大学を卒業し、6月から働き始めた息子。
どんな良い会社でも働けば不満を感じる事もあるのだが、息子は初任給2万5千バーツで採用され、数ヶ月後に査定し賃金を見直すと言われたのに全く変わらないのが不満らしい。
相談された私が「仕事内容を示して事務職で採用されたのだから、仕事はルーチン作業がほとんどだろ?最前線で営業をして好成績を示したのでも無いのにポンポン給料が上がる訳が無い。」と指摘すると、「それでも業務を改善し、会社の利益に貢献している。」と言う。
「日本の会社は1〜2年単位で人事をやるから、入社して数ヶ月でそんな事を言わないの!」と教えたが、大学の友達はタイの企業へ就職して初任給から息子より上だったり、中には昇進している人も居る。日本の企業とは待遇もスピード感も違うのだ。
「このまま今の業務を続けて賃金も変わらないのは困るな。今の業務を続けるなら賃金を引き上げて欲しいし、引き上げられないなら僕の実力を発揮出来る業務へ変えて欲しい。どちらも出来ないなら残念だけど転職するよ。」と言って息子は電話を切った。
そんな不満を抱えている時に他企業の採用担当者から転職を誘う電話。
大学生の時に就職活動サイトへ登録したので個人情報が出回っているらしく、既に就職した今でも時々引き抜きの電話が入ってくる。
息子の心が動いたのは、タイの財閥系業界トップ企業からの電話。幹部候補生として採用したいので面接を受けてくれないかと言われる。
その会社の一般社員の大卒初任給は1万8千バーツだが、幹部候補生は3万6千バーツと倍額。地方勤務だと6千バーツ足されて4万2千バーツだそうだ。
1回目の面接はネット経由でクリア。2回目も顔合わせ程度で特に問題なし。
3回目の面接は会場が準備され、60人程の希望者が集まったそうだ。
筆記試験は簡単なペーパーテストと事業所のリアルな数字を見せての改善提案の作成とプレゼンテーション。
ここで振り分けられて最終面接へ行けたのは20人で、息子も合格。担当者から「筆記試験の最高点は君だよ」と言われたそうだ。
最終面接は、将来の夢や入社後にやりたい事等を時間を掛けて細かく尋ねられたらしい。
合格者にはメールで連絡すると言われたので、数日後に連絡が来るのかと思っていたら、帰宅途中に内定の通知。
年明けに入社して数人のグループで事業所を担当し、半年で事業所の管理、次の半年で地域の管理…と半年単位で現場を経験しながら研修し、配属先が決まるそうだ。
日本で私が勤めていた会社にもA採用(幹部候補生)が居て、入社後数年でポンと現場の主査に来ていたが、そんな風に育成するのだろう。
転職で給料は5割近く増えるし、単純に喜ぶのかと思えば、そこから息子は葛藤に苦しみ、私にも相談の電話。
色々と話したが、要するに今の会社は色々とチャレンジさせてくれそうだし、経験を積んで能力を向上出来る魅力があり、担当する業務を営業へ変更出来れば転職したくないが、今の事務職を続けるのは嫌なのだろう。
「会社は業務内容を示して採用しているのに、数ヶ月で営業に変わりたいなんて迷惑な奴だな。最初から営業が向いていると言ったのに、親の言う事を聞かないからそうなるだろ。お前の気持ちはタイの事情を知る 人の方が理解出来そうだから、上の日本人と話が出来るタイ人のマネージャーは居ないのか?自分の気持ちを伝えないまま、会社自体は好きなのに一方的に辞めてしまうと、後から後悔するぞ。」と言ってやった。
それから数週間、もう大人だから息子が決める事だと思い、それ以上は干渉しなかったが、息子の希望を聞いた誰かが動いて下さったのか「パパ、営業へ変わる辞令が出たぞ!」と嬉しそうな声で連絡が来た。
「そうか!じゃあ内定を貰った会社は行かないのか?俺だったら給料5割増しの大企業へ行くけどな。」と意地悪を言うと「どこかの会社を辞めて主夫になった人が何を言ってるのwww」と痛い所を突いてくる。
「お前の会社は一社員の希望を叶えてくれて、良い会社だな。」と言うと、「だから転職しなかったでしょw」と笑う息子。
12月から配転先の営業で頑張っている。
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