日本と外交交渉をする上での周恩来の本音を、山本七平は次のように見ている。
日本人と契約を結ぶには、交渉よりも先に、まず相手の感情を操作し、「感情」に批准させねばならぬ。
これはほぼ当たりだろう。
いっぽう日本の方は中国をどう見ているか?
大隈重信は次のように述べる。
冷静に観察してみると、彼らが日本に学ぼうとした時期は、つねに打撃を受けたときである。ところがこの苦痛が去ると、一転して日本排斥の声となる。
これも当たりだ。
しかし最近の日本の政治家やメディアは、アメリカの方ばかり見て等身大の中国が見えないようだ。
今年、台湾を訪れた国会議員は100人を超すが、中国を訪れた国会議員は10人程度だという。
これでは中国で何が起きているか、あるいは中国の上層部は何を考えているか分からないだろう。
国民感情の方もバランスを欠く。
中国が嫌いという日本人は92.2%、日本が嫌いという中国人は62.9%だ。
日本人はかなり感情的だ。特に右翼系の雑誌は知性も理性も何もない。
惑わされるのであれば、あまり読まないほうが良いのではないか。
中国人は好き嫌いよりも実利を好むのか、あるいは観光で日本に来て理解が進んだのか?
日本がとるべき方策は、伊藤忠会長で中国大使だった丹羽宇一郎氏の提言が的を得ている。
量では中国に一歩譲りつつも、品性と精神、すなわち質で勝る道だ。
私は中国のために、日本が中国と仲よくなってほしいと考えたことはない。私は常に日本のために、中国との不毛な対立は避けるべきだと考えている。