職場の近くの路地で、煙草を吸ってから出勤するのが日課になっている。
そこには大抵、白黒のブチと黒ねこの二匹が呑気に寛いでいる。
寝そべったり寄り添ったり。
その日は朝から陽射しも強く、二匹のねこは少々離れて、涼しげな別々の日陰にいた。
片方の白黒のブチは寝そべって、もう片方の黒ねこは背筋を伸ばして座り、静かに白黒のブチを見つめていた。
そんな二匹は、互いに云わんとする事が分かっているかの様に絶妙な距離感で、あるべき時の流れと、来るべき時の流れに、悟りを得たものの様に身を委ねている。
その姿を見ていたら、この世の有りとあらゆる全てが、掛け替えのないこの身の一部分に感じられる。
そしてこの身もまた、この世の有りとあらゆる全ての一部分だと思える。
流れる時に移り行く世界までも…
日陰さえ
緩やかに染む
ねこひと時