メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

思ってたんと違う!

2018-06-10 16:15:46 | 
トーク画面を開くと、仁さんからのメッセージが届いていた。





『こんにちは!今大丈夫?』





約束していたのだから大丈夫に決まっている。
それでもこういう事を尋ねるところが、どこか日本人ぽいなと思わせる。
私は心動で揺れそうな指で返事を送った。






『こんにちは♪大丈夫だよん』




どこが





あーーーん助けてーーーと不安と緊張の入り混じったセリフが頭に浮かんだけど、
もうここまで来たらやるしかない。
少なくともベストは尽くしたわけだから、これでダメなら私にできることなんか皆無なわけで、
そんな自分の運命を呪って酒に逃げたりすればイイんじゃなーい?
と、自分を励まして(?)携帯を握りしめていた。






トゥルルルルルルルル





Σ(T ⬛️ T lll)






えぇーい!!!!!





ポチ。






「ハ、ハハハロー…」






パッと白人の男の子が液晶に映し出された。
右下に小さく、相手に見えている私の映像も映った。
聞き慣れた変な声(笑)がイヤフォンを通して私の耳に飛び込んで来た。






「ハロー、メイサさん」





じ、じじじじ仁さんだ。
ちょっとピントのボケた写真で見てたのとは違う、リアル仁さんだ。(まだ動画だけど)
も、もしかして仁さんてちょっと………







しゃくれてない?







ゴメンゴメン!本当にゴメン!(笑)
いや正直に言うと、仁さんのそれについてはちょっとピンボケの写真でも怪しいなと思っていた。
何となーくどことなーくアゴの存在感が強いように感じていた。
けれど、いざLIVEで見るのと写真で見るのとではその確証も違うわけで(笑)
加えて、ややピントのボケた写真ではアッサリ塩顔に見えた彼のフェイスも、
こうしてハッキリとLIVEで見ると、ガッツリした目鼻立ちに赤みの強い唇が印象的な欧米人らしい顔だった。






思ってたんと全然違う






表にこそ出さなかったものの、戸惑いは心の中でズンドコ祭りを起こしていた。
今考えてみれば、日本人離れした濃いめのお顔立ちの方が私の好みなのだが、
ピンボケ写真で、"グヘヘ、珍しくアッサリ系ハンサムとラブラブだぜ" なんて考えていたエロアラサーには、そんな事を考える余裕はなかった。
そもそもソースだろうが塩だろうが、しゃくれてることには変わりない。(本当言いたい放題)

そんな初期とは理由が違う動揺を抱えていたものの、私は1時間ほど彼とテレビ電話をした。
話の内容は他愛もないものだったけれど、話題の品を見せ合ったり彼の部屋を見ることが出来たりと理解を深めることができた。
何より、彼の笑顔をたくさん見ることが出来た。






「(笑)」

「メイサさん、どうしたの?」

「ううん。仁さんニヤニヤしてるなと思って」

「メイサさんと話してると楽しいからね、しょうがない」

「仁さんニヤニヤの意味わかってる?」

「ニコニコみたいなのじゃないの?」

「違うよ。ニヤニヤは例えば男の人が可愛いものを見て笑ってる状態だよ」







ハハハ、と仁さんは笑った。






「そうだね。僕は何か可愛いものを見てるのかもね(笑)」

「何を見ているの?(笑)」

「うーん、カフェかなぁ。カフェのシェードが可愛いよねー」

「えぇ〜そうかなぁー!?」

「ハハハ(笑)」






少し下から撮っている仁さんの顔は、顎の余白を余計に写していた気がしたけど(教えてやれよ)
仁さんはとても楽しそうで、ニヤニヤと(笑)愛おしそうな顔をしていた。
終始、ずっと。。。







「じゃぁ仁さん、またね」

「うん、また」






笑顔で手を振り、私は電話を切った。
次のアポのためカフェを後にしたが、歩きながらすぐにトーク画面を開いた。







『さっきはありがとう、楽しかった!』







間髪入れず、仁さんから返信が届いた。






『僕も。』

『初めてテレビ電話してみて、どうだった?』

『メイサさんの顔が見られて、嬉しかった』







本当に良かった(号泣)






ナイス化粧下地!






『メイサさんはどうだった?』

『うーん、私はちょっと恥ずかしかったかな』

『どうして?』

『えぇ〜っと、いつもと違うからかなぁ』






何と答えたらいいものか、私はポリポリと頬をかいた。
何はともあれ、この時テレビ電話をして良かったと思っていた。
思っていたのとは違ったけれど色々な事(笑)を知ることが出来たし、
不安に思っていたことも第一段階を突破出来た気がしていた。
会ったら違うっていうのはあるかもしれないけど、少なくともテレビ電話レベルでは私にガッカリしないでくれたのだ。
これは大きな第一歩だ。





こうして初めてのテレビ電話を楽しんだ私達は、それからというもの、
毎日か隔日でしていた電話に代わって、テレビ電話をするようになった。
話すたびに、初めに感じた見た目ていうかアゴへの違和感は消え、ただただ楽しかった。
だがすぐに、仁さんが日本へ発つ日が来た。






「寂しくなるなぁ」






私はションボリとつぶやいた。
彼の旅行は1ヶ月以上に及ぶ。
その間Wi-Fiがないところではインターネットは開けないし、せっかくの日本旅行なのであまり携帯には触れないつもりだと仁さんは言った。
ほぼ毎日のようにとっていた連絡が途絶えるのは、やはり寂しい。
それでなくても私は構ってちゃんなのに。
そんな気持ちを知ってか知らずか、仁さんは言った。






「まぁでも、スタバとかWi-Fiあるところに行くことはあると思うし。」

「でも…」

「もう毎日の連絡に慣れたから、できるだけ連絡すると思うよ」






"メイサさんが大好きだから"とオマケがつきそうな甘い声で、そんな事を言われた。
私はホッとして、ウンわかった、と微笑んだ。
仁さんが日本旅行を楽しめたらいい。
本当はそんな事しないで話してくれたらいい。
そんなジレンマを抱えていたけど、今までみたいに頻繁に連絡が取れるなら、
日中は沢山思い出作りに勤しんでもらいたいな、と思った。



その数時間後、『いま日本に着いたよ』というメッセージを受信したので、
『よかった!お天気どう?』と返事をしたが、
それに対して彼から返事が来る事はなかった。





続きます。




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