先生のもう一つの顔

タイの学校の先生は副業を持っている人が多い。先生の副業で一番多いのは塾の先生だと思うが、化粧品を売ったり、園芸店を経営する先生も居られる。妻が週一回出店している園芸市でも本業が先生なのが３，４人。今回はその中の一人Ａ先生のお話。Ａ先生はウドンタニ郊外の公立学校にお勤め。週末は園芸市で蘭を売っているし、造園業もやる。園芸市では来客のピークを過ぎた１０時頃になると酒に酔っている事が多く、私には楽しい酒には見えず、憂さ晴らしをしているように思えた。そんなＡ先生の姿が市場で見られなくなり、奥さんや子供だけで売っているので、お父さんはどこへ居るのと尋ねたら、答えは刑務所。なんと収監されたのだ。何年か前に起きた殺人事件の５人居る容疑者の一人だと言うのだ。殺人犯として起訴され、本人は否認して保釈。裁判が確定するまで容疑者のまま学校で先生をやっていたのだ。今はウドンタニ刑務所に服役中で、他の服役者へ字の読み書き等を教えているとか。有罪判決が確定するまで犯人ではないとは言え、殺人事件の容疑者が保釈中に学校の教壇へ立っていたとは驚いた。
さてもう一人の先生のお話。ウドンタニ市内を車で移動していると中年男性の写真が入った政府の看板があり、息子がこの人は僕の学校のサッカーの先生だよと教えてくれたのだが、学校のサッカーの先生がなぜ政府の看板に出ているのか尋ねると、政府の仕事もしていると教えてくれた。息子は政府の仕事が何かタイ語では言えるのだが、日本語は分からず、いろいろな看板に写真が載る先生だなあと思っていたのだが、最近になってウドンタニ県知事と分かった。タイはバンコクやパタヤ等一部の都市は選挙で知事を選ぶが、多くの地方は中央政府から任命された知事。ウドンタニ県知事も任命された知事だ。息子は１年生の時に県知事からサッカーを習ったそうで、少しだけ面識があるそうだ。それならという事で、先月の先生の日には妻が知り合いの先生にアポを取ってもらって、洋蘭と観葉植物の小さな花篭を県知事に持って行かせた。洋蘭も観葉植物もウドンの我家で作っているのですよとしっかり農園の宣伝をして手渡したそうで、喜んでいただけたようだ。先生と県知事の兼業は珍しいのではないだろうか？

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