古本まつりがあるのは知っていた。けれど、暑いときにわざわざ戸外の古本市に行く気がしなかった。そもそも、よほど手に入れたい絶版図書がない限り、古書店には足を運ばない。
そんな私が、今年は「11日から16日まで下鴨納涼古本まつり」というテレビのニュースを見て出かけてみようという気になったのには、理由がある。ニュースを見る前日に、『夜は短し歩けよ乙女』を読んだからだ。この本の第二章で、まさに、その古本まつりの情景が描かれていた。
西ノ京円町から、市バス205に乗り、糺の森下車。南へ下りてすぐのところに「古本まつり」の幟を見つけ、そこから東の小道を入ると、すぐ馬場に辿り着く。そこから南へ約250m、両脇はテントが立ち並び、良書を求める人でごったがえし・・・と書きたいところだが、お客は、非常に少ない。10時開場で、この写真は11時撮影。
東側のテントを、北から南へ順に見ていく。萩書房で発見!『ラ・タ・タ・タム-ちいさな機関車のふしぎな物語-』。これって、『夜は短し歩けよ乙女』で黒髪の乙女が探す、あの絵本!思わず、裏に名前を書いていないか、確認してしまった。お話も、立ち読み。小説では「絵がとても幻想的で美しく・・・」と書かれていたけど、私の好みではなかった。せっかく出合ったけれど、買わずに元に戻す。森見登美彦ファンは、下鴨納涼古本まつりに行くべし。きっとまだ、『ラ・タ・タ・タム』はある。それに、小説に出てくる古書店も実在。怪しい古書店はなかったが。それに、テント内に取り付けられた裸電球。曇り空が一段と曇ってきたとき、裸電球に照らされたテントの中の世界は、何か違うもののようだった。
今日の京都は、34度。ここは、左右の大木が枝を張ったその下にテントを設営しているので、暑さはそれほど気にならなかった。・・・なのに、上半身汗でびしょびしょの人が。
人が少なくて見やすいことも良かった。雨も降らなかったし。・・・一渡り見るのに2時間。テントなしの台もあり、雨が降ったら大変だ。ブルーシートはあちこちに準備されていたけれど。
難を言えば、テントに取り付けられた雨よけのビニールシートに、ムカデを見つけたことぐらいか・・・。それでも、虫は少ない。何故?蚊取り線香もお香も見なかったのに。蚊に悩まされることもなく時間は過ぎ、じっくり本を選ぶことができた。結局、一冊だけ購入。帰る頃には人出も増え、それらしい感じに。
ついでに河合神社と下鴨神社を参拝。河合神社には、この前知恩寺で見つけたのと同じ魔除けがあった。但し、ここのは片方が、その波型で、もう片方はよくある桃。
下鴨神社は久しぶりで、御手洗川の辺り、ずいぶん感じが変わったような気がした。もっと鬱蒼と木が茂っていたような記憶があるのだが・・・20~30年前のかすかな記憶。