国家の防衛については、右とか左の「イデオロギー」で賛成、反対を決めるものではない。
現状の憲法下にあって戦後一貫して守ってきた「専守防衛」を逸脱しないのかどうか、リアルに検討しなければならない。
ところが真剣に侃々諤々の議論を戦わせた形跡はない。
自民党の議論は、国民が本当に知りたい部分を吹っ飛ばして、国債だ増税だといつもの「田舎芝居」
きっちり詰めた議論が必要なのは、「敵基地攻撃能力」だ。
政府は今まで憲法上自衛の範囲としつつも、政策判断として能力を保持してこなかった。
今回ははっきりとその能力を持つと明言した。
であるならばこの能力を持つ事のリスクを国民にしっかり説明するとともに、国民にその覚悟があるか問わなければならない。
場合によっては総選挙で是非を問うべきであろう。
攻撃する側の立場に立ったら「専守防衛」を宣言している国に、攻撃を仕掛けることは大きなリスクである。
世界中を敵に回すことになるであろう。今のロシアがそうだ。
ところが実質的に専守防衛を破棄して、「全面戦争を辞さず」と言う国に対しては案外やりやすい。
なにかと挑発して相手が無謀にも殴り掛かってくるのを待てばよい。
真珠湾攻撃などまさに格好の事例。
日本はまんまと罠にはまったと言って良い。
しかし極めて覚悟を要する場面になると、いつも自民党は逃げ腰になる。
「敵基地攻撃能力」は相手が攻撃に着手した段階で行使するのか、実際に攻撃した後なのか問われると、
岸田首相は、「安全保障の機微に触れるので、私の立場からは控えなければならない」
実に都合の良い言葉だ。
要するに責任を取る覚悟もなく最後はすべて国民の自己責任で済ませるのであろう。