走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

薬物中毒 その5

2016年09月30日 | 仕事
一度出来てしまった痛みのパスウエイは、痛みの原因が取り除かれた後も痛みを感じる。 しかしこの作用機序は痛みの原因がある痛みの作用機序とは違うので、痛みのミットもあるようでない。これを専門用語を避けて簡単に説明するには非常に難しい。 1つだけ言えるのは、痛みの機序は機械的な痛みだけでなく心の状態も大きく反映していること。 例えば初恋や叶わぬ恋。胸がキュンとして食欲がなくなったり。病気なんじゃない . . . 本文を読む

薬物中毒 その4

2016年09月29日 | 仕事
痛みの目的以外の目的で麻薬を使用していて前回書いたように依存のスペクタクルの3番目や4番目になるのは依存症状がひどくなっているから。診断はOpioid use disorder と言う。日本語訳はオピオイド 使用障害となる。オピオイド中毒とか麻薬中毒ではない。 麻薬を痛みに使用するのは癌性の痛みや術後や怪我の痛みだ。癌は進行性があるので完治した例を覗いて痛みはずっと続く。痛みのミットは増えるだけ . . . 本文を読む

薬物中毒 その3

2016年09月28日 | 仕事
昨日、麻薬で起きるオーバードースは大量に摂取した麻薬による副作用で呼吸抑制が起こりそれが死亡に至る、と書いた。これを聞いて麻薬を服用している人は驚いて、もう増量しないでとか中止するように言わないと!と思ったかもしれない。 勘違いしないように説明を。 麻薬は痛み止めとして開発された。なぜ痛みに効くか?痛みのプロセスにオピオイドレセプターと言うところがあって、そこに麻薬が張り付いて痛みを止めるのだ . . . 本文を読む

薬物中毒 その2

2016年09月27日 | 仕事
前にも書きましたが、依存には段階があって薬物使用者でも人に知られる事もなく社会生活を送っている人もいれば、社会生活を送れないほど依存が酷くなっている人、摂取しても摂取しても、量を増やしても効果が得られないほどになる人も。私はこの最後の2つのスペクトラムの事を薬物中毒だと思う日本人が多いと思う。 しかし中毒と言う表現は正しくない。昨日書いた一酸化炭素中毒や食中毒のような中毒症状はない。あるのは耐性 . . . 本文を読む

薬物中毒 その1

2016年09月26日 | 仕事
まだハロウィンも終わっていないと言うのに既にクリスマスセールが始まっていた。先に先にと先手を打ってくる小売店。うんざりするけど、クリスマスの飾りつけは見るだけで楽しいので足を止めたくなる。 薬物中毒と言う言葉が日本にはあります。食中毒なら食物に混入していた菌やウイルスの毒性があって、それにより病気か死亡する。毒性と言っても毒そのものが死亡をもたらすものと、毒により消化機能がやられ嘔吐下痢など . . . 本文を読む