した「電力の発送電分離は、電力安定供給体制を崩壊させる愚策である」blog.goo.ne.jp/mdsdc568/e/d7740cd2d1d306dae6e1619488e28b6d(2012・11・3 掲載)という投稿に対して、小山牧男という方が、反論のツイートを送ってきました。それをきかっけに、二人の間でけっこうな分量のやりとりがありました。お互い意見は正反対なのですが、ツイッターにありがちな、議論の途中での行儀の悪いちゃぶ台返し的な振る舞いもなく、また議論に勝たんがための変に皮肉めいた言葉の応酬もなく、最後まで気持ちよく話をすることができました(と少なくとも私は思っております)。
是非の判断は、ご覧の皆様に委ねるということで、小山さんとの間で合意が成立しました。それぞれの考え方の基本は、ほぼ出尽くしたと思われます。発送電分離・電力自由化議論に関する皆様の意見形成の一助にしていただければと思います。
*****
小山:日本の寡占管轄分担で「独占する民業の発送電一体で電力要求する脆弱さ」が、東電の電源被災で電力不足騒ぎとなった事実を踏まえない御仁の観念論ですね。配電という公共インフラで如何に電力エネルギーを流通及び安定供給させるかが命題です。
美津島:「配電という公共インフラで如何に電力エネルギーを流通及び安定供給させるかが命題です。」そのとおり。私は、そう言っているのです。発送電分離・電力自由化と電力の安定供給とは、まったくつながりません。ちょっと、考えればわかることです
小山:「配電という公共インフラで如何に電力エネルギーを流通及び安定供給させるかが命題」である場合、発送電一体での民営化も安定供給に対して事務面でも技術面でも足枷を生み出します。
集送配電を公共インフラとして整備して運用と管理の専従機構を置くのが国側の役目です。発電と売電は基本的に民間市場が形成されることが望ましく、集送配電側では買電に対して補助的な発電設備を持つ程度で安定供給を目指せばよいのです。
本来国と地方公共団体が担うべき優先インフラ整備は、情報通信提供、住居保証、飲料水供給、エネルギー供給、食料供給、公衆衛生、医療提供だ。次に、これに要する物流インフラとこれに資する費用が不足する者を支援する助成制度の整備がくる。
美津島:「発電と売電は基本的に民間市場が形成されることが望ましく」→その根拠は?欧米での目覚しい成功例とかありますか?あなた自身、観念論はダメだとおっしゃるのだから、歴史的な事実でお示しくださいね。
小山:欧米の後追い猿真似をこの期に及んでする必然性はありません。統制経済をお望みならそれに見合ったサイドがあります。自由主義経済をお望みなら、電力の生産と売買は法の下で自由市場の形成を目指すのが合理的です。
集送配電は、法の下で形成した自由市場の電力を安定供給するための電力流通インフラですから、公が整備して運用管理するべきもの。自家発電で稼働する事業者には余剰電力に対する税制を新設して売電を誘導するなども可能です。
例えば、基本的な電力量を地域ごとに地方公共団体が発電してそこに民間発電及び買電でが併存しても良い訳です。ですが、集送配電インフラは、基本的には国家規模で管理運用した方が、電力の需給に対応した機動性をもつインフラ形成が望めます。
美津島:あなたが展開しているのは発送電分離のグランドデザインであって、それが電力の安定供給を高める上で、どういう利点があるのかの説明は相変わらずありません。具体例があげられないのだったら、理論でも観念論でも構わないので説明してください。
小山:どこかにあるものを借りてくるとか、既存の制度から選択するという話をするつもりはありません。発送電一体であれば安定供給するわけでもなく、自前の発電施設に合わせた送配電設備を構築して運用した結果、有事対応が脆弱でした
一つの企業体で発電共有と送配電供給を一手に賄うのは、現況の電力需要規模からしても体力的に無理があります。送配電を公的インフラとして発電から切り離せば、発電市場に多くの事業体が参入できます。送配電自体も先進化でき得ます。
送配電側では、電源供給側の変動制に備えて一定の電源を自前で確保する必要はあります。しかし、供給側が発売電専業に限る事業体ばかりではないわけですから、買集電をフレキシブルに運用できれば一定の変動を吸収でき得ます。
30年以上前から発送電の制度と仕組みのままで来たから、容量のでかい発電設備に入れ替えても被災によって立ち行かない事態に陥るのです。将来に向けて発展性のある送配電インフラの構築とフレキシブルに電力を集配する仕組みが必要なのです。
これから作り上げていくべきだと考える発送電の仕組みの話ですから、グランドデザインで話をしてるってことはお分かりでしょうか。既存の電力事業の中で買電するという話ではありませんから、その手の失敗例や成功例に用はありません
美津島:東日本大震災で電力供給が不安定になったのは、福島原発事故をきかっけに、全国の原発がほぼ停止状態になったからですね。とするならば、安定供給のためには、ハードルを高くした安全基準をクリアした原発の再稼働を促進すればいいでしょう。
小山:国の原発がほぼ停止状態になる以前に、東京電力は電力供給が不安定になりました。保有発電所を前提に送配電設備が機能する様固定的に設置していたので、需要を踏まえた地域送配電をすることが難しかったことも不安定の原因となりました。
更に、他の電力会社から受電する設備が限定的であったために、余剰電力を十分に導入できなかった理もしました。休止した発電所の更新再配備や送配電の設備改修して行く中で全国の原発がほぼ止まったのです。
国で原発が総て停止した状況下では、電力会社が予想宣伝したような電力供給の不安定になる事態は起きていません。当初電力供給が不安定になった時点の様な節電が行われているわけでもありません。電力の自家供給自体も増えています。
既存電力会社による買電制度は、自身の営業利益を圧迫しない程度に設定されていますから、左程効果は上がっていません。茶番は茶番で終わるだけです。原子力の原価計算自体も茶番ですけどね。
加えて言うなら、日本は核分裂による原子力利用は終わらせることです。そしてその処理技術の方を先進できるよう努力すべきです。核融合の技術は今まで通り研究すればよいと思います。身になるものかどうかは今後の成果次第です。
そういう観点で見れば、日本は資源も資材も総て日本で自給できる発電方式を生み出して輸出できる処まで先進することを目指しても十分時間は足りるといえます。海洋からの資源開発で後れを取ってはなりません。
美津島:利潤を増やすために、自由化された発電会社は、売上増か、コスト減をするほかありません。それゆえ、欧米の発送電分離は、電力料金値上げと停電の頻発を招いています。それが現実です。地域独占の日本には、そういう事態は起こっていません。
いまの電力料金の値上がりは、太陽光発電分の余計な上乗せと原発を火力発電にシフトすることによってもたらされています。どうすれば電力料金を抑えられるかは明らかでしょう。また、世界最高水準の電力供給体制を壊す理由はない。
もともとエネルギーは総合安全保障の根幹を成します。民営化、自由化と根本的に馴染みません。その冒険をあえてした欧米は、ことごとく失敗に帰し、エネルギー政策の根本的な再検討を迫られています。それを後追いするのは愚の骨頂。
いま私は、約21カ月間イザ!ブログに掲載してきた360ほどの投稿を、引越し先のGooブログにひとつひとつ移転しています。たまに削除してしまいたくなるような内容もありますが、そこはグッと我慢をして、記録性保持重視の方針のもと粛々と作業を進めています。
そんな中で、昨日移転した「電力の発送電分離は、電力安定供給体制を崩壊させる愚策である」blog.goo.ne.jp/mdsdc568/e/d7740cd2d1d306dae6e1619488e28b6d(2012・11・3 掲載)という投稿に対して、小山牧男という方が、反論のツイートを送ってきました。それをきかっけに、二人の間でけっこうな分量のやりとりがありました。お互い意見は正反対なのですが、ツイッターにありがちな、議論の途中での行儀の悪いちゃぶ台返し的な振る舞いもなく、また議論に勝たんがための変に皮肉めいた言葉の応酬もなく、最後まで気持ちよく話をすることができました(と少なくとも私は思っております)。
是非の判断は、ご覧の皆様に委ねるということで、小山さんとの間で合意が成立しました。それぞれの考え方の基本は、ほぼ出尽くしたと思われます。発送電分離・電力自由化議論に関する皆様の意見形成の一助にしていただければと思います。
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小山:日本の寡占管轄分担で「独占する民業の発送電一体で電力要求する脆弱さ」が、東電の電源被災で電力不足騒ぎとなった事実を踏まえない御仁の観念論ですね。配電という公共インフラで如何に電力エネルギーを流通及び安定供給させるかが命題です。
美津島:「配電という公共インフラで如何に電力エネルギーを流通及び安定供給させるかが命題です。」そのとおり。私は、そう言っているのです。発送電分離・電力自由化と電力の安定供給とは、まったくつながりません。ちょっと、考えればわかることです
小山:「配電という公共インフラで如何に電力エネルギーを流通及び安定供給させるかが命題」である場合、発送電一体での民営化も安定供給に対して事務面でも技術面でも足枷を生み出します。
集送配電を公共インフラとして整備して運用と管理の専従機構を置くのが国側の役目です。発電と売電は基本的に民間市場が形成されることが望ましく、集送配電側では買電に対して補助的な発電設備を持つ程度で安定供給を目指せばよいのです。
本来国と地方公共団体が担うべき優先インフラ整備は、情報通信提供、住居保証、飲料水供給、エネルギー供給、食料供給、公衆衛生、医療提供だ。次に、これに要する物流インフラとこれに資する費用が不足する者を支援する助成制度の整備がくる。
美津島:「発電と売電は基本的に民間市場が形成されることが望ましく」→その根拠は?欧米での目覚しい成功例とかありますか?あなた自身、観念論はダメだとおっしゃるのだから、歴史的な事実でお示しくださいね。
小山:欧米の後追い猿真似をこの期に及んでする必然性はありません。統制経済をお望みならそれに見合ったサイドがあります。自由主義経済をお望みなら、電力の生産と売買は法の下で自由市場の形成を目指すのが合理的です。
集送配電は、法の下で形成した自由市場の電力を安定供給するための電力流通インフラですから、公が整備して運用管理するべきもの。自家発電で稼働する事業者には余剰電力に対する税制を新設して売電を誘導するなども可能です。
例えば、基本的な電力量を地域ごとに地方公共団体が発電してそこに民間発電及び買電でが併存しても良い訳です。ですが、集送配電インフラは、基本的には国家規模で管理運用した方が、電力の需給に対応した機動性をもつインフラ形成が望めます。
美津島:あなたが展開しているのは発送電分離のグランドデザインであって、それが電力の安定供給を高める上で、どういう利点があるのかの説明は相変わらずありません。具体例があげられないのだったら、理論でも観念論でも構わないので説明してください。
小山:どこかにあるものを借りてくるとか、既存の制度から選択するという話をするつもりはありません。発送電一体であれば安定供給するわけでもなく、自前の発電施設に合わせた送配電設備を構築して運用した結果、有事対応が脆弱でした
一つの企業体で発電共有と送配電供給を一手に賄うのは、現況の電力需要規模からしても体力的に無理があります。送配電を公的インフラとして発電から切り離せば、発電市場に多くの事業体が参入できます。送配電自体も先進化でき得ます。
送配電側では、電源供給側の変動制に備えて一定の電源を自前で確保する必要はあります。しかし、供給側が発売電専業に限る事業体ばかりではないわけですから、買集電をフレキシブルに運用できれば一定の変動を吸収でき得ます。
30年以上前から発送電の制度と仕組みのままで来たから、容量のでかい発電設備に入れ替えても被災によって立ち行かない事態に陥るのです。将来に向けて発展性のある送配電インフラの構築とフレキシブルに電力を集配する仕組みが必要なのです。
これから作り上げていくべきだと考える発送電の仕組みの話ですから、グランドデザインで話をしてるってことはお分かりでしょうか。既存の電力事業の中で買電するという話ではありませんから、その手の失敗例や成功例に用はありません
美津島:東日本大震災で電力供給が不安定になったのは、福島原発事故をきかっけに、全国の原発がほぼ停止状態になったからですね。とするならば、安定供給のためには、ハードルを高くした安全基準をクリアした原発の再稼働を促進すればいいでしょう。
小山:国の原発がほぼ停止状態になる以前に、東京電力は電力供給が不安定になりました。保有発電所を前提に送配電設備が機能する様固定的に設置していたので、需要を踏まえた地域送配電をすることが難しかったことも不安定の原因となりました。
更に、他の電力会社から受電する設備が限定的であったために、余剰電力を十分に導入できなかった理もしました。休止した発電所の更新再配備や送配電の設備改修して行く中で全国の原発がほぼ止まったのです。
国で原発が総て停止した状況下では、電力会社が予想宣伝したような電力供給の不安定になる事態は起きていません。当初電力供給が不安定になった時点の様な節電が行われているわけでもありません。電力の自家供給自体も増えています。
既存電力会社による買電制度は、自身の営業利益を圧迫しない程度に設定されていますから、左程効果は上がっていません。茶番は茶番で終わるだけです。原子力の原価計算自体も茶番ですけどね。
加えて言うなら、日本は核分裂による原子力利用は終わらせることです。そしてその処理技術の方を先進できるよう努力すべきです。核融合の技術は今まで通り研究すればよいと思います。身になるものかどうかは今後の成果次第です。
そういう観点で見れば、日本は資源も資材も総て日本で自給できる発電方式を生み出して輸出できる処まで先進することを目指しても十分時間は足りるといえます。海洋からの資源開発で後れを取ってはなりません。
美津島:利潤を増やすために、自由化された発電会社は、売上増か、コスト減をするほかありません。それゆえ、欧米の発送電分離は、電力料金値上げと停電の頻発を招いています。それが現実です。地域独占の日本には、そういう事態は起こっていません。
いまの電力料金の値上がりは、太陽光発電分の余計な上乗せと原発を火力発電にシフトすることによってもたらされています。どうすれば電力料金を抑えられるかは明らかでしょう。また、世界最高水準の電力供給体制を壊す理由はない。
もともとエネルギーは総合安全保障の根幹を成します。民営化、自由化と根本的に馴染みません。その冒険をあえてした欧米は、ことごとく失敗に帰し、エネルギー政策の根本的な再検討を迫られています。それを後追いするのは愚の骨頂。
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