MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

伊藤みろ発:メディア=アート+メッセージ No.4「聖徳太子と聖武天皇が示された心の道」

2017-04-29 07:00:46 | 光と希望のみち
道」としての心

国際交流基金トロント日本文化センターでの展示会「光と希望のみち:東大寺の国宝写真展」(6月28日まで) が始まって1ヶ月余が経過しました。来月5月26日には、同センターの招待により、トロントで講演会を予定しています。私が制作した二つのショートムービー「伎楽 仮面の道」ならびに「盧舎那仏 光の道」」を上映し、聖徳太子と聖武天皇について、お話したいと考えています。

もとより、ニューヨークで体験した9.11以来、私が取り組んでいるのは、聖徳太子と聖武天皇のご功績であり、シルクロード伝来の有形無形の精神遺産です。

仏教は、欽明天皇の時代、552年に百済から伝来しました。仏教を王朝として最初に公認したのは、息子の用命天皇であり、さらに孫の聖徳太子によって、仏教が興隆しました。太子は法隆寺や四天王寺を建立し、隋に独立国であることを宣言し、「和を以って貴しと為す」で始まる17条の憲法を制定された、日本の最初の聖人でした。そしてその100年後に、聖徳太子の偉業をもう一度復興させようとしたのが聖武天皇であり、墾田永年私財法の制定をはじめ、国分寺建立や大仏造立の詔を発令されました。鑑真和上を唐から招き、天皇として初めて出家され、娘の孝謙天皇に譲位後の752年、大仏が完成したことで、日本における神仏混交は一気に進み、明治維新まで1200年の間、続きました。

外来の教えである仏教を国教として導入され、「心のみち」を示された聖徳太子。度重なる天変地異で疲弊し尽くした国民を救済する、歴史的な復興事業として大仏を造立された聖武天皇。悟りを啓いた仏陀と呼応するものがお二人の中にあり、それは私たちの心の中にもあるのです。

「光と希望のみち:東大寺国宝写真展」では、聖徳太子の時代に伝来し、大仏開眼供養会でも大体的に舞われた伎楽面をはじめ、聖武天皇の偉大な遺産である東大寺の天平彫刻を紹介いたします。聖徳太子と聖武天皇における「心のみち」について、そしてシルクロードを経て奈良に遺されている、東西のつながりを示す「証拠」と連帯のヴィジョンについて、お話したいと思います。

5月26日(金)18:00〜20:00
場所:国際交流基金トロント日本文化センター
(The Japan Foundation, Toronto)
講演者:伊藤みろ(言語:英語)
ショートムービー上映:
①「盧舎那仏 光の道 (大仏さまは生きている) 」
②「伎楽 仮面のみち」
(写真・文・監督=伊藤みろ、監修①=東大寺、監修②=笠置侃一、
音楽①=森永泰弘、音楽②=芝祐靖)
展覧会の詳細:http://jftor.org/event/national-treasures-of-todai-ji-temple/2017-03-15/


世界に対する答えとしての使命

右翼・排外主義的なポピュリズムが世界的な台頭を見せる中、心の働きを負の連鎖に向けるのか、あるいは希望のつながりに向けるか、その選択次第で、私たちの未来がいまや大きく左右される時代になりました。

世界の平和が脅かされる今日にあって、何ができるかと考えたとき、「すべてはひとつである」という意識から、時代に対する答えとしての使命が見えてくるはずです。

一体性とは何かを学ぶひとつのヒントとして、自然や宇宙を観察することがあります。それらのシステムが「全体」として完全な調和を保っていることを知るならば、一体性についての意識を高めることができます。自然界のすべてが個性を持ちつつ、同時に生きたシステムを生み出し、相互に関係をもって補い合い、生かし合っています。宇宙というひとつの体系の中で、星の運行も生命の誕生も、原子も五元素も、自然現象やエネルギーの変転も、動植物の生滅も鉱物も、すべてがつながっているのです。

こうした一体性の意識を土台に、使命としての「世界平和」を誓うことは、時代に対する責任として大きな意味を持ちます。そして平和を実現するためには、寛容や忍耐が求められます。それぞれが違っていても、皆同じだという認識をもつことが前提となります。すなわち姿形や、考えがそれぞれ違っていても、皆、同じ理想を持つことができるのです。

このことが、大仏造立の根幹にある華厳の教えの本質であり、1300年前に、国民が同じ理想を描くための歴史的アイコンとして、奈良の盧舎那大仏が誕生した背景といえます。またシルクロード諸国の芸能を集め、1400年前に日本に伝来した楽舞・伎楽も、文化や民族の多様性を伝える平和の使節団だったように思われます。

もとより大仏の起源も、伎楽面の発祥も、2300年前のギリシア古典様式に遡ることができ、東西文化が土着の文化と交流・融合した結果が1400年前に日本に伝来して、今日まで残されているのです。

聖徳太子が奨励し、聖武天皇が実現した、文化の多様性の統合と心の連帯の豊かさ極まるビジョンを「証拠」として、「すべてはひとつであり、皆つながっている」というメッセージを展覧会を通して、世界の多くの国々で広く伝えたいと思います。
そしてそのことが、現代という時代へのお二人からの答えのように思われます。

2017年4月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ
http://mediaartleague.org

伊藤みろ発メディア=アート+メッセージ No.3「東大寺の国宝を、東西交流の”証”としてカナダで紹介」

2017-03-15 14:58:14 | 光と希望のみち
Road of Light and Hope: National Treasures of Todai-ji Temple, Nara - Photographs by Miro Ito

「光と希望のみち:東大寺国宝写真展 」が、3月15日から6月28日まで、国際交流基金トロント日本文化センターで始まります。東大寺の1300年の歴史を、東西の文化的な交流や人々のつながりの「証」として、写真作品を通して紹介いたすものです。

「証」は二つのテーマから、捉えることができます。一つは、すべてのつながりを象徴する東大寺の大仏さま(盧舍那仏)の造立の背景。もう一つは、シルクロードを経て日本へと伝えられた、ヘレニズム文化の影響を映し出す、天平の彫刻群の国際性です。

同写真展は、東大寺からの特別なご協力により、メディアアートリーグ、日本カメラ財団、国際交流基金トロントの共催のかたちで、国宝や重要文化財の写真掛け軸41点、ドキュメンタリー写真30点で構成されます。2004年に撮影を開始して以来、聖武天皇の理想や東大寺の歴史から学んだ、人々のつながりへの願いを作品に託してまいりました。


復興と希望の光

今から約1300年前、未曾有の天変地異、大地震や旱魃、飢饉や疫病の蔓延した奈良時代に、当時の450万人の国民の団結によって、東大寺の盧舍那仏が造立されました。たとえ「一本の草、一握りの土」でさえも持ち寄ってほしい、という聖武天皇自らの呼びかけにより、日本のあらゆる地方から物資が届けられ、述べ260万人が労働に参加して、752年に盧舍那大仏が完成されました。大仏造立は、度重なる震災により疲弊し尽くした人々の心を勇気づけるとともに、国家の安泰と雇用の創出を同時にもたらした、前例のない規模の復興事業でした。

その後、盧舍那大仏は、平安、鎌倉、江戸と幾度もの地震に見舞われ、しかも二度の戦災に遭いながらも、その都度、国民が一丸となって、奇跡的な復興を果たしてきました。盧舍那仏は、1300年来、日本の希望の力強いシンボルであり続けてきたのです。

もとより盧舍那仏は、宇宙のすべてのつながりと相互依存の真理を説く、いのちの連帯の象徴です。すべてはひとつであり、ひとつはすべてであり、すべてがつながっているという華厳思想を、図像として表したのが、東大寺の盧舎那大仏なのです。

日本人の心の原風景ともいえる、こうした東大寺の伝統から、時代や国境を超えて、すべてのいのちをつなぐ希望の光を、写真を通して伝えていけたらと願っています。


世界平和へのみちは続く...

東日本大震災をはじめとする、世界を次々に襲うメガ災害による苦難を共に乗り越え、戦争の悲劇を伝え、弱者の痛みを分かち合いながら、民族や宗教の分断化への動きに歯止めをかけるべく、いまひとりひとりが世界の平和に真剣に貢献する気持ちで、助け合い、支え合うことが求められています。

盧舎那仏の造立を通して、動植物までも栄えるよう願った聖武天皇に倣い、生きとし生けるものすべての連帯へのメッセージを、カナダの人々に向けて発信できたら幸せに思います。

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※昨年5月にニューヨーク国連本部で始まった世界巡回展「光と希望のみち」は、ウズベキスタン芸術アカデミー・平山郁夫文化のキャラバンサライ(タシケント)、欧州評議会本部(フランス・ストラスブール)を経て、カナダの国際交流基金トロント日本文化センター・ギャラリーで6月28日まで、3ヶ月間開催されます。
5月後半には、私自身トロントへ赴き、ショートムービーの上映を兼ねたレクチャーを開催する予定です。トロントへ行かれる際には、お立ち寄りいただければ、幸いです。(展覧会の詳細は、以下のサイトをご参照ください。http://jftor.org/event/national-treasures-of-todai-ji-temple/2017-03-15/
なお同展覧会については、追って続報を発信いたしますので、楽しみにしていてください。

2017年3月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ
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伊藤みろ発メディア+アート=メッセージ No.2「11月9日に思う ストラスブールからの手紙」

2016-11-16 15:03:35 | 光と希望のみち
11月9日は、アメリカにとって、9.11以来の衝撃の日となりました。

9日の現地時間深夜、アメリカの新大統領が選ばれましたが、私はストラブールの欧州評議会(The Council of Europe)において「日本オブザーバー20周年記念」式典で、展覧会「光と希望のみち」を開催させていただく栄誉に恵まれました。

式典では、清水信介・ストラスブール総領事(欧州評議会常駐オブザバー大使)とトールビョルン ヤーグラン(Thorbjørn Jagland)欧州評議会事務総長が、この20年間の日本がオブザーバーとして果たした欧州評議会における功績を述べられました。もとより欧州評議会は「人権、民主主義、法の支配の分野で国際社会の 基準策定を主導する国際機関」(外務省ホームページより)であり、ロシアを含む47カ国が参加しています。続いて、私もスピーチをさせていただく機会を頂戴いたしました。折から欧州評議会では、デモクラシーについての国際大会が開かれており、各国の大使や使節の方々が多数訪れてくださいました。

思えば27年前の11月9日は、東ベルリンで壁の崩壊を体験した日でした。ベルリンの壁の崩壊は、東欧諸国の民主化の引き金となり、ソ連の崩壊をもたらしました。以来、この27年間は「民主化」がこれまでの時代のキーワードだったといえるかもしれません。


●クリスタルナハト

いっぽうそれよりも半世紀前の1938年の11月9日は、ドイツでは「クリスタルナハト(Kristallnacht - Night of Crystal)」といわれる悪夢の夜でした。ナチス政権によって、第三帝国内の267のシナゴーグが燃やされ、ユダヤ人所有の7500もの商業施設が破壊されたのです。3万人ものユダヤ人が拘束され、収容所に送られました。その多くは、国外への移民を条件に釈放されましたが、この事件を契機に、ナチ政権による反ユダヤ政策が強化されることになりました。(※)
同じような憎悪や敵愾心による蛮行や悲劇は、現代でも局地的に行われているわけですが、それから78年後の2016年の11月9日は、ともすれば時代が逆行しかねない危惧を世界中に撒き散らす夜明けとなりました。(※United States Holocaust Memorial Museum - https://www.ushmm.org/wlc/en/article.php?ModuleId=10005201を参照)


●華厳の教えに学ぶー重々無尽法界縁起

さて、5月にNY国連本部でスタートして以来、世界巡回展となった展覧会「光と希望のみち」におきまして、私が訴えていることの一つは「すべてはつながっている」ということです。

東大寺大仏建立の大元にある華厳の教えには、「重々無尽法界縁起(じゅうじゅうむじんほっかいえんぎ)」という真理があります。人も世界も宇宙も、果てしなく重なり合い、繋がっているご縁で成り立っていることが説かれています。幾重にもご縁が連なり、重なり合う包括的な生命観は、複雑な枝状の広がりを持って他の神経細胞とつながる、脳のニューロンネットワークと酷似しています。

私たちの脳は、「重々無尽」の情報処理と伝達を担うニューロンを駆使して思考をしているわけですが、いまや脳の働きが人工知能に置き換えられようとしています。ただしどんなに人工知能が進化しようとも、心を宿しているわけではありません。人工知能が乗り越えられないのが心の領域であり、心こそが人間存在の根幹といえます。すなわち「心がすべて」であり、これが二つ目の華厳の教えで「唯心」といわれるものです。

唯心とは、心こそが生きる基本そのものであるということです。ただしここでいう「心」とは「心が冷たい」「心がこもらない」などのように、日常的に使う「心」のことではありません。蒸留水のように済んでいて、欲の垢にまみれていない純粋な心のことをいいます。

心を磨くとき、こうした澄んだ心の領域において、他のいのちへの愛や感謝、尊敬が芽生えてくるのではないでしょうか。そこから排他性や敵対心を乗り越えて、寛容や連帯を育てていけるのではないでしょうか。

そしてすべてが果てしなく重なり合う互いの関係性に気づくとき、おのおのがかけがえのないいのちの華であることも見えてくるはずです。それが華厳の教えであり、大仏さまの教えの本質といえるでしょう。それがまさに「光と希望のみち」プロジェクトで訴えかけていきたいことに他なりません。


●心において分断を乗り越える

ちょうど先月の10月14日から24日までは、ソ連崩壊後に民主化をしたウズベキスタンを訪れました。ウズベキスタン芸術アカデミーの招待により、アカデミー内の芸術文化機関「平山郁夫国際文化キャラバンサライ」にて、日本カメラ財団のご支援のもと、「光と希望のみちーシルクロードが’紡ぐ 悠久のコスモポリタニズム」を開催しました。

ウズベキスタンは、シルクロードの交差点であり、文明の十字路といわれる場所です。そこでは、数千年の時をかけて、数多の人種や民族、宗教や民俗が混ざり合った結果、十人十色の人種のるつぼの感がありました。さまざまな顔や肌の色、背丈や骨格の人々がみな対等に暮らしている様子からは、まさにコスモポリタニズムの真髄である、「それぞれがかけがえのないいのち華」であることが見えた思いがしました。

こうした「重々無尽の縁起」や「唯心」「誰もがかけがえのない華」であることを、展覧会「光と希望のみち」では、東大寺の大仏さまや戒壇院四天王像、日光月光像、伎楽面ほか、春日大社の舞楽面などの写真作品を通して、訴えかけていきたいと思います。

まさにいまこそ分断ではなく連帯を、差別ではなく寛容を訴えていかなければならない時代となりました。ベルリンの壁崩壊以来27年の時を経た11月9日は、「西側民主主義モデルへの挑戦」(ファイナンシャル・タイムズ紙)となりました。民主化への27年の道のりの終わらせてはならず、ましてや、80年近く前の暗黒の時代へは、決して後戻りをしてはいけない、と強く思った日でした。


●皆がかけがえのない華

ストラスブールでの展覧会は、18日まで欧州評議会・会議場ロビーで展示された後、ヨーロッパの広場パビリオン(lieu d'Europe -exhibition pavillion)で19日より12月16日まで開催されます。フランスとドイツのかつての紛争の場所であり、第二次大戦後は、両国のつながりの場所となったストラスブールで、平城京の至宝が伝える「悠久のコスモポリタニズム」がヨーロッパの人々の心を癒してくれることを願う次第です。


伊藤みろ メディアアートリーグ
http://mediaartleague.org

写真:欧州評議会・会議場前ロビーでの展示の様子(左手奥は、東大寺戒壇堂四天王像、右手奥は春日大社舞楽面・納曾利、手前は東大寺伎楽面・治道、撮影協力:東大寺・春日大社・奈良国立博物館)
Text and Photo by Miro Ito, Media Art League. All Rights Reserved.

伊藤みろ発 メディア=アート+メッセージ No.1 ただ一つの道がある

2016-05-22 12:25:23 | 聖徳太子の和の教えとともに歩む
ただ一つの道がある

2016年に入ってからの世界情勢は、文明の進歩と理想の退歩が交錯し、日ごとに希望と挫折が綱引きを行う、歴史的な大局を迎えつつあるように思われます。テロの暴力や戦争の悲劇、天災や疫病に、多くの人々の希望の光が吸い込まれそうになりながらも、国際的な協調の波がさらに高まっています。

グローバリゼーションの結果、かくも広範囲にめまぐるしい変化が起こりつつあるのは、現代という時代の恩恵でありながらも、その急激な副作用といえるかもしれません。グローバル化は、広範囲の文化の均質化をもたらし、多様性を育む地域の伝統への「津波」となる一方、文化摩擦や経済格差をもたらし、平等化とはかけ離れた、人種間の紛争とも絡み合っています。

「平和維持」や「難民」「人権」をはじめ、「環境保護」「発展途上国への援助」などの差し迫った問題の数々は、国家という枠を超えてグローバルに取り組む課題にほかなりませんが、国連などの国際機関に決定を委ねると同時に、21世紀初頭という時代を生きる、私たち一人一人にも、「地球市民(コスモポリタン)」としての新しいアイデンティティが求められているように思われます。

解決のないまま、グローバル化の波とともに広がる混乱の中で、世界文化を目指した古代の叡智を繙き、愛と知恵、調和を基盤とした人間文化の根底にある価値観や哲学をいまこそ見つめ直していきたいものです。

そんな思いとともに、現在の世界的混乱の先駆けとなった「9.11」以来、私は、永住権を取得済みのアメリカを一旦離れ、2003年より奈良の神仏混淆の伝統を取材してまいりました。


「寛容と平等」を地球市民の規範に

奈良において私がこの10数年間で学んだのは、聖徳太子にはじまる「和」の精神です。
太子発令の憲法十七条(二条)の「篤く三宝を敬え」に記されたように、そこに顕著に見られるのは、仏教を異国からの新しいカミとして受け入れた寛容の精神です。

その後、奈良時代になって聖武天皇が、全国各地に国分寺・国分尼寺を建立して仏教を国教化し、盧舎那大仏を造立したことで、神仏習合は一気に進みました。ちなみに仏教自体も「天部」とよばれる、ブッダの教えに帰依した古代インドの神々を包含しています。

もとより寛容さは、イエス・キリストの「隣人を(汝が如く)愛せよ」の教えそのものであり、異質なものを尊重し、対話を通して矛盾や衝突を乗り越えていく、平和と協調を生み出すための普遍的な行動規範といえます。

「寛容とは、人間の多様性に積極的かつ前向きに関わることであり、この多民族・多文化社会において民主主義の根本原理のカギとなるものです」(コフィー・アナン前国連総長による「国際寛容デー(11月16日)」についてメッセージより)。

一方、聖徳太子の功績は、飛鳥時代に、仏教の教えと当時最先端の文化を基盤に、日本という国家の礎をつくる傍ら、随との間で、平等な立場で外交を進めたことです。

人々の連帯を生むためには、「平等化」への努力が必要です。豊かさの中にある貧困、食あまりの中の飢え、資源の過剰さの中に不足という矛盾と向き合い、格差が産み出したさまざまな歪みを解消するためには、個人か団体かの区別なく、一人一人が社会・政治・経済的に高い理想を掲げ、さまざまなレベルで「平等化」を実践することが大切です。

そんな寛容と連帯の歴史を学ぶために、シルクロード伝来の文化遺産を取材し、写真や映像作品、書籍などの作品に託してまいりました。


「志」を資産に、平和への願いをこめて

さて「寛容と連帯」をつむぐ調和ある進歩を願って、2003年以来、アートがメディアであり、メッセージとなる、私の活動「メディアアートリーグ」の新しいWEBサイトが先日完成しました。

2001年にニューヨークで体験した9.11以来、東洋的な共栄共存の心に学び「ただ一つの道=平和への道」を目指して、この12年間多くの方々の教えを請い、撮影や取材を行ってきた軌跡を、一つのサイトにまとめることができました。「これまで」をまとめると同時に、「これから」の活動のプラットフォームにできるよう、私にとって、かけがえのない「志」という資産を、新しいメディアアートリーグのサイトに凝縮させ、ありったけの魂を注ぎ込んでいます。

「ただ一つの道」へご一緒いただける方々の心に届くように、文章は新しく書き下ろし、またサイトで展開するイメージカット的なフォトアートは、日本やユーラシアの伝統をテーマに、平和への願いをこめて撮り下ろしています。聖徳太子や聖武天皇が求めた「和」の精神を作品に託しながら、本年からは、ニューヨークと奈良を結ぶNPO活動を始めたく、現在、5月17日からNY国連本部での展覧会を開催中です。

国連での展覧会の詳細は、WEBサイトや次回のブログで公開したいと思いますが、奈良でこの12年間に撮影と取材に勤しんだ、ひとつの到達点を披瀝する展覧会になるものです。

これまでメディアアートリーグの活動にご協力くださり、さまざまなご支援をくださった方々とのご縁に、改めて心からの謝辞を捧げたいと思います。

なおこれより「伊藤みろ発 メディア=アート+メッセージ」として、メールレター&ブログとして、メッセージを発信してまいります。
不定期な発信になるかと思いますが、かつて2001~2002年に発信していた「NYからの手紙」同様、ご愛読いただければ、幸甚に存じます。

道は続く
ただひとつの道が_。

寛容と連帯を願う心の道を、どうか皆様とともに歩ませてくださいませ。

平成28年5月吉日
伊藤みろ メディアアートリーグ

メディアアートリーグ新WEBサイト
http://mediaartleague.org (日本語版)
http://mediaartleague.org/en (英語版)

光と希望のみちに向かって 迎春 2016年

2016-01-13 14:01:07 | 光と希望のみち
光と希望のみちに向かって
迎春 2016年


2015年は、テロ襲撃や戦争による難民、地球温暖化に伴う自然災害の増加により、あまりにもの多くの人々が想像を絶する痛みと向き合わなければならない事態が続きました。こうした地球規模の問題にどう対処すべきか、答えのないまま、新しい年が始まりました。

新年においても、中東の緊張や北朝鮮による核実験、世界の主要株式市場の下落不安など、年初から大荒れですが、そうした試練を乗り越え、未来を前向きに築いていくために、平和と協調をもとに、一人一人が理想とするヴィジョンを再検証する時代がやってきたように思います。

私見ながら、古今東西の教えに学ぶ形で、その基準をあげるならば、次の3つに集約されるでしょうか。

人間の精神的探求が根本的に一つであり、多元的な信仰の底流にある普遍性を見つけ出すこと。
寛容を生み出す共通の基盤を探り出し、未来に向けて育てること。
万人は平等であるという意識とともに、すべての生命の共栄共存のバランスの上に、心の連帯を求めていくこと。

すべての生き物(衆生)を苦しみから救う誓いを立てる、大乗仏教の「利他行」の精神は、そうした答えに近づくためのヒントを与えてくれるかもしれません。もとより、奈良の大仏造立の元となっている華厳思想で説かれる「すべてが繋がっていること」や「すべてが一つである」とする一体化の理念(一即一切・一切即一)は、ギリシアの新プラトン主義とも共通する普遍性をもつものです。

すべてが依存し合い、どの存在も互いに重層的に支え合う関係性に気づくとき、いま世界で起きていることへの責任感、そして自ら行動する意識が芽生えてくることでしょうか。いっぽうイエス・キリストは、愛を実践するために何よりも大切な鍵として「隣人愛」を説きました。

地球の保全や、平和な未来に責任をもつ「地球倫理」(1993年のシカゴの世界宗教会議による宣言)の目覚めのために、ささやかながら役立てることを願いながら、新年のメッセージに託したいと思います。

The human race has only one effective tool for peace
and that is love…

いま起こりつつある試練を糧に、私たちが団結できる年となることを願いながら、新年もどうぞよろしくお願いいたします。

2016年1月吉日

伊藤みろ
メディアアートリーグ
http://mediaartleague.org

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【ご案内】未来へ紡ぐ 華厳の光~東大寺 国宝 日光菩薩立像・月光菩薩立像 伊藤みろ 写真作品展示

2015-10-01 15:45:11 | 東大寺
未来へ紡ぐ 華厳の光~東大寺 国宝 日光菩薩立像・月光菩薩立像
伊藤みろ 写真作品展示
開催にあたって
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2015年10月7日~9日(10:00-17:00)
第42回国際福祉機器展
東京ビックサイト東展示ホール (入場無料)
日本ケアコミュニケーションズCSR活動展示 (No.6~18~12)
http://www.hcr.co.jp
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2015年は、戦後70年の節目の年であり、世界を取り巻く試練はますます強まりつつあるように思われます。

温暖化による天変地異の激化や、世界に広がる紛争の渦と国際的な難民問題、環境破壊や感染症といった「地球規模の困難」とともに生きる時代にあって、いま「生かされていること」のありがたさを、強く実感する思いです。こうした厳しい時代だからこそ、「祈り」という人間に与えられた、心の力を信じていきたいと思います。

現代の日本は、ある意味で1300年前の状況と比較することができるかもしれません。かつて相次ぐ天変地異や飢饉、疫病、干魃などの未曾有の試練を、国民が一丸となって乗り越えるために、聖武天皇の発願により、盧舎那大仏が造られました。

人も世界も宇宙も、すべてがつながっているという「華厳の教え」によって、人々が心をひとつにし、復興と希望の光として、動植物までもことごとく栄えるよう、大仏さまが造立されたのです。この空前の規模の国づくり事業には、延べ260万人の国民が参加しました。当時の日本の人口が500万人ほどだといわれた時代に、二人に一人が参加したわけです。

一方、開かれた国際都市となった平城京には、盛唐の文化様式が花開き、ヘレニズム文化の影響を受けたギリシア的な写実性と人間性への深い洞察力を表現として結実させた、天平彫刻が作られました。東大寺では、日本を代表する国宝の一つである法華堂・戒壇院の塑造彫刻群の一具として、日光菩薩立像・月光菩薩立像も作られました。

日光菩薩立像と月光菩薩立像は、祈りをテーマに作られた屈指の名作です。天平時代に聖武天皇が人々の救済、そして仏教によって国を治め、国家の安泰と平和を目指したように、私たちがいま心をひとつにして、一体となって祈ることで、世の中に希望の光を発信することができないものでしょうか。そんな願いを込めて、このたび、天平の人々の祈りの心を思い起こし、その未来への継承と高齢者福祉に役立てたく、東大寺の特別協力を得て、日光菩薩立像と月光菩薩立像の写真作品を、掛け軸として展示させていただく運びとなりました。10月7日から9日まで、東京ビックサイトで開催される「第42回国際機器展」において、日本ケアコミュニケーションズのCSR活動の一環として、展示されます。

「祈る人」としての日光菩薩立像と月光菩薩立像は、ともに厳かに佇立合掌し、通常の菩薩とは異なり、装束を纏っています。菩薩の上半身は、裸体で表現されることから、日光・月光菩薩は、古くから梵天・帝釈天であると考えられてきました。実際には、2009年からの東大寺法華堂須弥壇(しゅみだん)の調査により、極めて貴重な発見の一つとして、日光・月光菩薩と戒壇院四天王および法華堂の秘仏である執金剛神(しつこんごうしん/しゅこんごうしん)はもともと一具であったこと、さらに日光・月光菩薩は梵天・帝釈天であることが確実視されるようになりました(注1)。

日光・月光菩薩(梵天・帝釈天)は、現在、東大寺ミュージアムにおいて、四月堂から迎えられ、中央に安置されている木造千手観音立像(平安前期、重要文化財)の左右に並び立ち、衆生を救うための祈りを、今日も捧げ続けています。

日光・月光両菩薩の天上的な慈しみを表情に滲ませた、厳かな救済の祈りの姿に、奈良の東大寺ミュージアムをはじめ、東京ビックサイトでの当展覧会にご来場くださる方々が、癒されることを願う次第です。

世界の平和をともに祈りながら、時方を超えて、光を見つめ続けていく活動をご一緒いただけたら、幸せに思います。

平成27年 仲秋のみぎり

伊藤みろ
(落款雅号:聖徳みろ)
フォトアーティスト・著述家/メディアアートリーグ代表

参考文献(注1):『奈良時代の東大寺』(東大寺発行、2011年)
_______________________________
特別協力:東大寺
機材協力:キヤノンマーケティングジャパン、イイノメディアプロ

写真キャプション:東大寺 月光菩薩立像 (奈良時代、国宝) 撮影:伊藤みろ
(C) Photo & Text by Miro Ito. All rights Reserved.

未来へ継承したい 祈りの心 東大寺千手観音立像・四天王立像・厨子~聖徳みろ 作品展示

2014-10-01 20:40:33 | Weblog
「未来へ継承したい 祈りの心 東大寺千手観音立像・四天王立像・厨子」聖徳みろ 作品展示

国際福祉機器展内 2014年10月1日-10月3日

爽秋のみぎり、ますますご清祥のことと存じます。

さて10月1日より3日まで、私の新しい写真作品の発表・展示が行われております。もとより、私が進めている文化共有事業「メディアアートリーグ」では、東大寺をはじめとする、奈良の世界遺産の社寺の国宝や重要文化財を、写真作品や映像作品として寄贈し、後世に遺す活動を行っています。

本展示は、東大寺の特別協力のもと、和紙に印画された六点の掛け軸作品として、このたび公開が実現しました。

千手観音立像・四天王立像・厨子(すべて重要文化財)は、東大寺戒壇院千手堂に安置されている鎌倉時代の至宝です。近年では、火災(1998年)により損傷した千手堂の落慶の年(2002)、平城京遷都1300周年の2010年、および厨子の扉絵の復元が完成した2013年の3度公開されただけの、きわめて貴重な非公開の文化財です。

千手堂は、奈良時代に鑑真大和尚によって、日本で初めて仏教の授戒式が行われた戒壇院内に設けられています。戒壇院の資料によると、鎌倉時代後期、東大寺の大勧進の任じられた圓照(えんしょう)上人によって、創建されました。江戸初期に三好・松永の兵火によって焼失されたものの、30年後の慶長年間に再建されました。江戸時代の縁起には、後嵯峨院が圓照上人に下賜した二間(ふたま)観音のことが記され、千手観音のことだと推測されます。

本観音像が写真作品として、東大寺の特別のご厚意により、これより広く世界に公開でき、「未来に継承したい祈りの心」を伝えるとともに、一人でも多くの皆様の心の癒しに役立つことを願う次第です。

ご協力いただいた東大寺ならびにご支援を賜りました皆様に、心から厚く御礼申し上げます。

なお私がライフワークとして進めさせていただいている、奈良の国宝や重要文化財の撮影は、奈良の社寺の特別なご理解とご支援の賜物であり、これより一人のフォトアーティストの立場を超え、歴史と現代を結ぶ意図にて、「聖徳みろ」の雅号にて、奈良の作品を発表していきたい所存です。

NYで経験した「9.11」から13年が経ち、奈良や日本の伝統芸能を取材する12年の歳月を経て、次なる人生の段階では、NYでの財団設立を目標に、日本に遺されたアジアの伝統文化を「未来に継承したい いのちの祈り」のかたちとして、世界に発信していきたいと願っています。

新たな雅号につきましても、引き続きお引き立てを賜りたく、改めてどうぞよろしくお願い申し上げます。

メディアアートリーグ代表

聖徳みろ こと 伊藤みろ
2014年10月1日

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開催場所:第41回 国際福祉機器展
http://www.hcr.or.jp/exhibition/exhibition2014.html
期間:2014.10.1-10.3
時間:10:00-17:00
出展主催:日本ケアコミュニケーションズ
企画制作:メディアアートリーグ
協賛:NDソフトウェア
機材提供:キヤノンマーケティングジャパン、イイノメディアプロ
東京ビックサイト(東6号館)・入場無料(登録制)
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All Rights Reserved.
2014 (c) Photo by Miro Ito
東大寺 戒壇院千手堂 千手観音立像(重要文化財)
特別協力:東大寺

[ メディアアートリーグについて ]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている1400年の有形・無形の文化遺産を、国際的に紹介する活動を展開。作品は、奈良の世界遺産の社寺をはじめ、国内外の図書館・美術館、文化財団、教育機関などに寄贈している。ユーラシア大陸伝来の太古のアジアの叡智と芸能、日本の精神文化の粋を、写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動として、NYで財団設立を目指す。

公式サイト http://www.miroito.com

「私。」という証を、光の鏡像として、未来へと継承するプロジェクト

2014-04-02 22:06:45 | 未来へ伝承する命の証
【ご挨拶とご案内】
「私。」という証を、光の鏡像として、未来へと継承するプロジェクト

桜が満開の中での新年度の始まりは、新たなる決意への禊のように、神々しいほどの桜の生気に心が洗われる思いがします。もとより「さくら」の語源の由来も、田の神である「サの神」の座(くら [すまいの意])といわれ、春になると山から降りてくる、里の神の依代(よりしろ)だそうです。

桜は、古来より農耕を主体とする日本では、豊穣の春を告げるからこそ、今日にいたるまで「晴れの日」を飾る象徴となったのではないでしょうか。五穀豊穣の神への感謝のしるしとして、桜が日本の「国花」となったのもうなずける気がします。現代では、毎年、春の盛りの数日間だけ咲き誇り、散り際さえ「美しい」と愛でられる桜は、命から命へとつなぐ、生命の移ろいと循環に気づかせてくれる、心の伝承のように思えてきます。


★「私。」プロジェクトを始動★

さて私も、このほど命の証を、未来へと伝承させるプロジェクトを始動させました。
新しいプロジェクトは、「私。」プロジェクトという名称です。日本カメラ博物館(日本カメラ財団)とのコラボレーションにより、超大判フィルム「8x10(エイトバイテン)」で撮った肖像を、<魂の鏡像>としてプラチナプリントに印画して、未来に遺していくプロジェクトです。

アートと科学、霊性と哲学の融合を目指し、三菱総合研究所のグループ企業である日本ケアコミュニケーションズの社会貢献活動(CSR:Corporate Social Responsibility)として、東日本大震災から3年目の去る3月11日に、仙台市の介護施設で「8x10」カメラの訪問撮影のキックオフイベントを行いました。「3.11」から3年を経て、心の痛みを乗り越え、「希望の光」を被災地に見出すメモリアルイベントとして、同プロジェクトをスタートできたことは、望外の喜びとなりました。

私自身、かつてドイツとアメリカで永住権を取得し、ベルリンの壁の崩壊を東ベルリンで体験した後、「9.11」同時多発テロ事件をニューヨークで経験したからこそ、この10年間は日本に戻り、日本の1400年の伝統から、世界に「つながり」と「おこない」の大切さを伝える作品づくりを基軸にしてきました。奈良の神仏習合の歴史、能や古武道などの伝統文化を取材・撮影し、書籍や映像作品として発表し、世界の図書館や美術館等に写真作品として寄贈する活動を、「メディアアートリーグ」として、推進してまいりました。

本年からは、「9.11」と「3.11」の10年をつなぎ、日本と世界を結び、また太古の文明の歴史に未来への答えを求めて、次なる10年へと、光の道をひたすら走り続ける、新しい動きを始める気概です。

私自身、「私。」プロジェクトのプロデューサー&フォトアーティストという立場で、写真文化の次世代への継承とともに、来たるべく魂の時代に相応しいメッセージとして、いのちの尊厳を訴えるために、これより<魂の肖像撮影プロジェクト>を推進してまいります。


★世紀の写真術:「8x10」フィルムをプラチナプリントで制作★

さて、いまなぜ「8x10」インチ(20.3×25.4センチ)の超大判フィルムカメラなのかというと、フィルムによる写真文化を遺していくためです。私が撮らせていただく「魂の肖像写真」は、現存する写真印画法では、最高の耐久性を誇るプラチナ(パラジウム)プリントとして印画・制作します。

プラチナ(パラジウム)プリントとは、白金やパラジウムを用いて、ネガを密着させてつくる永久保存のプリント術です。紙の耐用年数を基準に「350年~500年」の保存プリントといわれますが、プラチナの鏡像自体は、不朽のものです。とりわけ「8x10」サイズのネガから創られるプラチナプリントは、空気感、存在感、細密感、立体感、光の再現性など、最高の写真術といいうるものです。深い純黒調を創るプラチナのほか、パラジウムを使うことで、暖かみのある温黒調の色調が醸し出されます。作品は、ご依頼くださった方々のお手許に残るだけでなく、日本カメラ博物館の永久コレクションに寄贈する予定です。

また「8x10」撮影と同時に、イイノスタジオからの協力を得て、世界最高クラスの画質を備えた中判デジタル撮影も行います。さらに「究極のスナップショットカメラ」といわれるライカSシステム(中判ライカ)を併用し、いのちの躍動と煌めきを「光の絵」として捉えたいと願っています。

その他、昨年、家紋に託された日本や世界の精神文化の秘話中の秘話を解き明かし、家紋を祈りの徴として位置づけを試みた、拙書『日本の家紋と姓氏:伝統美と系譜』での蓄積を元に、私たちの命の伝承の系譜を象徴する「家紋」についても、判定いたす運びとなりました。

個人のいのちの証を、8x10フィルムとプラチナプリントにて、未来へと継承させていく「私。」プロジェクトにつき、これより皆様とぜひご一緒いただきたく、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

★お問い合わせ・お申し込み先:「私。」プロジェクトWEBサイト
http://www.care-com.co.jp/watashi.project

★伊藤みろ 公式サイト
http://www.miroito.com

2014年4月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ
E-mail: medialnyc@ybb.ne.jp
Text and image by Miro Ito + Media Art League, L.L.C. All rights reserved.  
2014 (C) Miro Ito + Media Art League, L.L.C.


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伊藤みろの著書(ご参考)
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■写真教本
書名: 『フォトグラファーズバイブル』伊藤みろ 著
企画・編集:メディアアートリーグ
定価:2,100円(税込み)/B5判 並製 カラー単行本 /191頁
発刊:2012年5月22日 / ISBN 978-4416812440
発行元:誠文堂新光社

書名:『極意で学ぶ写真ごころ』伊藤みろ著
定価 2,400 円(+税)/ B5判 並製 カラー単行本/ 152頁
発刊:2011年11月30日 / ISBN 978-4-8459-1180-6
発行元: 株式会社フィルムアート社

■家紋の百科事典
『日本の家紋と姓氏 伝統美と系譜』
著者:伊藤みろ
企画・編集:メディアアートリーグ
出版社: 誠文堂新光社
単行本: 416ページ (総家紋数: 約3000点/紋種: 約300種)
サイズ:A5(21 x 14.8 x 2.5cm)
発行日: 2013年3月27日/ISBN 978-4-4168-1205-1
定価:1800円 (+税)

魂の写真術を未来へ!写真術の最高峰、超大判フィルムカメラ8X10と中判ライカSでフォトアートの奥義を伝道

2013-09-05 17:18:23 | 写心道場
ご挨拶&ご案内【光から光へ、人から人へ】魂の写真術を未来へ!
写真術の最高峰、超大判フィルムカメラ 8X10と中判ライカSによる、フォトアートの奥義を伝道


★現代の「光の宗教画家」をめざす★

光による魂の浄化を通して、世界平和に貢献する心の輪を広げ、アーティストとして、日本から未来へのメッセージを発信したいという思いで、日本の1400年の精神文化を取材する日々も、この秋で10年になりました。

これまでの10年は、聖徳太子や聖武天皇が目指された、つながりとおこないの「光の道」を求めて、有形無形の祈りのかたちに、いのちの根源を見つめ、光による人の変容をテーマにしてきました。もとより、光とは、叡智であり慈悲(愛)であり、そのこころを未来へ伝承するために、歴史において、仏像が彫られ、宗教美術が描かれてきました。

私自身、現代の宗教画家、仏師でありたく、「光の絵師」として、世界最高水準のデジタル技術(最大6000万画像)による世界遺産・国宝・重要文化財、伝統芸能やポートレイト撮影を行ってきました。そしてデジタル時代が頂点に達しつつある今だからこそ、私にとっての、光の道そのものである「魂の写真術」の究極として、超大判フィルム「8X10」に行き着きました。

8X10(エイトバイテン)とは、「203mm×254mm」のサイズの超大判フィルムを使う、写真術の最高峰です。写真術が発明されるまで、ヨーロッパの画家たちが、絵画の下絵に使った「カメラオブスキュラ(camerae obscurae)」の秘技を、今日に伝えるものです。レンズの特性によって、幻のようにピントグラス上に立ち現れる鏡像(倒立像)とは、まさに人類の永年の夢として、「夢の写し絵(laterna magica)」といわれた写真術の原点であり、奥義そのものです。


★魂の写真術を伝道★

さて、ドイツ、アメリカの二つの国で永住権を取りながらも、日本の神仏習合の1400年に帰依する10年が過ぎ去り、次の10年では、魂の写真術を、精神と技の一体化した「道」として、過去から未来へと継承させるために、その極意を伝道する活動を始めました。

魂の光の体験である、撮影を通して、光の同志と出会い、いのちのつながりに気づき、分かち合う、癒しの体験の「場づくり」を始めました。未来への大願を、日本の「光の同志」とともに実践・成就いたしたく、東京からのスタートですが、2014年には、NYやドイツをはじめ、世界各国での開催を企図しています。

具体的には、アサヒカメラ誌での拙連載「極意で学ぶ 写真ごころ」に因み、連載再開の準備を兼ね、2013年8月初旬より、東京で同名の道場を開講しました。

「ポートレイト道場」では、ドイツ・ライカ社の協力を得て、ライカカメラ&レンズ力の極みを担う最高級デジタル「ライカSシステム」(中判ライカ、3750万画素)を、「師範」こと、私の機材として使用しています。撮影によって魂的につながり、世の中の癒しを願って、皆で写真表現という「小さな奇跡」を分ち合うことが目的です。


★夢の写し絵 8X10(エイトバイテン)★

いっぽう「8X10 裸体の極意。」では、「諸行無常」の日常世界を脱皮し、光が魂へと透過し、「光から光へ」の橋渡しが、より純粋なかたちとなります。撮影自体を、写真道の「儀式」に見立て、「美と聖なるもの」へと参入する瞑想的な体験を演出します。「永遠のいま」へと開かれる静粛の中で、裸体から立ち上る生命の煌めき、神秘と向かい合ういのちの交換の場です。「道」ですので、礼を正し、武芸の奉納のごとく、儀式として行いながら、精神そのものの劇場のような異次元へと向かう体験となることでしょうか。

私自身、長年永住権を持って活動していたドイツやアメリカを離れ、日本の身体表現をテーマに、NYのリンカーンセンターなどの世界的な機関にて、これまで個展を開催し、作品を寄贈してきました。そうした写真道の延長線上で、現代の観音さま、マグダラのマリア像を「光」で描く気持ちで「8X10」に託していきます。

あたかも聖像(イコン)に「祈り」を託すときのように、写す側の魂の浄化とともに、さらなる魂の深みへと向かうセレモニーといえます。そして祈りと浄化の体験こそが、世界への平和へのメッセージとなり、魂の写真術による「光の道」なのだと信じる次第です。

写真ごころによって、光の道を目指し、魂を浄化しながら、地球環境を守り、戦争のない平和な未来へと、希望の光を伝えていきたいと願っています。

東京からスタートさせ、NYやドイツへと巡回・回帰する私の「写真術という魂の旅」をご一緒いただきたく、光の同志として、ぜひご参加くださいませ。


※お申し込みは、以下のURLにて詳細ならびに最新情報をご覧くださいませ。

http://www.miroito.com/gokuidojo.html


伊藤みろ メディアアートリーグ

2013年9月吉日

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協力:アサヒカメラ
   日本カメラ財団/日本カメラ博物館
   ライカ
   ケンコー・トキナー、KPI
   ヴァリエ

※ポートレイト道場の初回報告については、8月18日付けブログを参照ください。
http://blog.goo.ne.jp/miroito/e/f3a6b72bad12ac9d6179b12b16e5cd5a

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伊藤みろ著書(写真教本):
書名:『極意で学ぶ写真ごころ』伊藤みろ著
定価 2,400 円+税/B5判 並製 カラー単行本/ 152頁
発刊:2011年11月30日 / ISBN 978-4-8459-1180-6
発行元: 株式会社フィルムアート社

書名: 『フォトグラファーズ バイブル』伊藤みろ 著
企画・編集:メディアアートリーグ

定価:2,100円(税込み)/B5判 並製 カラー単行本 /191頁
発刊:2012年5月22日 / ISBN 978-4416812440
発行元:誠文堂新光社

イメージ写真クレジット:
Title of Photo: “Ginger”
Photo by Miro Ito
Model: Tamala Yamaguchi
Hair & Make-up: Akio Namiki (Kurara System)

光の写真道を往く: 光による小さな奇跡 天からの授かりものとしての写心道を求めて

2013-08-18 14:36:59 | 写心道場
光による小さな奇跡 天からの授かりものとしての写心術を求めて

アサヒカメラ誌での旧連載の名称「極意で学ぶ 写真ごころ」に因み、「写真ごころ」をテーマにした道場を開講、8月3日と10日の土曜日に、「ポートレイト道場」初回の実践(撮影会)を行い、大成功のうちにスタートしました!

当道場は、技と精神の一体化を目指す「写真道」のための場です。表現とは何かを追求し、技の習得を目指した「実践(撮影会)」を中心に、「談義(講評会)」において、作品を発表し合い、皆でともに作品づくりの要となる精神性、極意の体得を目指していきます。

初回は、カナダ(ドイツ系)と日本の血を引く、高校三年生のエリザベス・ベッチャー(Elizabeth Boettcher)さんがモデルとして、参加してくれました。エリザベスさんの無垢な美しさは、私が「写真表現」において目指す、天使の世界の「瞬き」のようでした。
(※3日の撮影では、長年の友人、双木昭夫 [Akio Namiki] さんが「天使」のhメイクとスタイリング協力)

さて、私自身、光による絵師(Painter of Light)でありたいと願い、永住権を取得していたドイツやアメリカ、日本の三つの文化圏で、写真を撮ってきました。表現とは何か、について思いを馳せるとき、私はいつも、初期ルネッサンス、フィレンツェ派の画家、フラ・アンジェリコ(Fra’ Angelico, 1390/95-1455年) や、北方ルネッサンスの世界へと、想像力を羽ばたかせていました。

フラ・アンジェリコとは、「天使のような」という意味とされ、本名はグイド・ディ・ピエトロ(Guido dei Pietro)という修道僧でした。天上の世界とのコラボレーションともいうべき、天使やマリアにまつわる光の祝祭の世界を描き、後にミケランジェロの師匠にも影響を与えた「画聖」です。フラ・アンジェリコの最も著名な作品シリーズ『受胎告知(Annuciation)』は、フィレンツェのサンマルコ美術館やプラド美術館(マドリード)にて観賞することができ、その崇高な美に心を打たれました。同作品において、聖母マリアにイエスキリストの誕生を予告する天使は、ガブリエルです。ガブリエルは、キリスト教のアークエンジェル(Archangels 大天使)の一人です。また「エリザベス」の名前の由来であるエリザベツは、新約聖書では、バプテスマのヨハネの母とされ、マリアがイエスの受胎をエリザベスに告げる情景も、宗教画のテーマとなっています。

またマリアといえば、フィレンツェのウィヒチ美術館やパリのルーブル美術館にあるフラ・アンジェリコの『聖母戴冠 (Crowned Maria)』も、光の中での「勝利のマリア」としを描く不朽の名作です。なお今回のブログには、天使とマリアへのオマージュとして、長年私の作品のモデルを務めてくれたアンジェラ・マリア・グラチア・ブリガンティ(Angela Maria Grazia Briganti)さんを撮った作品『Crystal Visions』を添えたいと思います。

さて、写真ごころが目指すものは、天の囁きであり、聖なる力の気配のような一瞬の魔法です。もとより目に見えている世界を通して、世界を貫く清らかなエネルギーと出会い、「永遠のいま」を表現する「心の術」なのだと思います。
こうした意味で、私にとって、写真とは「天からの授かりもの」であり、対象の魂の輝きと出会い、いのちのつながりに気づく、小さな奇跡なのだと思います。
そして、私たちすべてが宇宙のいのちとつながり、現在から未来へ、人から人へ、心から心へと、光のバトンタッチを行うことが、写真ごころの極みなのです。

写心道場第1期の中心的な課題は、「光を究める」こと。なお国際的に活動する舞踏手の山縣美礼(Mirei Yamagata)さん、そして本場ニューヨークのダンスカンパニーでも活動してきたコンテンポラリーダンサーの依田綾さん(Aya Yoda)さんも、モデルとして参加してくれることになりました。

お申し込みは、以下のURLにて詳細ならびに最新情報をご覧くださいませ。

http://www.miroito.com/gokuidojo.html

それでは、一期一会の光の恩恵へと心の眼を開き、精神と技が「不二」(切り離せない)ものとして結びつく写真道を通して、世界へと羽ばたく「光の道」をぜひご一緒くださいませ。

2013年8月18日

伊藤みろ メディアアートリーグ
Text and Photo by Miro Ito
Title: “Crystal Visions” (Model: Angela Briganti)
All rights reserved by Miro Ito + Media Art League, L.L.C
http://www.miroito.com


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[伊藤みろ著書:参考書] 
※道場へのご参加の前にお読みください。

書名:『極意で学ぶ写真ごころ』伊藤みろ著
定価 2,400 円+税/B5判 並製 カラー単行本/ 152頁
発刊:2011年11月30日 / ISBN 978-4-8459-1180-6
発行元: 株式会社フィルムアート社

書名: 『フォトグラファーズ バイブル』伊藤みろ 著
企画・編集:メディアアートリーグ

定価:2,100円(税込み)/B5判 並製 カラー単行本 /191頁
発刊:2012年5月22日 / ISBN 978-4416812440
発行元:誠文堂新光社
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師範 伊藤みろ「極意で学ぶ 写真ごころ」が初道場化! [2013年8-12月]土曜極意コース・ポートレイト道場

2013-07-13 21:36:02 | Weblog
2013年8 -12月 [第1期]
極意で学ぶ 写真ごころ道場 ご案内
師範:伊藤みろ 
実践 [ポートレイト撮影会]・談義 [作品講評会] × 全6回
土曜極意コース (午前の部・午後の部  各定員 8人)

■内容
「達人に至る道は、実践にあり、写真ごころにあり」を基本に、精神と技が一体化する「写真道」を伊藤みろが師範として指導。ポートレイト撮影による「実践」と作品講評会「談義」が 1 セット× 6 回。世界のすべてから、声なき声を聴き、写真を通じて、立ち現れる場に「いのち」を、瞬間に「永遠のいま」を、記録に「詩情」を、日常に「モニュメンタリティー」を見つめながら、写真における「表現とは何か」を徹底して追求する。「アサヒカメラ」誌で大反響を呼んだ 同名の連載、待望の初道場化。2013年8-12月第1期土曜ポートレイト道場を開設(※詳細は以下をご覧ください)

★★★実践のポイント★★★

精神と技の一体化を目指し、「写真ごころ=表現」とは何かを追求しながら、極意を学ぶ
- 環境の中での「構成美」の発見(光・形・動きに「美」と「構図」を見出す
- 「どう見るか」「どう見せるか」という「新鮮さ」「非日常」の視点
- 光の輝き・ニュアンスとの対話(光の足し算・引き算)
- パースペクティブを表現に生かす(レンズワークの世界)
- 色彩を表現として生かす(カラーフィルター活用、色補正)
- 見えているもの、隠されているものとの対話(フレームワーク、視線の力)
- 瞬間を「モニュメント」に変える(日常の中の記念碑、いのちの祝祭を生み出す)
- 光とかたち、色の出会い(ボケ、ティルト、軟調フィルター)
- 光で刻む心象風景(ハイキー=ノスタルジー、ローキー = メメントモリ)
- 静止の中に宿る永遠性(いのちの鮮烈さの表現)
- 動感の表現(写真の時間性/ブレ、長時間露光)
- 映り込み・多重露光(偶然・無意識の技)

■日程
(1) 第 1 回 実践: 8 月 3 日 ( 土 ) 15 ~ 18 時または、8 月 10 日(土 ) 10 ~ 13 時
      談義: 8 月 17 日(土 ) 10 ~ 13 時または、8 月 24 日(土 ) 15 ~ 18 時
- 夏休みのため、変則スケジュール。第 1 回の談義は、午前の部、または、午後の部のどちらでも参加可

(2) 第 2 回 実践: 8 月 31 日(土) 談義: 9 月 14 日(土)
(3) 第 3 回 実践: 9 月 28 日(土) 談義: 10 月 12 日(土)
(4) 第 4 回 実践: 10 月 19 日(土) 談義: 11 月 2 日(土)
(5) 第 5 回 実践: 11 月 16 日(土) 談義: 11 月 30 日(土)
(6) 第 6 回 実践: 12 月 7日(土) 談義: 12 月 21 日(土)
- (2) から(6) は、午前の部 (10 ~ 13 時 )  午後の部( 15 ~ 18 時)を選択

■場所
東京都世田谷区上馬のスタジオおよび周辺地域(屋外または屋内)を予定
※詳細は、お申し込みをいただいた方にご案内いたします。

■参加費
10 万円(全 6 回 : 「実践・談義」 が1セット x 6 回)

■定員 午前の部・午後の部 各 8 人
(※定員は、一杯になり次第、締め切らせていただきますので、ご了承ください。)

■参加対象 
一眼レフカメラ ( フィルム・デジタル ) をお使いになっている方で、作品( A4 以上)を持参できる方が対象です。定員に空きがある場合は、途中参加も可能です( 1 セット [ 実践と談義 ] で 2 万円)

■お申し込み先 有限会社メディア アートリーグ
Eメール: medialnyc@ybb.ne.jp / 電話: 03-5430-5433
※「午前の部」か「午後の部」をお選びいただき、お名前・ご住所・お電話番号・メールアドレス(パソコンまたは携帯)・性別を、お申し込みの際に、ご連絡ください。

■お支払い方法 口座へのお振り込み (※詳細はお申し込みをいただいた方にご案内いたします。)

(※上記は、2013年7月13日現在の情報です。)

[参考書] ※道場へのご参加の前にお読みください。

書名:『極意で学ぶ写真ごころ』伊藤みろ著
定価 2,400 円+税/B5判 並製 カラー単行本/ 152頁
発刊:2011年11月30日 / ISBN 978-4-8459-1180-6
発行元: 株式会社フィルムアート社

書名: 『フォトグラファーズ バイブル』伊藤みろ 著
企画・編集:メディアアートリーグ

定価:2,100円(税込み)/B5判 並製 カラー単行本 /191頁
発刊:2012年5月22日 / ISBN 978-4416812440
発行元:誠文堂新光社

Photo by Miro Ito
Title: "Homage to Ingres" (Model: Angela Briganti)
All Rights Reserved by Miro Ito + Media Art League, L.L.C.

伊藤みろ著『日本の家紋と姓氏 伝統美と系譜』(誠文堂新光社) いま家紋が教えてくれる未来への祈りの心

2013-04-21 22:58:31 | Weblog
いま家紋が教えてくれる未来への祈りの心 日本の1400年、中国4000年の歴史への旅

 このほど、日本の精神文化の源流である奈良の世界遺産の社寺や伝統芸能、古武道などを取材した10年の歳月の一つのまとめとして、『日本の家紋と姓氏 伝統美と系譜』(誠文堂新光社)を上梓いたしました。
 家紋という「イメージ」を通して見えてくる「未来への祈りの心」を焙り出しながら、書き下ろした文化・芸術・歴史エッセイです。日本の宗教文化や伝統文化を担う専門家への取材に基づき、さらには日本や中国の古典文学、美術、建築、工芸の分野に至るまでの学術文献に拠り、家紋に託された豊かな文化史・精神史を検証してみました。家紋という「宇宙(ミクロコスモス)」に映し出された、日本に遺され、守られてきたシルクロードや中国伝来の文化を辿ってみました。
 とりわけ、日本の家紋の起源を、飛鳥・奈良時代にまで遡り、聖徳太子に始まる神仏習合1400年の歴史に光を当て、神仏への祈りという視点から、家紋を捉えてみました。その背後にある「秘話中の秘話」の数々を紹介しながら、合計約3000点という紋数を収録しています。また本書の特徴は、幻の紋、知られざる紋、珍しい紋まで、約300種類の紋種を網羅しています。まさに文化の「鏡」であり、祈りの結晶のである、「家紋」の「百科事典」を目指しています。 
 一方、本書では、副題「伝統美と系譜」の通り、後半100ページ分の付録となった、日本の約120姓氏の由来について、詳しい解説を行いました。家紋と姓氏は、まさに「不二(身と殻のように切り離せない)」のものでありながら、家紋も姓氏も、これまで学問として、本格的な学術研究がなされておらず、姓氏についても、諸説が入り乱れる中で、歴史的な第一級文献に基づきながら、出典を明示した上で、解説文を編集稿として、書き下ろしました。
 そして本書416ページに凝縮された、家紋と姓氏の総鑑的な歴史から浮かび上がるのは、神仏に捧げられた日本人の祈りの心であり、文化の特異性をも超えた、いのち根源にある「光」を求める心です。そうした視点に立つとき、家紋は、「人類資産」として新しい文脈で復興し、時代や場所を超えて、永遠の光彩を放ちうるのかもしれません。
 私たちの遠くて近い祖先からの贈り物である、日本の1400年の伝統、中国4000年の歴史、朝鮮半島の国々との友好への祈りに満ちた、未来へと受け継いでいきたい「和」の心を、総家紋数約3000点・300種類の家紋から焙り出しています。
 もとより日本初の「十七条憲法」(604年)の第一条である「和」の心は、聖徳太子の時代より、戦いがあったからこそ、それを乗り越える叡智として唱えられ、私たちの心の中で生き続けてきたことを、本書において、何よりも伝えたいと思いました。
 家紋というイメージに託された日本に遺されたアジアの叡智の伝統を、世界の多くの方々と共有することで、聖徳太子に始まる「和」の心を実現できるよう、皆様からのご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 平成25年4月吉日

 伊藤みろ メディアアートリーグ
 2013 (C) Miro Ito + Media Art League, L.L.C./All rights reserved.

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『日本の家紋と姓氏 伝統美と系譜』
 著者:伊藤みろ
 企画・編集:メディアアートリーグ
 出版社: 誠文堂新光社
 ISBN-10: 4416812051
 ISBN-13: 978-4416812051
 単行本: 416ページ (家紋総数約3000点/300種類)
 サイズ:A5(21 x 14.8 x 2.5 cm)
 発行日:2013年3月27日
 定価:1800円(+税)
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 [メディアアートリーグについて]
 アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている1400年の文化遺産を、国際的に紹介する活動。作品は奈良の寺社をはじめ、世界の図書館・美術館、文化財団、教育機関などに寄贈している。シルクロード伝来のアジアの叡智と芸能、日本の精神文化を、写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。将来的には、NYで財団設立を目指す。

元興寺 母なる大地への愛 祈りの景観 by 伊藤みろ (Miro Ito)

2012-08-02 16:53:18 | Weblog

元興寺 母なる大地への愛 祈りの景観

日本最古の寺である奈良の元興寺(がんごうじ)では、毎年8月23日と24日の盂蘭盆の日に、有縁無縁の霊を供養し、地蔵菩薩に祈りを捧げる地蔵盆万灯供養会が執り行われます。

元興寺では、中世以来、元興寺を支えた庶民信仰のうちでも地蔵信仰が最も盛んで、地蔵盆万灯供養会は、その伝統を現代に蘇らせたものです。

地蔵尊は古来より、弱者や苦しむ者を救う象徴として、古くから信仰を集めてきました。辻村泰善住職によると、地蔵尊とはもともとは菩薩の一種ですが、梵語「キチシ・ガルバ」の漢訳で、本来は大地と子宮を意味するそうです。

「1985年に再建してみると、地蔵尊たちの圧倒的な存在感に驚いてしまいました」(元興寺 辻村泰善住職 ※ )

以来、地蔵尊たちへの時代を超えた人々の祈りが、母なる大地への愛と相まって、毎年、印象的な光の景観を見せてくれます。

元興寺の地蔵盆万灯会の模様は、先日発刊いたしました新著『フォトグラファーズバイブル』(誠文堂新光社)でもご紹介させていただきました。同書は写真教本でありながら、私なりの写真の哲学、美と聖なるものへのあふれる思いを写真とことばに託したエッセイ&写真集です。

また8月2日より、日本橋三越前の奈良まほろば館で「まほろびすと-飛鳥時代の面影照らす元興寺-」が開催されています。私がとらえた元興寺地蔵盆の光の光景も、展示されていますので、お近くにお出かけの際はご高覧くださいませ(8月14日まで)。

元興寺の地蔵盆万灯供養会では、官立の寺院だけでなく、地元の人々の厚い信仰心に支えられてきた奈良仏教のもうひとつのあり方をご覧いただくことができることでしょう。

地蔵尊に託された母なる大地への愛、弱きものや苦しむものたちを救う存在として信仰を集める地蔵尊たちと出合い、自らが光となる願いさえも込められた、手作りの癒される光の景観です。

皆様のご健勝をお祈り申し上げつつ、暑中のお見舞いを兼ねて、ご案内まで申し上げます。

平成24年8月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ

取材・撮影協力:元興寺 ( Text and photo by Miro Ito, all rights reserved.)
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※ 元興寺公式サイト
http://www.gangoji.or.jp/

※ 奈良まほろば館(奈良県広報施設)
「まほろびすと-飛鳥時代の面影照らす元興寺-」展 2012年8月2日~14日
http://www.mahoroba-kan.jp/

※ 『心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い』(伊藤みろ著/武田ランダムハウスジャパン)をご参照ください。辻村泰善住職の法話もインタビュー収録されています。

※ 『フォトグラファーズ バイブル』(伊藤みろ著/誠文堂新光社)
http://www.amazon.co.jp/フォトグラファーズ-バイブル-プロに学ぶ発想と絵づくり、構図とライティング-伊藤-みろ/dp/4416812442/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1339218879&sr=8-2

『フォトグラファーズ バイブル』発刊のご案内(伊藤みろ著)by Miro Ito

2012-06-09 12:20:35 | Weblog
『フォトグラファーズ バイブル』発刊のご案内 (伊藤みろ著)

 写真を愛するすべての人に捧げる「バイブル(座右の書)」

 写真術の魅力を、未来永劫変わらない法則をもとに『フォトグラファーズ バイブル』としてまとめ、このほど発刊いたしましたので、ご案内させてくださいませ。

 本書は、「プロに学ぶ発想と絵づくり、構図とライティング」の副題どおり、写真の楽しみ方と達人への道を、「構図」「絵づくり」「発想」「ライティング」の4つのテーマから、私自身が世界さまざまな国々で心おもむくままに撮ってきた作例をもとに、分かりやすく紹介を試みました。

 写真の構図や絵づくりのルールを「変わらない法則」として解説し、写真の基礎から応用まで、撮影技法と表現力を同時に鍛えながら、思いどおりの写真を撮るために、実力に磨きをかけていただくための教本です。

 作品づくりでは、ドキュメンタリー写真を中心に、テーマの選び方・着眼点から、写真の詩情・アート性まで、さまざまな創造的視点について、発想豊かに幅広く学んでいただきます。また上級者やプロ向けに、本格的なスタジオライティングの技法を公開しました。さらに技術を支える写真の美学や哲学、歴史についても、簡潔にまとめ、写真表現の奥義へと誘(いざな) わせていただきます。
 
 ドイツ、アメリカ、日本…と三つの国を経て、活動し続けてきた私自身の写真を介した体験に基づき、魂をこめて捧げる気持ちで書き上げましたので、写真を愛するすべての人に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
 本書が写真の教本であり、私自身がつねに目指してきた「達人への道」を求める実践的テクニックに主眼を置きながらも、私の魂の旅路の「私的ドキュメンタリー」のポートフォリオとなりました。

 ミニ写真集のような扱いでご紹介させていただいた世界遺産である奈良やバルト三国での心揺さぶられる宗教体験や、仏教、神道、キリスト教をはじめ、古今東西の貴重な文化財の素晴らしさに、自然や風景の美しさに、世界各地の訪れた街での一瞬の物語との邂逅に感謝を捧げます。
 また日本の優れた伝統工芸である竹工芸の匠技の粋に、NYで出会った美しきミューズであるモデルたち、ウェールズの詩聖Anno Birkinをはじめ、写真を通して「永遠のいま」という時空のモニュメントと向き合えることに_。

 そして何よりも、すべての美しく尊いご縁を与えてくださった、私たちを支える大きな力に、深く頭を垂れる思いで、心からの感謝と敬意を捧げます。

 全てへの感謝とともに

 2012月6月吉日

 伊藤みろ メディアアートリーグ

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書名: 『フォログラファーズ バイブル』
副題:プロに学ぶ発想と絵づくり、構図とライティング
著者: 伊藤みろ
企画・編集:メディアアートリーグ
出版社:誠文堂新光社 (2012/5/22)
https://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=3418
定価: 2,100 円(税込み) 
カラー単行本: 191ページ
ISBN-10: 4416812442
ISBN-13: 978-4416812440
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「人生とは君の芸術だ。開かれ、覚醒した心が君のカメラだ。世界との一体感が君のフィルムだ。君の輝く目と気楽なほほえみが君の博物館だ」とは、20世紀を代表する最も偉大な写真家の一人、アンセル・アダムス (Ansel Adams 1902-1984) の言葉です。
 人生はまさに芸術であり、表現する心がカメラであり、そして作品が博物館なのだと思います。
 そして芸術における表現とは、魂を込めれば込めるほど、真実へと向かう「幸せ」と同義語の「信念」という宝石になるのです。あるいは「心」という形なきものの黄金といっていいかもしれません。
 この本は、写真表現において、珠玉の宝石のような輝きを目指す人々のための「バイブル(=座右の書)」となることを願って「フォトグラファーズ バイブル」というタイトルしました

 (『フォトグラファーズ バイブル』伊藤みろ著「はじめに」より)

Cover Photo: Miro Ito / Model: Salome Tropp
Photo & Text by Miro Ito / Media Art League, L.L.C. All rights reserved.

写真ごころと「不射の射」(伊藤みろ著『極意で学ぶ写真ごころ』より)

2012-02-27 21:49:13 | Weblog
写真ごころと「不射の射」(伊藤みろ著『極意で学ぶ写真ごころ』/フィルムアート社より)

 弓道の精神性を世界に広めた著書に、オイゲン・へリゲル (Eugen Heligel)博士の『Zen in der Kunst des Bogen-schiessens』(弓道芸術における禅)があります。

 博士は大正年間に東北帝大で教鞭をとる傍ら、阿波研造の下で弓道の修業を積みました。そして阿波師範の達人技を見たヘリゲル博士は、奥義を「不動の中」ということばに集約させました。すなわち弓道の礼法に儀式化された動きの先にある、一つの「真空状態」を奥義として考えたのです。

 術も射おうとする心も矢も、さらに的さえも、すべてが溶け合って消失する、最高の自由さ(無の状態)こそが、奥義だという訳です。

 達人の世界では、自らが「射るのではなく」「『それ』が射た」という感覚が芽生えるようですが、写真の奥義も、よい作品を撮ろうとする作意や雑念をかい潜り、あらゆるものをすり抜けていってしまった先に、ひとつの真空状態にあるのかもしれない、といつしか思えるようになりました。

 私自身の体験から眺めると、ドイツ、アメリカ、日本…と三つの国で向き合ってきたテーマや被写体は実にさまざまでしたが、そのなかに一貫した「まなざし」があったとすれば、それは、被写体のもつ「真性=こころ」が見えてくる瞬間との出合いを求めていたことかもしれません。

 その瞬間に、被写体と私とを区別する一切のものが最高の均衡となって、静かに開かれていきます。明と暗、生と死といった、相対するエネルギーが静謐そのものの調和のなかに溶け合うのです。

 ある意味で、写真は限りなく禅の世界に近づいていきます。撮るものも、撮られるものも一体となる場所があるとしたら、その区別を超えた状態なのでしょうか。

 鈴木大拙禅師に倣えば、禅ではこれを「無」とします。
 そして無とは、何もない状態ではなく、完全の調和でありながら動力を内に秘めた状態なのかもしれません。

 調和の中から仄かに立ち顕われる、存在の秘めたる力に自らのこころを委ねるのが写真を撮ることであり、写真術の神髄なのだと思います。

 写真は、撮られた「像(イメージ)」が「作品」として成立しうるかどうかはともかく、まずは「写真を撮る」という行為そのものに、重きを置きたいと思います。その上で「なぜ人は写真を撮るのか」「作品をつくるのか」という、問いかけに答えていくつもりで、写真ごころについての極意論として、教本であり、芸術エッセイであり、技法書である本書『極意で学ぶ写真ごころ』を著しました。

 「アサヒカメラ」誌での連載中から、写真という「道」であり、哲学に、私なりに答えていくつもりで、書き進めてまいりました。

 写真道を踏みならした先人たちをはじめ、柳生新陰流の開祖や流祖、宮本武蔵、世阿弥などの天才・偉才に学び、写真メディアと日本文化の極意論を絡めて、写真ごころを徹底的に語り尽くそうと試みましたので、ひとりでも多くの方にお読みいただければ、幸せに思います。

 いつしか「こころで撮る写真術」として、「初めは完成」になり、「術は術ではなくなり」、写真を撮らずして撮るという、「不射の射」の達人の世界が開かれてくるのでしょうか。

 「射手は、一通りの所作を行うにもかかわらず、不動の中となりうる。つまるところ、術は術でなくなり、射ることは射ないこととなり、師範は再び門下生となり、達人は初心者となり、初めは完成となる」
(オイゲン・ヘリゲル/伊藤みろ訳)

 2012年2月吉日

 伊藤みろ

 ★2012年3月2日には、『極意で学ぶ写真ごころ』刊行記念のトークイベントを開催します。
  皆様のご来場をお待ち申し上げます。

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 『極意で学ぶ写真ごころ』刊行記念 伊藤みろ 講演会

 ~「写真ごごろ」を語るトークイベント 
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 ■ テーマ:
「写真ごごろとは何か」
 


■ 開催日時:
 3月2日(金) 19:00 ~ 20:00 (18:30開場) ※20:00よりサイン会


 ■ 開催場所:
 八重洲ブックセンター本店 8階ギャラリー

 (〒104-0028 東京都中央区八重洲2-5-1)


 ■ 定員:80名 
 

■ 参加費:無料


 ■ 申込方法:
 お電話による申込み 03-3281-8201 (八重洲ブックセンター 1階)


 ■ 主催:八重洲ブックセンター


 ■ 共催:フィルムアート社



 ■『極意で学ぶ写真ごころ』(フィルムアート社)関連サイト
 
 フィルムアート社:http://www.filmart.co.jp/cat138/post_157.php

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 伊藤みろ情報サイト:http://miroito.exblog.jp/

; 
 伊藤みろ公式サイト: http://www.miroito.com 


 

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