菅首相が、広島市での「平和記念式典」の挨拶で、肝心な部分を読み飛ばした。
なぜ読み飛ばしたかというと、「蛇腹折の原稿の読み飛ばした部分が糊付けされていたから」という。
なんという子供だましの言い訳であることか。
「我が国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要です」
◉いくら忙しくても、このようなあいさつ文は事前に何回も読むし、思い入れが深ければ飛ばすなどありえない。
菅首相は「世界観」がないと言われる。リアリストということなのだろうが、それも違う。
敢えて断じれば「核保有国(特にアメリカ)」に気を遣う対米従属主義者にすぎない。
アメリカの核の傘に守られているという保護国レベルの感覚だ。
◉日本は核武装できる能力を持っているが「核兵器のない世界を目指すため」敢えて持たない、ということをなぜ言えぬ。
自分たちの国を自分たちで守る気概の無い国は世界から尊敬されない。
ある程度の自衛力を持つのは必要だが、様々なソフトパワー(主に外交力や技術力になるが)が大事になる。
その意味で韓国との友好的な関係の維持はこの地域の安定のためには必須である。
中国や東南アジアとの関係も大事。その意味で菅・茂木外交に見るべきものはない。
◉世界中が核禁止条約に向けて努力をする中心になぜ日本が立たないのか。
アメリカとロシアは曲がりなりにも核兵器削減に向けて交渉を続行させている。
問題は中国で、この交渉の輪に取り込むべきなのだろう。
呆然とたたずむ今の日本の姿は、唯一の戦争被爆国という看板が泣いている。
将棋の名人坂田三吉に、「銀が泣いている」という有名なセリフがある。
坂田三吉の妻小春にも、
「お父ちゃん、あんたは将棋が命や。どんなことがあってもアホな将棋はさしなはんな」
日本は「歩」レベルではないだろうが、「銀」のような動きをすべきだろう。