京都観光NaviHPの“花だより”には、6月になるともう、さつきの項目はない。遅れたかなと思いつつ、詩仙堂に行ってみた。
中門「老梅関」から、開け放たれた建物の玄関越しに、さつきの花色が覗いている(写真左)。良かった、間に合った。
受付を済ませて、廊下から、老梅関を振り返る(写真右)。いつも通り落ち着いたたたずまい。
さて、お座敷から眺めるさつき(写真下)は、ちらほら。でも左手に満開の花が見える。
お庭に下りて、かやぶき屋根と新緑のコントラストを楽しんだ。
写真を撮っていると、嘯月楼に人影。それも団体。一体どういう人たちが、ここに上がることができるのだろう。
さっき見えた花の塊は、やはり一番目立つ石段の所のさつき(写真下)だ。
石段右手のさつきの壁は、花が断然少ない。どうやら終わりかけのようだ。
お庭のさつきも、同様。ここは蕾も見えるので、まだ、あと一週間ぐらいは楽しめるかもしれない。 そうしている間に、紫陽花の季節になる。
ナナカマド(写真下・左)も、細い枝に、綿菓子のような房をたっぷりつけていた。カエデの木で日陰になる京鹿の子(写真下・右)はしっかりと色づいていたけれど、池の側には、珍しく色の悪いものもあった。
庭を下りるにつれ、なんだかいつもと違う、という思いに捉われる。元気がないのだ。苔も、リュウノヒゲも。そんな草花からサツキに目をやると、もう終わりだから花が少ないのでなく、水不足とか天候のせいで花つき自体が悪いようにも思える。
下にある蕾を咲かせるために、花殻を丁寧に摘む。いつもそうやってお庭を保つ方と出会ったので、聞いてみた。
雨が少なくて、どれもこれも元気がないらしい。斜面に植栽されているので、ホースで水やりをしても流れ落ちるだけだから、自然の雨を待つしかないとのこと。夕立とか、激しい雨も、ダメ。なるほど、よくわかる。しとしと、静かに降って、大地に滲み込み、庭木を潤す雨を待つのみ。
ついでに、気になっていた山茶花のことも聞いてみた。
詩仙堂の座敷前には、かつて白い山茶花の古木(樹齢353年・幹周1,54m)があり、京都一とも、日本一とも言われていた。丈山が手ずから植えたと言われるこの木を見るために大勢の人たちが訪れたという。それが、平成7年の台風が過ぎたある朝、ご住職の目の前で、ミシミシと音を立て始め、ものの10分ほどで倒れたらしい。その台風は、南禅寺の松の木も倒したという。「比叡下ろしの風の道が、ここらから、南禅寺に続いてるみたい」と。
山茶花の木は、座敷前の庭のギボウシの辺り(写真下)にあったらしい。今では、さつきに主役の座を奪われた普通の庭木の山茶花が、座敷右手に植わっている。この写真には写っていないが、右端辺りだ。これは、古木の実生の木なのか、それとも苗を買って植えたものなのか、そこまでは聞かなかった。
山茶花の大木がここにあったら、今とは全然違う景色だ。さつきもまだ小さかっただろう。白砂はあったのだろうか。山茶花のあるお庭の写真を、探そう。ネットでは見つからなかった。本。やっぱり本。
落ち葉を集めて堆肥場に持って行くというので、お礼を言って別れた。
座敷に戻って、ゆったりとした時間を過ごす・・・でも今日は人が多い。うぐいす張りの縁側の角に立つと、軒先にある竹の樋に池(写真下・右)の水が映り、ちらちらと揺れていた(写真下・左)。
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