詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

日陰の隔たり

2014年09月04日 | 
街路樹がアーチをつくる並木道
歩道の石畳は木の根の力で波打つ
家々の陰が麺棒を使ったように
それを平らに伸ばしている

下校時間なのか
数メートル先を
その陰の中を
赤いランドセルを背負って
黄色い帽子をかぶった
女の子が歩いていく
黒いハイソックスを履いた
小枝のようにまっすぐな脚を
順番に前へ
子どもだけの時間を持った足取りで
どの道に入ろうか
思案するように横を向いたり
いま顔のところだけ、
光が当たっている
女の子のあとには
枯葉が撒かれ
空からもまた
ひらひらと
葉っぱが舞い降りてくる

その光景は私を
枠の外に押しやり
何百年も生きた
油のきれてキィキィと音のする
自転車に乗った
魔女に変えてしまう
でも不思議なことに
私はそのとき幸福だった

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