今回は、前回予告したとおり、イギリスのエネルギー政策との関連で、話題になっている「日英同盟」を再検討します。
私は、4月1日に「 100年ぶりの日英同盟復活のため、日本は親中派を一掃すべきだ」というタイトルの論考をアップしました。イギリスからの日英同盟の申し出を「神風」とさえ形容しました。
しかし、事は手放しで喜べるほど単純ではないようです(手放しではしゃいだことを反省しています)。
というのは、藤井厳喜氏が次のような警告を発しているからです。
EU諸国が、地に足の着いた脱原発の道を着々と歩んでいるのに対して、イギリスはまだ原発推進に期待をかけている。最近、新日英同盟などという声も聞かれるが、そんな浮ついたおだてにのっていると、いつの間にか原発のコストだけをイギリスに押し付けられることになりかねない、と。
藤井氏は、秋元千明氏の「英国は最も日本を重視し、『新・日英同盟』構築へ 始動するグローバル・ブリテン」(ニューズ・ウィーク日本版3月16日配信)を取り上げて、おおむね次のように述べます。
秋元氏は、2017年8月31日、時のメイ首相が日本を訪問し、当時の安倍首相と会談した件を重大事件として取り上げている。確かにそれは、安倍首相と会談するためだけの訪日だった。ただし、日本から原発建設の資金を引き出すのが、その目的だった。すなわち、訪日したメイ首相が安倍首相に要請したのは、英国の原発建設に日本が責任をもってカネを出せということだった。メイ首相は、日立製作所が英国に建設する予定の原発に関して、日本のメガバンクが協力融資の形で建設資金を出し、日本貿易保険がそれを全額保証するという前代未聞の金融プロジェクトを提案したのだった。なぜ「前代未聞」なのか。それは、先進国向け融資案件の貸し倒れリスクを国家がすべて引き受けるのは異例であるからだ。日本貿易保険は公的機関なのである。当時、事業費は、原子炉2基で2兆円超と試算された。紆余曲折を経て、日本側は、メイ首相の申し出を結局は断った。日立も危ういところで踏みとどまり、引き返すことができた。
結論を先取りすれば、藤井氏は、この事例にイギリス政府の対日姿勢の基本もしくは本質が現れている、とします。その基本姿勢から、今回の英国政府による「日英同盟」のオファも読み解かなければいけない、と言っているのです。
この話、先がけっこう長いので、残りは次に回します。
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