走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

タスクベースの職業

2020年11月13日 | 仕事
旅行7日目。1000km近く離れているロッキー。もう家へ帰るだけです。山道を夜走りたくなかったので途中で一泊し帰途です。標高が徐々に下がり氷点下でない気温を体感したのはまさに1週間ぶり。高山生活の厳しさを感じました。ハイウエイ沿いでヘラ鹿の親子を見つけました(写真は撮り逃しとほほ)。冒頭写真はバンフのボウ滝です。半分凍ってます。

昨日の続き。

以前大学院への動機について書きました。タスクの視点からそれぞれの看護師の違いを書いてみましょう。

看護をタスクベースとして考えて、そのタスクをいかに早く正確に、最新の技術を取り入れて、、、と考えているのなら貴方が目指しているのはエキスパート。認定や特定行為看護師が適切では?

看護師の将来性を拡大するためにスカラーとして看護研究やセオリー発展を主の生業としたいのなら看護博士。PhDの道です(DNPはAPNのものですから異なります)。

看護師の専門家(得意なエリア、例えば認定などを保持しているエリア)をベースにEBPをを臨床に取り入れるリーダーとなるなら大学院の専門看護の課程へ。高度実践看護師ですから研究分野、つまり看護の可能性を拡大できる立ち位置で、自分のセオリーをしっかり持ち研究等にも詳しくなければなりません。エキスパートに片足、スカラーに反対の足を突っ込んでいると言うとわかりやすいでしょうか?一般の看護師を教育する立場でもありますから、間接的な臨床と研究家のハイブリッドと言う言い方もできると思います。

日本の診療看護師は、、、過去の報告書や現在の大学院の履修内容を拝見する限り、海外のNPとは異なるタスクベースの立ち位置だと私は理解します。本来ならば高度実践看護師なので専門看護師と同様自分のセオリーを持ち国民の健康を向上する為の自分の立ち位置を明確にでき、役割開発を自分でできる能力を持っているはず。タスクベースの立ち位置と書きました。何故なら大学院ではタスクをこなせるよう技術ベースの履修科目の力を入れ、政府や医師会、院長や看護部長から与えられる「タスク」を待っている。以前も書いたように大学院教育を受けたものは、自ら他を説得できる大きなビジョンを持っているものです。それが海外で大学院を卒業した看護師たちです。そしてこの点が弱いことから特定行為看護師との混同や発展への行き詰まりが起こっているのではないのでしょうか。

このままタスクベースの職業で収まるのか?海外のようにAPN(APNはタスクベースではありません)となるかは貴方次第なのではないでしょうか?看護協会がナースプラクティショナーの構想を打ち出している今、ここが勝負時です。タスクをこなす、タスクを与えてもらう事を待つのではなく、自分の頭を使って自分のAPNとしての使命を明確にして周りを説得できる能力を強めてください。その為には他人の猿真似ではなく自分の頭を使うこと。それだけです。

そして現在の診療看護師を輩出している教育課程もこの辺りをよくよく考えてもらいたいと思います。

シリーズ終わり。




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