詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

雷雨

2016年07月15日 | 
流しで洗い物をしている
窓の外で雷が鳴っている
それほど遠くはないけれど
怖くなるほどでもない
気がかりなことでもあるように
ふと、聞いている

買い物帰り自転車で川沿いを通った
橋の向こうの雲の衣の中では
すでにあれかこれかというように
ネックレスを試しているのが見えた

外の情景が内にひろがる
窓の外はもう夜で
流しの上の白い蛍光灯が
チカチカした
いま外にいる人のことを
歌川広重の絵の中のイメージで
ふと、思い浮かべている

窓の外で雷が鳴っている 
流しで洗い物をしている
水の音が激しくなって
外でも汚れが
勢いよく洗い流されている

暗い道を通り
流れていく先はいっしょになる

窓の外は真っ暗で
流しの上の白い蛍光灯が
チカチカして
家が急に古びた

本棚のある部屋の天井の隅では
きっと蜘蛛が器用な脚で
レースを編んでいる

雨の音は流しとは反対の
ベランダのほうへ移動した
カーテンを少し開け
外の様子をうかがう
駐車場を隔てた向こうに建つ
アパートの一室で
明るい青い光がぱっぱっと切り替わる
誰かテレビを見ている

今朝もくたびれたまま
仕事に出掛けただんなさん
まだ帰ってこない
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