10年前の今日、総選挙で野党第1党の民主党が過半数を得て、戦後ほぼ一貫して政権を担ってきた自民党から政権が交代した。
2009年8月の総選挙は投票率が69%に達し、308議席を獲得して圧勝した。
鳩山由紀夫を看板に、剛腕の小沢一郎が裏から支え、出だしは前途洋々であった。
しかし鳩山由紀夫の政治資金問題や沖縄普天間基地の移転問題で迷走し、国民の期待は段々しぼんでいくのである。
外交政策は「日本、米国、中国のトライアングル外交」を掲げた。
しかしこれはアメリカの不興を買った。脱米国と受け取られたようだ。
米国が自分の気に入らない政権を潰すやり方は結構陰湿である。
裏から手が回っていたかどうか不確かだが、小沢一郎は政治資金問題で検察から追及を受ける羽目になる。
鳩山の後を引き継いだ菅政権、野田政権とも日米同盟重視にかじを切らざるを得なくなった。
ここで鳩山由紀夫が目指していた道はどんなものであったか、検証する良い機会かもしれない。
この10年間に活躍した政治家の中で、知性・識見のレベルの高い人物と言えば福田康夫か鳩山由紀夫であろうか。
逆に低い方から言えば安倍晋三、麻生太郎だろうか。しかし人間何か取り柄があるもので、「恫喝と懐柔」をもっぱらにする権謀術数は優れているようだ。
新聞はまだしもテレビ業界はNHKを筆頭に完璧に首根っこを押さえられている。
鳩山由紀夫の目指したもの、
①東アジア共同体構想
東アジアでのナショナリズムの相克を回避するためには、一方でグローバリズムの弊害を抑制し、他方で周辺諸国との協調を重視するリージョナリズム(開かれた地域主義)の推進に日本が指導力を発揮する。
②経済政策
公共事業・財政頼みの「第一の道」、行き過ぎた市場原理主義の「第二の道」でもない、「第三の道」を進む。それは2020年までに環境、健康、観光、の三分野で100兆円超の「新たな需要の創造」により雇用を生み、国民生活の向上に主眼を置く「新成長戦略」
鳩山政権で「コンクリートから人へ」の公約を掲げたが、これは鳩山政権崩壊とともに道半ばである。目指す方向は間違っていない。
鳩山由紀夫は常人離れしているので「宇宙人」と呼ばれたが、今のように閉塞感の漂う日本社会には彼のような発想の人間を生かす道があってもよいのではなかろうか?