Road of Light and Hope: National Treasures of Todai-ji Temple, Nara - Photographs by Miro Ito
「光と希望のみち:東大寺国宝写真展 」が、3月15日から6月28日まで、国際交流基金トロント日本文化センターで始まります。東大寺の1300年の歴史を、東西の文化的な交流や人々のつながりの「証」として、写真作品を通して紹介いたすものです。
「証」は二つのテーマから、捉えることができます。一つは、すべてのつながりを象徴する東大寺の大仏さま(盧舍那仏)の造立の背景。もう一つは、シルクロードを経て日本へと伝えられた、ヘレニズム文化の影響を映し出す、天平の彫刻群の国際性です。
同写真展は、東大寺からの特別なご協力により、メディアアートリーグ、日本カメラ財団、国際交流基金トロントの共催のかたちで、国宝や重要文化財の写真掛け軸41点、ドキュメンタリー写真30点で構成されます。2004年に撮影を開始して以来、聖武天皇の理想や東大寺の歴史から学んだ、人々のつながりへの願いを作品に託してまいりました。
復興と希望の光
今から約1300年前、未曾有の天変地異、大地震や旱魃、飢饉や疫病の蔓延した奈良時代に、当時の450万人の国民の団結によって、東大寺の盧舍那仏が造立されました。たとえ「一本の草、一握りの土」でさえも持ち寄ってほしい、という聖武天皇自らの呼びかけにより、日本のあらゆる地方から物資が届けられ、述べ260万人が労働に参加して、752年に盧舍那大仏が完成されました。大仏造立は、度重なる震災により疲弊し尽くした人々の心を勇気づけるとともに、国家の安泰と雇用の創出を同時にもたらした、前例のない規模の復興事業でした。
その後、盧舍那大仏は、平安、鎌倉、江戸と幾度もの地震に見舞われ、しかも二度の戦災に遭いながらも、その都度、国民が一丸となって、奇跡的な復興を果たしてきました。盧舍那仏は、1300年来、日本の希望の力強いシンボルであり続けてきたのです。
もとより盧舍那仏は、宇宙のすべてのつながりと相互依存の真理を説く、いのちの連帯の象徴です。すべてはひとつであり、ひとつはすべてであり、すべてがつながっているという華厳思想を、図像として表したのが、東大寺の盧舎那大仏なのです。
日本人の心の原風景ともいえる、こうした東大寺の伝統から、時代や国境を超えて、すべてのいのちをつなぐ希望の光を、写真を通して伝えていけたらと願っています。
世界平和へのみちは続く...
東日本大震災をはじめとする、世界を次々に襲うメガ災害による苦難を共に乗り越え、戦争の悲劇を伝え、弱者の痛みを分かち合いながら、民族や宗教の分断化への動きに歯止めをかけるべく、いまひとりひとりが世界の平和に真剣に貢献する気持ちで、助け合い、支え合うことが求められています。
盧舎那仏の造立を通して、動植物までも栄えるよう願った聖武天皇に倣い、生きとし生けるものすべての連帯へのメッセージを、カナダの人々に向けて発信できたら幸せに思います。
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※昨年5月にニューヨーク国連本部で始まった世界巡回展「光と希望のみち」は、ウズベキスタン芸術アカデミー・平山郁夫文化のキャラバンサライ(タシケント)、欧州評議会本部(フランス・ストラスブール)を経て、カナダの国際交流基金トロント日本文化センター・ギャラリーで6月28日まで、3ヶ月間開催されます。
5月後半には、私自身トロントへ赴き、ショートムービーの上映を兼ねたレクチャーを開催する予定です。トロントへ行かれる際には、お立ち寄りいただければ、幸いです。(展覧会の詳細は、以下のサイトをご参照ください。http://jftor.org/event/national-treasures-of-todai-ji-temple/2017-03-15/)
なお同展覧会については、追って続報を発信いたしますので、楽しみにしていてください。
2017年3月吉日
伊藤みろ メディアアートリーグ
http://mediaartleague.org
「光と希望のみち:東大寺国宝写真展 」が、3月15日から6月28日まで、国際交流基金トロント日本文化センターで始まります。東大寺の1300年の歴史を、東西の文化的な交流や人々のつながりの「証」として、写真作品を通して紹介いたすものです。
「証」は二つのテーマから、捉えることができます。一つは、すべてのつながりを象徴する東大寺の大仏さま(盧舍那仏)の造立の背景。もう一つは、シルクロードを経て日本へと伝えられた、ヘレニズム文化の影響を映し出す、天平の彫刻群の国際性です。
同写真展は、東大寺からの特別なご協力により、メディアアートリーグ、日本カメラ財団、国際交流基金トロントの共催のかたちで、国宝や重要文化財の写真掛け軸41点、ドキュメンタリー写真30点で構成されます。2004年に撮影を開始して以来、聖武天皇の理想や東大寺の歴史から学んだ、人々のつながりへの願いを作品に託してまいりました。
復興と希望の光
今から約1300年前、未曾有の天変地異、大地震や旱魃、飢饉や疫病の蔓延した奈良時代に、当時の450万人の国民の団結によって、東大寺の盧舍那仏が造立されました。たとえ「一本の草、一握りの土」でさえも持ち寄ってほしい、という聖武天皇自らの呼びかけにより、日本のあらゆる地方から物資が届けられ、述べ260万人が労働に参加して、752年に盧舍那大仏が完成されました。大仏造立は、度重なる震災により疲弊し尽くした人々の心を勇気づけるとともに、国家の安泰と雇用の創出を同時にもたらした、前例のない規模の復興事業でした。
その後、盧舍那大仏は、平安、鎌倉、江戸と幾度もの地震に見舞われ、しかも二度の戦災に遭いながらも、その都度、国民が一丸となって、奇跡的な復興を果たしてきました。盧舍那仏は、1300年来、日本の希望の力強いシンボルであり続けてきたのです。
もとより盧舍那仏は、宇宙のすべてのつながりと相互依存の真理を説く、いのちの連帯の象徴です。すべてはひとつであり、ひとつはすべてであり、すべてがつながっているという華厳思想を、図像として表したのが、東大寺の盧舎那大仏なのです。
日本人の心の原風景ともいえる、こうした東大寺の伝統から、時代や国境を超えて、すべてのいのちをつなぐ希望の光を、写真を通して伝えていけたらと願っています。
世界平和へのみちは続く...
東日本大震災をはじめとする、世界を次々に襲うメガ災害による苦難を共に乗り越え、戦争の悲劇を伝え、弱者の痛みを分かち合いながら、民族や宗教の分断化への動きに歯止めをかけるべく、いまひとりひとりが世界の平和に真剣に貢献する気持ちで、助け合い、支え合うことが求められています。
盧舎那仏の造立を通して、動植物までも栄えるよう願った聖武天皇に倣い、生きとし生けるものすべての連帯へのメッセージを、カナダの人々に向けて発信できたら幸せに思います。
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※昨年5月にニューヨーク国連本部で始まった世界巡回展「光と希望のみち」は、ウズベキスタン芸術アカデミー・平山郁夫文化のキャラバンサライ(タシケント)、欧州評議会本部(フランス・ストラスブール)を経て、カナダの国際交流基金トロント日本文化センター・ギャラリーで6月28日まで、3ヶ月間開催されます。
5月後半には、私自身トロントへ赴き、ショートムービーの上映を兼ねたレクチャーを開催する予定です。トロントへ行かれる際には、お立ち寄りいただければ、幸いです。(展覧会の詳細は、以下のサイトをご参照ください。http://jftor.org/event/national-treasures-of-todai-ji-temple/2017-03-15/)
なお同展覧会については、追って続報を発信いたしますので、楽しみにしていてください。
2017年3月吉日
伊藤みろ メディアアートリーグ
http://mediaartleague.org
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